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遅ればせながら

Posted on 4月 23rd, 2005 in 倉庫 by apj

 『「知」の欺瞞』を遅ればせながら入手してほぼ読み終えた。内容は、ポストモダン思想について書かれた論説中で、数学や物理学の言葉や概念が、本来の意味とはまるで違う意味で濫用されていることを批判したもの。メタファーとして数学や物理学の概念を使うことを批判しているわけではないが、「どこがどうメタファーなのか」が意味不明な場合に絞って批判している。
 私は、「ポストモダン」がどういう思想の流れかそもそも良く知らないのだが、別に「ポストモダン」であろうがなかろうが、単に言葉だけ引っ張ってきて適当に並べただけのような文章を書くのは間違っているということだけはよくわかった。
 この本で一番傑作だったのは「多くの例において、テクストが理解不能に見えるのは、他でもない、中身がないという見事な理由のためだということを見ていきたい」という部分。
 実は私のところには、インチキ水宣伝についての問い合わせが週に何件かあるんだけど、その中に「宣伝の内容がどうしても理解できません」てのがあるのね、実際。「書いてる方がデタラメ書いてるから読んでもわからないのが当たり前、誰かの脳内理論なだけだし」って内容をかみくだいて返事にしている。この本を引用して、「宣伝内容が理解不能なのは、中身がそもそも無いからだ」という返事を書けばよさそうだ。宣伝で技術的内容に言及する場合、「メタファー」はそもそもあり得ないし。