環境ホルモン濫訴事件(中西準子 vs. 松井三郎、ダイオキシン・環境ホルモン国民会議)
7月15日は休暇を取りました。横浜地裁へGO!です。裁判所でお会いしましょう。掲示板にも書いたのですが、こちらにも関連情報をまとめておきます。
●第二回口頭弁論
2005年7月15日(金)午前10:30 横浜地方裁判所
ラウンドテーブルで行われるらしいが、法廷は不明(早めに行って事件表を確認する必要あり。後のために事件番号の確認とメモを忘れずに。)
●法令データ提供システム)
裁判所法:71条、71条の2、73条
法廷などの秩序維持に関する法律:1条、2条
裁判所傍聴規則:1条、2条、3条
・メモを取っていいかは結構微妙。メモ帳とペンは持ち込んでみて、禁止されたらそれに従えばいい。多分禁止はされないとは思うが……。
参考(法廷メモ採取(レペタ)事件 最大判平元3.8)
事前にメモをとっていいか許可を求めたら不許可となったため、知る権利の侵害であると主張し憲法21条違反かどうかで争った事件。メモ行為の権利性は否定されたが、メモを取る行為自体については「故なく妨げられてはならない」「メモを取る行為が法廷における公正かつ円滑な訴訟の運営を妨げる場合には、それを制限又は禁止することも許されるが、そのような事態は通常はあり得ないから、特段の事由がない限り傍聴人の自由に任せるべき」とされた。憲法の教科書には必ず出てくる定番の有名な判例。
●関連情報
○「インターネット上の表現の自由を考える掲示板」に私が投げたもの。みなさんのコメントがついている
○中西準子氏の雑感
口頭弁論の話をウェブに書くと、ダイオキシン・環境ホルモン国民会議の代表から抗議がくるらしい。
●おすすめ参考書(私の蔵書からなので、偏ってるかもしれません)
○名誉毀損そのものについて
・「名誉毀損の法律実務」佃克彦著 弘文堂 4-335-35325-1
読みやすい解説書。初心者でも読める。
・「情報化時代の名誉毀損・プライバシー侵害をめぐる法律と実務」 静岡県弁護士会編 ぎょうせい 4-324-06244-7
大量の判例を収録し、番号を振って、それぞれについて検討。手っ取り早く過去にどんな判決が出たかを知るにはいいが、法律の本を読み慣れてないと十分活用できないかも。
○訴訟、法律一般について
・「法的思考のすすめ」陶久利彦著 法律文化社 4-589-02622-8
法律を使ってどういうルールで論理を組み立てるかについての入門書。
・「[新版]タテマエの法 ホンネの法」柴田光蔵著 日本評論社 4-535-51436-4
法律と「世間」の距離や関係を考えるのに役立つ。予備知識は無くても楽しく読める。
・「リーガル・ネゴシエーション」加藤新太郎編 弘文堂 4-335-30122-7
今回は、バックの団体がかなり教条主義的かもしれんので……。逆に、ネゴシエーションという概念をドコまで持っているか、測っておく必要があるかもしれない。そのための考える資料。
○教科書
・「憲法I 第三版」 野中・中村・高橋・高見著 有斐閣 4-641-12893-6
・「憲法II 第三版」 野中・中村・高橋・高見著 有斐閣 4-641-12894-4
特にIの7章の自由権のところが基本。ただし、自由権を主張するのがいいかどうかは、後に書くように、全くの別問題である(でも知らないと考える手がかりもないし)。
・「ゼミナール民法入門 第三版」道垣内弘人著 日本経済新聞社 4532132916
名誉毀損は、民法の710条あたりの不法行為(契約によらずに債権債務関係が発生する場合の1つ)になる。そもそも民法って?って場合は総則の所を読むとよい。大体これ1冊でわかるお得な本。ただ、不法行為はそんなにたくさんは出ていない。詳しく知りたい場合は、有斐閣叢書の「民法(7)」が、不法行為・不当利得・事務管理だけ書いてあって情報が多い。
・「民事訴訟法 第四版」上田徹一郎著 法学書院 4-587-03606-4
手続きの細かいことを知りたいマニアックな人向け。電話帳ほどではないにしてもかなり分厚い。六法片手に線でも引きながらでないと読めない種類の本。
ちなみに、今回の訴訟だけど、問題点は既に書いたように、裁判所で争う内容ではないことを理由に提訴してる(しかもそれをプレスリリースしちゃってる)こと。中西氏を応援したい理由は、自由権の侵害が行われたからというのではなくて、情報発信をする一専門家の立場から、発信によって利益・不利益を受ける人の間の利害の調整をどうするか考えたときに、本件訴訟は妥当でないと判断したから。でもここらへんは、もっと詳しい情報がわかったら変わるかもれない。
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