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特商法:不実告知の例
「詳解 特定商取引法の理論と実務 補訂版」より。不実告知の例。
勧誘を受けている者は連鎖販売取引という用語自体を知らないので、むしろ「マルチ商法ではないか?」とか「ねずみ講ではないか?」と尋ねることのほうが普通であろう。これは連鎖販売取引の該当性を問う質問であるが、このとき「連鎖販売取引である」旨を説明せずに、「ネットワークビジネスだ」とか「合法的なマルチレベルマーケティングだ」等とはぐらかした回答をすることは、連鎖販売取引の該当性を否定する意味を告げるものであるから、不実告知に該当すると考えられる。
裁判所で裁判官に向かって「合法的な(以下略)」と主張するのは(勧誘ではないから)差し支えないが、同じ事を勧誘時に主張するとひっかかるわけね……。
取材など
山形新聞から電話がって、提訴の件について訊かれた。定期的に裁判所の事件一覧をチェックしているらしい。表現の自由がらみなので記者さんは興味を持っておられるようだが、「難しい……」とつぶやいていた。まあ、今時のことだから、名誉毀損訴訟と言われれば素人にもどういう種類の争いか見当がつくしイメージも湧くだろうけど、「債務不存在確認の訴え」では、余分な説明が要るわなぁ……。確認の訴えなどというものがあることを知っている人が少ないし、それを表現の自由を守る手段に使うというのも多分稀だろうし。
ところで、何でまた取材、と思った。また、というのは、飛騨の人を訴えた時も取材があったからで、その時はありふれた名誉毀損訴訟なのに一体何が珍しいのかと、訝ることになった。
で、ちょっと考えたのだけど……。12月に提訴して事件番号が610だったのだが、神戸だと、9月の当事者参加で事件番号が2300である。神戸では新規提訴が300件/月、山形では55件/月、という見積もりになる。記者さんが裁判所の民事訴訟リストをチェックしていられるのは、単純に件数が少ないからではないかと思ったり。これが東京地裁になると、提訴多すぎで一通り見るのも大変なんじゃないかなぁ。
そういえば、山形地裁の1階には切手と印紙の売捌所があるが、月・水・金の午前中しか営業していない。今回、提出が水曜日の午前中だったので、買いに行ってみた。
私「収入印紙ください」
店の人「いくらですか」
私「24,000円分」
店の人「……」
私「何か?」
店の人「ありません」
私「組みあわせで枚数が多くなってもいいので……」
店の人「枚数増やしてもありません」
私「はぁ?_?」
店の人「ちょっと待ってもらえれば、買ってきますけど」
私「買って……って、一番近いのは隣の山形市役所の売店ですよね」
(市役所と裁判所は隣接していて、市役所地下の売店では切手や収入印紙も扱っていて在庫はそれなりに豊富)
店の人「そこで買ってきます」
私「それなら自分で買いに行きます。ところで、他の皆さんはいくらくらいのものを買って行かれるのですか?」
店の人「150円くらい」
私「って、地方裁判所に出す訴状の(訴訟費用の)金額はそんなもんじゃ無い筈……」
店の人「そんな高額なの、買う人が居ません」
私「そういうものなんですか……」
いくら山形が田舎だといっても、県庁所在地にある地方裁判所の印紙売り場でこの展開は無いだろう、と、何だか釈然としなかった。実はみんな市役所地下で買うから裁判所内の売り場は使われないとか、そういうことなんだろうか。
「控」の次は……
昨日の打ち合わせにて。
「控」のゴム印買った話を絵里タンにしたら、「次は”副本直送”」というコメントが……。
「副本直送」のゴム印が活躍するほど素人が訴訟するようじゃ、世も末だってばさ[:泣き笑い:]>絵里タン
弁護士さんの印鑑
絵里タンの事務所で打ち合わせついでに訊いてみた。
「弁護士さんの印鑑の形の○と□はどう決まるの?何か意味あるの?」
絵里タンによると、
・絵里タンが最初に居た事務所は全員○だったから、選択の余地無く○で作られてしまった。(単なる事務所の趣味の問題だった)
・一方、惇一郎弁護士は□で作った。
・その結果、今では法律事務所ヒロナカでは○と□の両方が使われることになった。
・法律事務所ヒロナカ所属の弁護士さんは、新しく作る時はどちらにするか好きな方を選ぶことになっている。
何か完全に趣味の問題だったようで……。
買い物メモ
今年の持ち運び六法は、以前に書いたようにデイリー六法(三省堂)を使うことにした。
ところで、有斐閣判例六法の小型版が今年から出たので、何が書いてあるか見たくて買ってみた。判例部分が2色刷でわかりやすいといえばわかりやすいが、判例六法の宿命として、判例に邪魔されて次の条文にたどり着くのが遅れる(笑)。一応どんな判例が収録されているか読んでみるつもり。ただ、景品表示法とか特商法とかがまともに入ってないので、私には使いづらい。ちょっと昔のコンサイス判例六法には入っていたので、今でも変わらないのなら、来年からコンサイス判例六法に戻るというのも手かなぁ。
「控」のゴム印買った。315円。東急ハンズはさすがに常備していた。
【追記】
岩波の判例六法には、特商法は出ていなかった。
結局、持ち運び用はコンサイス判例六法が私にとっては一番使えるということになりそう。
マグローブからお茶の水大に圧力がかかりました
マグローブの代表取締役の上森を名乗る人物から、お茶の水大学長に対して直接電話があり、掲示板投稿の一部を出すなという圧力がかかりました。
現在、atom11の掲示板で見えなくなっている分を、こちらで引用しておきます。なお、この内容は、訴訟掲示板に出したものと重複します。
[25190] マグローブの構造上の疑問点mimonのコメント現在進行中の裁判関係の掲示板に書いた内容と重複するのですが、http://www.i-foe.org/h19wa1493/bbs/tree.php?n=51今のところ、裁判で技術的なことを取り上げられそうにないので、
こちらの掲示板にコピペします。
もともと、私の書いたことですので、引用符号(>)は、付けません。
吉岡氏のホームページのネタにならなければ良いのですが。先日(10月25日)開催された、マグローブの説明会の資料の中で、
http://www.minusionwater.com/biwakomesse.htm
断面の略図が載っていますが、本当に、接水部がステンレスの角パイプなのですね。
ステンレスといっても、多分、一般的なSUS304あたりを使っていると思われます。
角パイプに内圧がかかると、その角の内側には、大きな引っ張り応力が加わり、
オーステナイト系ステンレスでは、応力腐食割れが発生しやすいです。
私だったら、真っ先に塩化マグネシウムを使った加速試験を実施して、
問題なくても、やはり、耐応力腐食性の高いSUS316LかSUS315J2を使うところです。
ステンレス鋼の応力腐食割れ試験方法については、JIS G0576が参考になります。
http://www.jisc.go.jp/app/JPS/JPSO0020.html内側の管に孔があいても、外には水が漏れない構造のようですが、
ネオジム磁石や鋳鉄は、いくら鍍金をしていても、
ステンレスに囲まれて接水すれば、早期に腐食してしまいます。吉岡氏は、京大工学部卒らしいので、その辺は考慮していると思いたいのですが・・・。
[25197]もし、一般向けの解説が可能でしたら追加を
apjのコメント>オーステナイト系ステンレスでは、応力腐食割れが発生しやすいです。
多分、一般の人は、ステンレスにいろんな種類があって、耐久性にも違いがあるということを詳しく知らないのではないかと
思います。私も、合金材料の特性に詳しいわけではありません。
手軽に知るには、どんなものを見たらいいでしょうか。>ネオジム磁石や鋳鉄は、いくら鍍金をしていても、
>ステンレスに囲まれて接水すれば、早期に腐食してしまいます。これで引っ掛かったのが、「磁気活水器で防食効果があった」とされるケース一般をどう考えるかということです。
先日、水商売ウォッチングの方に、磁気活水器で効果があったケースをきちんと調べたら亜鉛板の効果だったり併用する濾過
装置の効果だったりした、という文献を紹介しました。
業者が知らずに耐応力腐食性の弱い材料を使ってしまったために磁石ともども腐食が起きたとして、その現象が、亜鉛の犠牲
陽極を使ったのと同じ効果を水道管にもたらすのではないか?ということです。「効果有り」と判定されたケースで、実は磁気
活水器自身が水道管の犠牲陽極となっていた、というものが混じっているのではないかと思うのですが、この可能性はあるので
しょうか。[25198]ステンレス鋼の手軽な解説
mimonのコメント> 手軽に知るには、どんなものを見たらいいでしょうか。
「手軽に」というと、とりあえず、新日鉄の解説から入ったらいかがでしょうか。
http://www5.mediagalaxy.co.jp/nssc/products/index.html
さすがに、応力腐食割れなんていうマニアックな話題は、載っていなかったと思います。
新日鉄、JFEスチールなど各社が、ステンレス鋼のカタログをホームページに載せていますので、
詳しくは、そちらをダウンロードして、ご覧ください。
新日鉄↓
http://www5.mediagalaxy.co.jp/nssc/products/shohin/koushu.html
JFEスチール↓
http://www.jfe-steel.co.jp/products/list.html#stainless> 実は磁気活水器自身が水道管の犠牲陽極となっていた
磁気活水器の内管と、配管の材質の組み合わせにより、その可能性はあります。
マグローブの場合、角があっても、一応ステンレス鋼ですので、
鉄管(SGP(JIS G3452)など)に対して犠牲陽極になることはないと思います。
内管が腐食して、孔が開いた場合に、配管を保護する働きがあるのか、
可能性はありますが、期待はできません。
磁石や鋳鉄にされている鍍金の質により、挙動が異なるからです。というか、壊れることで効果が出るような設計をしてはいけません。
なぜ、このネタにこだわったのかが謎だったのですが、「ビバ!マグローブ」というタイトルのblog
http://blogs.yahoo.co.jp:80/jinseimakoto/547240.html
に、2007/08/09付けで、「レフレクターの本音」と題するエントリーが投稿されています。投稿したのは、施工業者さんのようです。以下、内容を引用します。
僕はリフレクター。
とある磁気活水器の重要なパーツです。
僕がいるからこそ、この磁気活水器はちょ~売れました。
しかし、本音を言うと僕には寿命があるのです。
コンタクトセル作用という電子を移動させる仕事だけでも、
酸化が始まってしまうのに、僕を使って磁気活水器を作ってる人たちは
余計なものを僕の周りにべたべたと塗りつけています。
こいつが臭くてたまらないのです。余計に酸化が進みます。僕を開発したせんせーも最初は、僕が酸化するなんて思ってもいなかったみたいです。
せんせー2号が、実験中に僕が酸化を始めてくるのを発見しました。
でも、トップシークレットになったそうです。
だって、すでに3万台以上も販売した後だったんですもん。社内でも『まずい!』と意見を言うやつがいましたが、
【どんな商品でも性能が何年も持続するなんてあり得ない。販売時に100パーセントの性能があれば
それでいいんだ!】そして、組み立てのやつがへたくそで、たまに水が中に入ってしまうものも現れる始末。
だから、すべての原因を『水』にして、不具合のものをすべて無条件交換といたしました。そんなことしないで、最初から組み立ての手順を再考すれば僕の寿命ももっと延びて
製品の精度ももっともっと上がったのにね。こんな僕だけど、本当の僕のよさを理解して頂いた新しいセンセーのところで生まれ変わりました。
今度は僕を大事にしてくれています。
やっぱり、すべてにやさしい人たちの下で働きたいですよね。
ダイポールの話なのかマグローブの話なのかはっきりしませんが、blogのタイトルが「ビバ!マグローブ」となっているので、ダイポールで出た問題がマグローブで解決されたというふうに読み取れます。ただ、読んだ人がマグローブの話だとうっかり誤解することが絶対無いとまではいえません。
まあ、今回のお茶大の対応は、訴訟の争点が「削除要求に対応したかどうか」の部分になっているため、ちょっと神経質になっているということなんでしょう。その意味では、管理がきちんとできているというデモンストレーションにはなったかと思います。
とにかく、これで敵は、吉岡氏だけではなくマグローブも込みだとはっきりしました。
削除要求の出された内容を見れば、別にマグローブが不良品だと言ってるわけでもなく、ほとんど一般論にすぎません。普通の人の理解力をもって読んでも、業務妨害にはあたらないでしょうし、特に中傷しているわけでもありません。マグローブというのは、この程度のものを、圧力をかけて消させる企業であるということが、今回、明らかになったわけです。これまでは、吉岡氏が以前やっていたダイポールのマルチで、公取の排除命令を喰らったのを私のせいだと逆恨みしていただけだろうと思っていたのですが、もう一人の社長も込みでトンデモのようです。
削除義務がないという債務不存在確認訴訟でもあらためて起こしましょうか(爆笑)>マグローブ。
とりあえず、私の方もそれなりに別の材料は持っていますので、国際会議が終わったら反撃の準備にかかりますけどね。
真実性・真実相当性の判断基準時について
名誉毀損が免責される要件として、
○【事実の公共性】
「公共の利害に関する事実」を表現したこと
○【目的の公共性】
「もっぱら公益を図る目的」で表現したこと
○【真実性】摘示事実が真実であると証明されること or 【真実相当性】摘示事実が真実であると信ずるについて相当の理由があること
の3つがある。このうち、真実性・真実相当性の判断基準時について、最高裁は次のように判示している(最3小判2002年1月29日)。まず、真実性について。
裁判所は、摘示された事実の重要な部分が真実であるかどうかについては、事実審の口頭弁論終結時において、客観的な判断をすべきであり、その際に名誉毀損行為の時点では存在しなかった証拠を考慮することも当然に許されるというべきである。けだし、摘示された事実が客観的な事実に合致し真実であれば、行為者がその事実についていかなる認識を有していたとしても、名誉毀損行為自体の異方性が否定されることになるからである。真実性の立証とは、摘示された事実が客観的な事実に合致していたことの立証であって、これを行為当時において真実性を立証するに足りる証拠が存在していたことの立証と解することはできないし、また、真実性の立証のための証拠方法を行為当時に存在した資料に限定しなければならない理由もない。
真実相当性については、
名誉毀損行為当時における行為者の認識内容が問題になるため、行為時に存在した資料に基づいて検討することが必要となる。
つまり、真実性については、事実審の口頭弁論終結時が判断基準時で、真実相当性については、名誉毀損行為時を基準とする、ということである。
円谷「不法行為法」(2)
「不法行為法 事務管理・不当利得」円谷峻著(成文堂)4-7923-2482-3
より。71~ 72ページの名誉毀損が不法行為となる要件について。
最高裁平成9年9月9日判決(民集51巻8号3804頁)が、これを明らかにした。同判決によれば、事実を摘示しての名誉毀損では、その行為が公共の利害に関する時事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあった場合、摘示された事実がその重要な部分について真実であることの証明があったときには、その行為には異方性はないし、かりにその事実が真実であることの証明がないときにも、行為者にその事実を真実と信ずるについて相当の理由があれば、その故意または過失は否定される。
これに対し、ある事実を基礎としての意見ないし論評の表明による名誉毀損では、その行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあった場合に、その意見ないし論評の前提としている事実が重要な部分について真実であるとの証明があったときには、人身攻撃に及ぶなど意見なし論評の域を逸脱したものでない限り、右行為は違法正を欠くものというべきであり、かりに基礎とされた事実が真実であるとの証明がないときにも、行為者に上記事実の重要な部分を真実と信ずるについて相当な理由があれば、その故意または過失は否定されると解された。
そこで、問題とされる表現が事実を摘示するのか、意見ないし論評の表明であるのかで、不法行為成立の要件が異なるため、当該表現がそのいずれであるかが問題となる。最高裁平成9年判決は、当該表現が証拠等をもってその存否を決することが可能な他人に関する特定の事項を明示的または黙示的に主張するものと理解されるときは、当該表現は事実を摘示するものと解するのが相当だと述べた。
判例は、夕刊フジ名誉毀損判決。
模範六法買った
いやまあ、タイトルの通りで、今年も模範六法を使う予定。生協に一冊入っていたのを購入。前にも書いたが、紙表紙の方が環境にはやさしいんだが、1冊にまとまった判例付き六法はやっぱり便利なので……。
ちょっとamazon.comを調べたんだが、著作権判例百選は2001年に出てから改訂されてない。単行本の「要約 著作権判例212」は2005年に出版され、平成になってからの判例が多いということだが、買うならこちらだろうか……。
第3回口頭弁論
掲示板投稿とかなり重複するが、こちらにもメモしておく。
提出書類
原告 第2準備書面、甲26 10/26付
被告 第1準備書面 11/12付
参加人 準備書面1 10/31付
独立当事者参加についての裁判所の方針
・参加要件が無かった場合、単なる訴えの提起として扱う。(原告に対する債務不存在確認訴訟、被告に対する削除差し止め訴訟提起となる)
・参加要件の有無は、本案判決の時に一緒に出す。
【裁判官から確認されたこと】
○参加人対原告の関係 参加人は原告に対して債務不存在確認の訴えを提起
原告からは、請求原因事実があることを参加人に対して主張する
○参加人対被告の関係 参加人は被告に対して不作為要求をする
裁判官:人格権による請求もできるがどうするか?
参加人代理人:債務不履行でいく
○原告の主張は第1準備書面に書かれた通り。
○被告に対しては
免責される要因があるかどうかが先行していたが、請求原因に対する認否がまだない。
○独立当事者参加についてはこのままにし、実体の審理に入る。
○参加人は、
・目録内容が客観的に名誉毀損かどうか。(原告の主張に対する反論)
・抗弁
を次回主張すること。
参加人代理人より、「目録のどの部分が名誉毀損なのか。京都大の学歴云々の部分が含まれるのかどうか。絞り込まないと何に対して反論していいかわからない」という質問があった。原告本人は、削除要求は投稿したメッセージ(目録中のもの)全体である(部分削除は考えていない)、と主張した。
請求原因の認否は被告にも求められた。被告代理人は、被告が立証すべきことは免責されるかどうかということであるので、参加人が立証すべきこととは異なっている、と主張した。
原告本人は、「マルチではあるが違法なことはしていない」「説明会の前日に投稿がなされた」と主張し、傍聴席に来ている「ダウンの方々」が違法なことをするだろうと書かれたことがけしからん、という内容の発言をした。
事前に、次から電話会議での参加にしようか(わざわざ神戸まで行かなくて済むし)、という話を絵里タンとしていたのだが、「電話会議にすると口頭弁論ではなく弁論準備手続きをすることになり、傍聴人があんまり入れなくなる」ということで、傍聴人が多いことを考慮して次回も口頭弁論で、ということになった。
次回期日 1月30日(水)13:30- 204号法廷
書面提出期限 12/25(火) 次回までに間があくので、早めに書面を回して弁論をできるだけ進めるようにするため、提出期限が早めになった。
本日の傍聴
・原告本人の発言によると、原告のマルチの賛同者&参加者の方々が来ているということだった。
・被告側は、広報担当の事務の方(多分)が2人。
・私の方は、前回も来てくださった「み」さん。今回新たにきてくださったのが某法科大学院准教授のY先生とご令嬢、ネット関係からはハンドル名雪兎さん、それから、十数人の消費者センター(消費生活相談員?)の方々だった。特に消費者センターの方々は、裁判情報をお互いやりとりしているらしく、誘い合わせての傍聴であった模様。弁論が終わってのんびり出てきたら、裁判所入り口で皆さんがいらっしゃったので簡単に挨拶などをしました。本日は傍聴ありがとうございました。
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独立当事者参加の要件が認められなかった場合は、単なる別訴の提起&併合審理となるということがわかったのが興味深い。確かに、コンメンタールや教科書では、47条を使うことは新たな訴えの提起と同じだと書いてある。もともと、今回の訴訟に対して、私が最初に考えたプランは、別訴で債務不存在確認訴訟(不法行為ではないので削除義務無しを主張)を提起して、審理を併合するように申し出るということだった。しかしそれでは本案の進行を止めることができないという判断で、独立当事者参加という手段をとった。このためには、権利の主張をしなければならないから、削除が私の人格権侵害になるという構成と、削除を認めることが私とお茶の水大の黙示の契約の履行を妨げるという形で債務不履行で構成する方法の2つがある。人格権だけでは弱いというのが絵里タンの判断で、債務不履行構成をとったために、大学に対しても同時に訴えを提起する形になってしまった。ただ、審理を併合して矛盾のない判決を出すということになれば、独立当事者参加の要件有りと判断された場合と無しと判断された場合で、一体何が違ってくるのかが、私にはまだよくわからないので、少し調べてみる必要がある。
いずれにしても、次回から請求原因の実体の審理に入れるということで、ひとまずハードルは1つ越えたかな、というのが今日の感想。裁判所にしても、当事者参加の部分だけ控訴審、などというややこしいことは避けたかったのではないかと。どちらにしても、これで、当事者としての地位は獲得できた。
お茶の水大の代理人の井口さんの主張は非常に的確である。大学が勝訴する条件と私が勝訴する条件は最初から異なっている。削除請求への一連の対応で「相当の過失」が無かったことを立証すれば大学は勝訴する。私の方は、書き込みが不法行為ではなかったことを立証すれば勝訴する。私が勝てば、大学は無条件に責任無し(不法行為でない書き込みの削除要求に対応する必要はそもそも無いから)となるが、大学が勝って私が負けるという可能性は有る。従って、「相当の過失が無かったこと」の立証に絞るのが、大学の対応としては正しい(余分な労力を使う必要がないし、弁論もぶれずに済む)。
ただ、今回、準備書面はぎりぎりだったし、何か見た感じ疲れてるみたいだったが、よっぽど大変な案件を大量に抱え込んでるのだろうか。井口さん、大丈夫かなぁ。私の方は、47条でいくためには権利者であることを裁判所に認めさせる形である程度強い請求を立てざるを得ないので、同時に大学も訴える形になったんだけど、今回はどう考えても大学は単なる場所だしねぇ。ともかく、あの学内規則でやれば大学が免責されるという前例を作る方向で頑張っていただければと思う。私のためじゃなく、私以外の誰かの将来のために。
消費者センターの方々がいらしてたのがちょっとびっくりしたし、同時に心強いと思った。一番びっくりしてたのが絵里タン。最初は状況がわからず、傍聴席の殆どが「ダウンの方々」だと思っていたもので……。失礼しました。原告本人が「違法なマルチはやってない」と主張したあたりで、皆さんそうとうカチンと来ていた模様で、裁判所の玄関のところで応援されちゃいましたよ^^;)。当日中に引き上げなければならなかったので、あんまりのんびり説明している時間もとれなかったけど、何かあったら掲示板の方に書き込んでください。私にわかることなら状況説明しますし、法的にこみ入って分からないことなら絵里タンに訊いてから説明します。
絵里タンはクリスマスイブに別のややこしい刑事事件の打ち合わせでクリスマスにその裁判だそうで……。期日が提示されたとき、関係者が誰も「楽しいクリスマスを過ごしたいからちょっと」などと言い出さなかったためバッチリその日程で仕事をすることになったのだとか。法曹関係者はクリスマスは関係ないという実例その1かもしれない。私の方の準備書面提出もちょうどクリスマスだったりする。まあ、特に意味はないのだろうけど。
依頼人がむちゃくちゃな主張をどうしても出したがったらどうするのかと訊いたら、どうしても無理なら「できません」と言うことになるのかなあ、という返事だった。無理目の案件であんまり無茶な主張をすると、弁護士の評判も落ちるらしい(民事では)。弁護士がその主張を組み立てていると思われてしまうからだそうで(これは刑事弁護とは異なる)。
ところで、一般人にとって弁護士を探すのが大変なのでナントカもうちょっとマシな広報はできんのかという話をしてみた。が、訴訟は、医者にたとえると、一生に一度の手術を名医を探してやってもらうというものだそうで、なかなか一律の基準でもって宣伝して、というわけにはいかないのだそうな。手工業の世界で弁論はオーダーメードだし、結局は口コミだとか。上中並とか松竹梅とか、サービスのコース別料金を作ったりできないのかと訊いてみたが、ちょっと難しいっぽい。
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