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学生実験用新ネタ

Posted on 4月 13th, 2005 in 倉庫 by apj

 物理化学の学生実験が始まったので、昨日はガイダンス、今日は実験室の器具だしとか実験道具の整備を、TA(ティーチングアシスタント)の院生達とやっていた。
 実験項目にUV・可視吸収スペクトルの測定というのがあるのだが、これの作業量が少なくて、いつも初日で早々と終わってしまう。もうちょっと追加できないか……と考えて、タイムリーなネタとして、お茶の色のpH依存性を測定してみることにした。
 これまで、さんざん、「電解還元水でお茶の色が濃くなる」と宣伝され、それが摩訶不思議でかつ何かすごくいいことのように思われているようなのだが、実は色素のpH依存で説明が付く話である。で、一般の方々には、重曹水で同じコトをしたらどうかとか、一般に色素の色はpH依存するとか、言いまくってきたのだが、今度は学生をダシにしてちゃんと測定してみることにした。
 本日実験をしてみたら見事に出ました。使ったのはキリンの「生茶」。何もしないと(つまり私達が飲んでいるものは)pH6.4。広域緩衝液でpH3, pH7, pH12のものを調整し、それぞれの緩衝液でお茶を2倍に希釈し、可視吸収スペクトルを測定した、というのが実験内容なのだけど、pH12のものは、濃度が2分の1になったにもかかわらず、何もしていないお茶より吸収が大きいと出た。見た目の色も濃くなっていた。ということで、お茶の色が変わるのは電解水の不思議な効果でも何でもなく、普通にpHを振れば再現できるということが確認できた。
 あとは、学生向けの実験の手引きを作るのと、本日の実験のサマリーをウェブに出す仕事が残っている。まあ、これで、ウチの学科の卒業生は、電解水の変な宣伝にはひかからなくなってくれるだろうと期待したい。