真実性・真実相当性の判断基準時について
名誉毀損が免責される要件として、
○【事実の公共性】
「公共の利害に関する事実」を表現したこと
○【目的の公共性】
「もっぱら公益を図る目的」で表現したこと
○【真実性】摘示事実が真実であると証明されること or 【真実相当性】摘示事実が真実であると信ずるについて相当の理由があること
の3つがある。このうち、真実性・真実相当性の判断基準時について、最高裁は次のように判示している(最3小判2002年1月29日)。まず、真実性について。
裁判所は、摘示された事実の重要な部分が真実であるかどうかについては、事実審の口頭弁論終結時において、客観的な判断をすべきであり、その際に名誉毀損行為の時点では存在しなかった証拠を考慮することも当然に許されるというべきである。けだし、摘示された事実が客観的な事実に合致し真実であれば、行為者がその事実についていかなる認識を有していたとしても、名誉毀損行為自体の異方性が否定されることになるからである。真実性の立証とは、摘示された事実が客観的な事実に合致していたことの立証であって、これを行為当時において真実性を立証するに足りる証拠が存在していたことの立証と解することはできないし、また、真実性の立証のための証拠方法を行為当時に存在した資料に限定しなければならない理由もない。
真実相当性については、
名誉毀損行為当時における行為者の認識内容が問題になるため、行為時に存在した資料に基づいて検討することが必要となる。
つまり、真実性については、事実審の口頭弁論終結時が判断基準時で、真実相当性については、名誉毀損行為時を基準とする、ということである。