理由がわからない(汗)
「法理学講義」田中成明著(有斐閣) 4-641-02713-7
このように、行為規範と裁決規範との区別・連関を明確にすることの実務的な意義としては、通常、次のような…が指摘されている。(1)通常の法律・命令の名宛人を一般私人とみる見解の誤りを正して、これらの裁決規範の正当な名宛人を明らかにしたこと、(2)法の不知はこれを許さず(Ignoranita ligis neminem excusat)という法原理に理論的根拠が与えられること、(3)裁決規範と行為規範とを混同して、前者に道徳的内容を盛り込むべしと主張したり、前者に対して直接的な道徳的批判を加えたりする見解の不当性を明らかにできること、(4)一定の法律要件に一定の法律効果を結びつけるという法規範の一般的な規定方式、さらに推定規定や挙証責任規定などの存在理由を的確に説明できることなど。(54ページ)
今、本の方は半分くらい読み終えたところなのだが、箇条書きされたこの部分がなぜこう言えるのかについての理由がわからないのでメモしておく。
地方公務員のための「イギリス憲法」入門が参考になる。
事件番号付いた
神戸の裁判の件。
独立当事者参加の申出というのは、実質的に訴えの提起で、訴状に準じる書面で行うことになっている。従って、通常の提訴や反訴の時と同様に事件番号が振られる。
私の申出は「平成19年(ワ)第2355号 独立当事者参加の申出事件」となった。
ところで、5月末か6月初旬あたりに振られた元の訴訟が「平成19年(ワ)第1493号」だから、3ヶ月から4ヶ月で、事件番号が800件以上増えたということになるのか。一月平均二百数十件の訴状が持ち込まれている計算になるが……。
#弁護士増やすのなら、それに見合った数の裁判官やら書記官やらも増やさないと、裁判所がボトルネックになってしまいそうな……。
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不法行為法(1)
「不法行為法 民法を学ぶ」窪田充見著(有斐閣) 978-4-641-13489-8
関係しそうなところをまずは整理。
○709条の改正(2004年)
「他人の権利又は法律上保護される利益」 厳格な権利要件を採用しない。
○損害の認定
・差額説:不法行為が無かったらあったであろう財産状態との差を考える。
・損害事実説:被害者に生じた不利益それ自体を意味する。
使用者責任(715条)
○代位責任である。補充的責任ではない。被用者の代わりに使用者が責任を負うのではなく、被用者が責任を負うことを前提に、その履行を確保するために使用者も責任を負う。
○中間責任である。
○危険責任・報償責任の両方が混在。
○「被用者の不法行為」が使用者責任の要件。客観的に不法行為と評価できるのであれば足り、被用者について709条の責任が成立するか否かは要件ではない。
○使用関係は実質的な意味。広い意味での支配可能性が必要。
○共同不法行為との違い:共同不法行為を問題とするなら、各共同不法行為者について709条が充足されることが前提となる。これを被害者側で立証。過失を積極的に立証できなかった場合、715条であれば責任を肯定する可能性があるのに対して、719条では責任が否定される。
○「事業の執行について」
・判例は外形標準説(外形理論)
→責任を負担する者の帰責事由、相手方の保護に値する信頼を要求。
悪意または重過失の場合に使用者責任の成立が否定される。
→事実的不法行為に適用するのが難しい。
○履行補助者の過失(債権総論)
債務者の過失とみなされる。
○使用者責任の効果
(1)被用者と被害者の関係←709条
(2)使用者と被害者の関係
(3)使用者と被用者の関係←求償できる(求償権があることを意味しない)
使用者→被用者の求償は制限されている。
○被用者が直接709条の責任を負わないのは、自由な本人の意思に基づく行為として不法行為を行ったのではないから。
国賠法1条
「職務を行うについて」「公権力の行使に当る公務員」
・私経済作用(715条)と国賠法2条以外のすべて。
・公務員に故意又は重過失がある場合のみ。
・国賠法1条が適用される場合、公務員個人に対する賠償責任は認められない(判例)。
○不真正連帯債務
・賠償義務者が複数存在することによって、損害賠償債務が分割債務となることを否定。
・連帯債務における絶対的効力事由のうち、債務者相互の結びつきを前提とする規定は準用されない。
被害者の損害が現実に補填される性格のものに限定される。
・自己の負担部分を越える弁済をなした場合に、その越える範囲でのみ求償が認められる
(一部弁済してその都度清算は認められない)
共同不法行為
共同の行為をなす意思が存在しない場合でも、関連共同性を認める。
名誉毀損の場合
(1)請求原因
被告の表現行為(事実の摘示)による原告の名誉の毀損(=原告の社会的評価の低下)
(2)抗弁
当該表現行為における事実が公共性を有するものであり、且つ、公益目的からなされ、且つ、真実であること(真実性の抗弁)、または、真実と信ずるにつき相当な理由があること(相当性の抗弁)。
※プライドや名誉感情といったものは、名誉毀損における名誉には該当しない。
民法改正についてのメモ
民法の平成18年改正について。大幅な変更は、38条から84条までが削除され、その内容に対応するものが「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」(一般法人法)として定められた。
お手軽な法哲学
「よくわかる法哲学・法思想」深田三徳・濱真一郎編著(ミネルヴァ書房)978-4-623-04848-9。
見開き2ページで1テーマをまとめてある。高校の時に使っていた倫理・社会の資料集のような趣である。素人が簡単に全体を見渡すには使いやすい本。参考文献も充実している。
【追記】
読み始めた。で、高校の時の教育に今さらながら感謝。
私の学年は、共通一次試験の社会科は、現代社会(倫理社会・政治経済)+世界史・日本史・地理から1科目選択だった。が、高校は、理系文系を問わず現代社会、世界史、日本史、地理をフル履修させてくれて、どれを選んで受験するかは生徒の判断に任せてくれていた。細かい年号はもはや覚えていないから、今試験をされるとかなりやばいが(汗)、世界史の流れやら思想家の名前くらいは頭に残っているから、今、上記の本を読むときに、そんなにハードルを感じずに入っていけている。
高校での世界史未履修が問題になっていたが、将来どんな分野に進むにしても、高校の内容は全科目可能な限りフル履修すべきだろう。大人になってから別分野に手出しするときの基礎体力として効いてくる。
別の意味で役立つ試験問題集
法学検定2級の過去問集を買ってきた。試験科目ごとに分けてあり、出題の範囲やら傾向やらも書いてあるのだが、同時に参考書リストがついていて、これが意外に役立つ。
六法と呼ばれるものについては、大体定番の教科書がどれであるか見当がつくし、知財やら行政法やらも少し調べれば定番が何かは大体わかる。わからないのは、法哲学や法社会学や海外の法といった、法学の文化のような部分で、一体何を読めば常識的なことを知ったことになるのかわからない。検定試験問題集では、法学基礎論と呼ばれていて、各ジャンル事に参考書リストがついている。これが読書ガイドとして役立つ。試験の目的も、学部卒業でちゃんと勉強した人向けの内容ということだから、教養としての法学を身につけるには、多分、過去問集の参考書ガイドに沿って追っかけていくのが良いのだろう。
電子版マイ六法も順次更新
(実験で出張していたので、戻ってから書き込み)
電子版マイ六法もちまちまと手作業で更新中。こちらは、法令データ提供システムから、よく使う条文を全文コピーして、テキストデータとして保存しているもの。市販の六法よりは少ないが、見たいものだけ選んでおけるし、誌面の都合で抄録になっているものでも全文いれておける。
ちょっと前までは、テキストエディタにコピペして、plain textとして保存していた。しかし、plain textだとマーカーで色を変えて強調したり、といったことができない。それで、DevonThink Proを使って、rtfファイルとして保存するようにした。これだと、文字の一部分の背景色だけ変えたりといったことができる。
DevonThink Proのファイル管理機能は相当強力だし、キーワードで関連情報を探すこともできるので、数が増えてくると検索が楽になるような……。ある法律に対して関連した役所の通達等も一緒に管理できて、なかなかに便利である。
どうせなら全条文を自動でダウンロードしてキーワードで関連づけるようなスクリプトでも作るといいんだろうけど、今のところはまだ手作業でやっている。
会社法は大幅改正になったので、最新版の教科書を買い直した方が良さそうな状態である。ってか改正が激しすぎて、アマチュアがフォローするのは大変なんだが……。