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祝日で休みなので……

Posted on 4月 29th, 2005 in 倉庫 by apj

 東京に出てきてスーフェス見てきた。特に買うものは無かったが、模型の技術とかアンティークとかを眺めて楽しめた。次回は10月2日だそうで。
 ブラックジャックのフィギュアがあって、ちょっと心を動かされたが、コートの裏側をそっと覗いて、お約束のメスが仕込まれてなかったのでスルーした(笑)。

大変な脱線事故になっているが……

Posted on 4月 26th, 2005 in 倉庫 by apj

 兵庫県尼崎市のJR福知山線で快速電車が脱線した事故だが、時が経つに従って被害のすさまじさが明らかになってきている。まだ電車に閉じこめられてる人がいるようだが、生存者の反応確認できずということで、死者の数はまだまだ増えるだろう。この分だと100人を超えるかも知れない。とにかく、亡くなられた方の冥福をお祈りすると同時に、怪我をされた方の回復と事故原因の究明を遠くから望むばかりでさる。
 原因はまだ調査中ではっきりしないとのことだが、私鉄との競争で労務管理が無闇にきびしいとか、リストラで熟練者が居ないと言った問題が背後にあるといった指摘がネットのあちこちに出ていた。
 で、業種を問わず、実は日本全体がちょっと恐ろしいことになりつつあるんじゃないかと思った。確かに、リストラで一時的に利益を上げている会社は多いのかもしれない。が、事故が起きたときの損害賠償まで考慮した上で、リストラすべしという結論を出しているのだろうか。だいぶ前に、銀行のオンラインシステムの品質をどこまで上げるかという問題で、2年に一度だかの頻度で出るような不具合なら、それをつぶすためにプログラム開発にコストをかけるよりも支店長に頭を下げさせた方が安い、というのを読んだことがある。じゃあ、同じ論法を、給料の高い熟練者を追い出すというやり方に適用したらどうなるのだろう。熟練者を追い出して事故につながりかねない労務管理で利益を出したとして、そのことが原因で何年かに一度おきる大事故まで考慮に入れて、損害賠償よりもリストラで得られる利益の方が多いという結論なのかと。経営者がそこまで考えてリストラが良いと判断しているのなら、対策は、懲罰賠償を認める制度を作って、事故で企業がかぶるリスクを上げるというのが解決策の一つになりそうに思う。経営者がそこまで考えていないのだとしたら、JRだけでなく他のいろんなところで被害発生→損害賠償の経験を積んで、学ぶ以外にないのかもしれない。私としては、安全が確保される社会に住みたいと思っているのだが、現場にしわ寄せが来るようなシステムが至るところにあっては、それもおぼつかないだろう。

不当逮捕って言われてもだな……

Posted on 4月 25th, 2005 in 倉庫 by apj

 午後イチで講義があるんで、早めに昼食をとりに行って、建物を出てきてみたら、演説してる奴が居た。「不当逮捕」とか書いた立て看の前でやってたんで、まあ抗議をしてるんだろう。別に、昼休みに演説するのは自由だと思うが(ちょっとうるさいけどね)、こんなところでやってパフォーマンス以上の意味があるのかが激しく疑問。
 大体、大学には人を逮捕する権限なんか無いので、不当逮捕だと抗議されても、そもそもどうしようもないわな。文句があるなら警察の前でやるか、裁判所の前ででもやってくれと。山形の場合、どっちも大学からそう遠くないところにあるし。大学会館の前なんてのは、場所間違えすぎだな。つか、虚偽告訴は立派に刑法に触れるし、民事上も不法行為で追究できるはずなんで、学内で演説なんて暇なことをしてないで、文句があるならとっとと大学を訴えろと。
 弁護士費用のカンパが欲しいのだったら、もうちょっと状況がわかるような説明をしないと、この不況のご時世、誰も金なんか出さないと思うぞ。

 なお、不当かどうかはともかく、誤認逮捕というのは誰にでも起こりうるし、そのときの対策としては当番弁護士という制度があって、普段相談できる弁護士がいない人の緊急の相談を受けてくれる。

遅ればせながら

Posted on 4月 23rd, 2005 in 倉庫 by apj

 『「知」の欺瞞』を遅ればせながら入手してほぼ読み終えた。内容は、ポストモダン思想について書かれた論説中で、数学や物理学の言葉や概念が、本来の意味とはまるで違う意味で濫用されていることを批判したもの。メタファーとして数学や物理学の概念を使うことを批判しているわけではないが、「どこがどうメタファーなのか」が意味不明な場合に絞って批判している。
 私は、「ポストモダン」がどういう思想の流れかそもそも良く知らないのだが、別に「ポストモダン」であろうがなかろうが、単に言葉だけ引っ張ってきて適当に並べただけのような文章を書くのは間違っているということだけはよくわかった。
 この本で一番傑作だったのは「多くの例において、テクストが理解不能に見えるのは、他でもない、中身がないという見事な理由のためだということを見ていきたい」という部分。
 実は私のところには、インチキ水宣伝についての問い合わせが週に何件かあるんだけど、その中に「宣伝の内容がどうしても理解できません」てのがあるのね、実際。「書いてる方がデタラメ書いてるから読んでもわからないのが当たり前、誰かの脳内理論なだけだし」って内容をかみくだいて返事にしている。この本を引用して、「宣伝内容が理解不能なのは、中身がそもそも無いからだ」という返事を書けばよさそうだ。宣伝で技術的内容に言及する場合、「メタファー」はそもそもあり得ないし。

謝罪されてもなあ

Posted on 4月 21st, 2005 in 倉庫 by apj

 文科省がゆとり教育をやったことについて謝罪したニュースが。

中山成彬文部科学相は21日、「スクールミーティング」で水戸市の茨城大教育学部付属小、中学校を訪問し、ゆとり教育について「導入は拙速すぎた」とゆとり世代の中学生に謝罪した。

 意見交換で中3の男子生徒が「教科内容が見直されることで(ゆとり世代の)僕たちの代だけ上や下の学年に劣ることになるので心配」と訴えると、中山文科相は「ゆとり教育の見直しで教科書のページ数も元に戻りつつある。皆さんには申し訳なく思う」と謝罪した。

 また「ゆとり教育の導入は拙速すぎた。授業数まで削減したことは反省点。自分の頭で考える主体性のある子どもを育てたい」などと述べた。

 何か、根本的に前提を間違ってゆとりが導入されたのではないのかと。
 ゆとりが言われ始めた頃って、大学受験競争が激しかった頃だと思うが、教育内容をゆとりにしたって同じ条件で競争する以上、大学の定員を増やさない限り競争の厳しさは変わらないから無意味だわなあ。落ちこぼれることが問題だからと易しくしたって、勉強に向いてない奴はやっぱり他の人に比べれば差がつく。おまけに、大学卒業時に必要とされる学力は変わらないか、技術の進歩その他によってより高いものを求められてきている。ということは、落ちこぼれるのが高校までか、それとも大学に入ってからになるかという違いが出るだけじゃないのか。
 詰め込み教育で「自分で考える力が無くなる」というのもおかしな話だ。いくらカリキュラムを詰め込みにしたって、さぼる奴はさぼるし、勉強向きの奴は詰め込みなんて全く苦にせず楽々こなすだろうから、この両者については詰め込みの悪影響なんかそもそも出ようがない。詰め込みごときで自分で考えなくなったりするのは、もともと勉強向きでない奴が無理に背伸びした場合だけじゃないか。それよりも、自分でものを考えさせないシステムを作ってきたことの方が本当の原因なんじゃないか。
 「失敗から見当外れの教訓を学んだってもっとややこしい失敗をするだけ」と言ったのは、確か、トム・デマルコだったと思うが、まさにこれをやらかしてしまったんじゃないか。

Pages最強

Posted on 4月 20th, 2005 in 倉庫 by apj

 MS-WORDで書くのが望ましいとされる原稿の締め切りをかなり遅れて作業中なわけだが。Word を使いたくない一心で、あれこれ試すことになったのが主な原因の1つだったり。
が、ThinkFree Officeは重い上に文字化けが発生。
Mellelは、アウトライン機能が気に入ってるが、rtfに図を入れられなかったり。
AbiWordは、ThinkFreeよりはWord互換性が高いがそれでも完璧ではない。
あれこれ試しまくった結果、Apple純正のiWorkのPagesで書いて、Word型式で保存するのが一番安定して互換性がとれることがわかった。Pages最強だな。

学生実験

Posted on 4月 19th, 2005 in 倉庫 by apj

 本日の学生実験のテーマはラマン散乱で、GF行列の簡単な計算だったわけだが。終わったら夜の10時45分だったよ。簡単とはいえちょっと長い計算なので、途中で式を書き写し間違えたり、電卓のボタンを押し間違えたりするとはまりまくることになる。

微妙な事件

Posted on 4月 18th, 2005 in 倉庫 by apj

 浄水器の訪問販売がアサッテの方向に突き抜けて強盗未遂になったという話。

包丁突き付け浄水器売る=強盗未遂で訪販員逮捕-「殺してもいいぞ」・愛知県警

包丁を突き付け、浄水器を販売したとして、愛知県警生活経済課などは18日、強盗未遂などの疑いで、大阪府■■■■■■、訪問販売会社員■■■■■容疑者(27)ら3人を逮捕した。悪質な訪問販売員を強盗未遂で摘発するのは異例という。
 調べによると、■■容疑者と部下の少年(19)=逮捕=は昨年12月、愛知県岡崎市の男性会社員(28)宅を訪れ、浄水器を販売しようとしたが、断られた。このため、台所の包丁を床に突き刺し、「殺してもいいぞ。浄水器を付けろ」と脅した上、約25万円の浄水器を購入させたが、男性がクーリングオフしたため、未遂に終わった疑い。 
(時事通信) – 4月18日19時1分更新

クーリングオフで強盗が未遂になるというところが笑えた。確かに、刑法上の構成要件を考えるとその通りなんだけどさぁ。でも、この場合は、浄水器を売りつけなくても25万円奪い取ることができたんじゃないかと思うし、25万円欲しいんだったらその方が手っ取り早い気もするんだが、よっぽど「浄水器を売りつけたかった」んだろうか。

論文博士廃止

Posted on 4月 17th, 2005 in 倉庫 by apj

理科教育MLver.2への投稿で知ったのだけど。
論文だけで博士、駄目 大学院重視で一致 [ 04月14日 07時44分 ]より。

中央教育審議会の大学院部会は14日までに、企業や公的な研究所で業績を挙げた社会人が、論文などの審査を基に博士の学位を得る「論文博士」制度を廃止し、大学院のカリキュラム修了者を対象に与える「課程博士」制度に一本化する方向で一致した。
 論文博士については「学位のため研究を狭い分野に限定してしまう恐れがある」「日本独自の制度で国際的な通用性に欠ける」などの批判があった。
 文部科学省は論文博士を認めている省令を改正、博士号取得を目指す社会人に対しては大学院に短期間在学する「博士課程短期在学コース」の創設なども検討している。

 私は、課程博士と論文博士の両方で学位を取ったのだが、理学・工学系に限って言えば、論文博士の方が審査基準が厳しいように思う。論文博士の場合は、すでに出した成果を見て、研究者として独り立ち可能と判断されるともらえると思ってよい。ところが、課程博士の場合は審査が甘くて、投稿論文が無かったり、日本語の論文誌で査読の甘いところに1報とかでも学位がとれることがある。これは、構造的な問題で、大学院を作った以上、定員を満たしてかつ学位を出さなければならないという、事実上の縛りがあるので、大学の都合で甘くなっている。
 一方、論文博士の問題点としては、本人が実際にやったことでなくても審査に通ることがある、ということだろう。審査を受けるに際して必要な投稿論文の目安は5報前後なのだけど、企業からの場合、グループのヘッドが部下の研究をまとめて取得ということが可能である。また、修士卒や博士取得見込みで助手になったあと論文審査で取得する場合、研究の指導は教授で助手は現場監督をしただけで、学生や院生のデータで論文を書いて論文博士を申請することもできる。いずれの場合も、論文の共著者の「同意承諾書」(共著者に対し、その論文の内容を学位論文の内容と認めるという書類に署名させる)が必要だが、上司に求められて断る部下は居ないし、助手に求められて断る学生・院生もまず居ないだろう。
 大学院後期課程を終わっても学位が取れず、その後論文審査でとる人が36%だそうだが、論文博士を廃止した場合、このルートがつぶれる可能性がある。多くの大学で、課程博士の単位取得退学後何年かは、在籍していた研究科で論文審査を受けられるという制度にしているが、これが内規だけでできるのかは、私もまだ知らない。ただ、このルートを潰した場合、現在後から取得している36%に在学中に学位を取らせるために、課程博士の学内審査基準が今よりもっと甘くなって、さらに学位取得者の研究能力に対する信頼性が大幅低下というオチが待ってそうな気がする。
 また、オーバードクターが問題になっている現在、修士あるいは博士中退で助手→仕事をしながら学位取得、というルートを潰すのは、政策的には「矛盾」していない。文部科学省は博士取得者を増やす政策をとっているから、博士の就職先をちょっとでも増やす方向に舵を切るのはむしろ当たり前のことではないか。助手採用の時に、「すでに研究の方向が固まってる人なんかいらない」と公言するセンセイも居るわけで、そういうワガママを言う余地を無くす意味もあるんじゃないか。
 実際のところ、教育について言えば、課程博士の方が手厚いといえば手厚い。しかし、手厚い=手取り足取り指導する、となる場合もあり、そういう人は学位を取っても大して使えないことは確かである。また、研究はある程度絞って狭く深くやらないと論文に結びつかないから、論文博士でも課程博士でも、この点については差がないと思う。
 研究室への予算配分は、所属している卒研生、博士前期、博士後期の学生の数によって差がついている。当然、上にいくほど一人あたりの単価が高い。だから、博士が欲しけりゃ在学しろという制度にした場合、入学金と授業料で大学はウマー、研究室も予算が増えてウマー、というのが見込まれる。既に、北大は、博士前期2年間は授業料タダを打ち出しているが、財源は学外に求めるということを謳っている。
 大学院重点化だって、元々は、文系の留学生が学位を事実上取れないのは困ると言う話から出てきていた筈である。そこに、東大のホンネ
 東大だけ大学院重点化→大学の差別化&予算増でウマー
が乗っかったらしいが、これを他の大学が指をくわえて見過ごす訳もなく、
  重点化の動きが他の国立大学にバレる→取り残されたら大差がつくと
  思った国立大が我も我もと重点化→東大は高学力を背景に院定員大幅増
  で対抗、私学も大学院設置に走る→大学院生全国的に激増で学力低下の一途
が現実には進行し、重点化で助手ポスト激減のうえポスドクが増えて、未曾有の就職難の状況を作り出した。当の東大はというと、今頃になって院に優秀な学生が来ないと嘆いている(今年の3月上旬の日経新聞に出ていた)。
 お役所としては、一般に「問題が発生してからでないと予算がとれない」ので、ポスドク問題を作ってから対策費用を獲得するという手順が最初から織り込み済みだったようで。それでも、身分不安定な人材を大量に養成するために税金を使う政策をとるのはどうかと思うが。

 さて、中教審の狙いが本当はどこにあるのか、すぐには読めない。が、論文博士が海外の制度と違うというなら、課程博士の方は海外と同じにやってるのかということも問題にすべきじゃないかと思うんだけど。院生の待遇面も、審査のレベルも、教育内容も含めてだけど。

やっぱりUSBは遅い/マイナスイオン2悪に?

Posted on 4月 16th, 2005 in 倉庫 by apj

 やっとバックアップが終わった……と思ったら私の操作ミスで、Mac OS 拡張フォーマットにしていなかったので、上書きコピーできないファイルが出てきてしまった。仕方がないのでフォーマットして、絶対必要な文書関係のバックアップをまとめて終わらせた。
 弁当箱ほどのHDDを回収して戻って、家でメールフォルダのコピーをしたんだけど、やっぱり遅い。FireWire接続の方が速度は出る。ファイルが大きくなると差が歴然というか。

 ところで、妙なメールを受け取った。マイナスイオン批判をしていたら、安井至氏に「マイナスイオン非科学派3悪」と呼ばれたうちの一人、堀口昇氏が逃亡中(激謎)だそうな。以前堀口氏と関係があったが金銭的な損害を被ったと主張する方からのたれ込み。それによると、どうも、宗教団体のようなものを作ったりもしているらしい。読みながら、被害にあったと主張しつつオマエは堀口氏の追っかけでもしとるんかと思ったわけだが。
 まあ、私のところに言ってこられても、疑似科学批判ならやるけど金銭的被害だの捜査だのといった話はどうにもならないし、この先、カルトの被害発生の可能性があるなら相談先は紀藤弁護士のところだろうということで、その手のネタはウチじゃなくて弁護士に相談しろと、まあそういう返事を書き送った。