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8月だというのに

Posted on 8月 9th, 2005 in 倉庫 by apj

 8月だというのにずいぶん涼しい上に雨ばかり降っている。何だか梅雨に戻ったような気温と空模様なので、ネットの天気予報で見ると「前線が停滞」。暑いのが苦手だから、多少じめじめしても気温が低い方がまだましである。

 ところで「ボーダーランド」マイク・ダッシュ著、南山宏訳、を読んでいたらルルドの泉の話が出てきた。水商売方面では奇跡の泉として、他の水と一緒に宣伝に使われたりしているが、もとの話を読むと、どう見ても奇跡の意味が違う。
 きっかけは、ベルナデットという貧しく病気がちの少女が、町はずれの川の洞穴に、白い女性の姿を見たことに始まっている。そのあと、証人を伴って同じ洞穴に行ったが、白装束の女性を見たのはベルナデッドだけであった。何回か白装束の女性に会った後、その女性に「その泉からお飲みなさい」と言われたとされている。その場所から泉がわき出したのがルルドの泉である。その後、白装束の女性は洞穴に礼拝堂を建てるように言い、白装束の女性が何者かという問いに対して「無原罪懐胎です」と答えたので、白装束の女性は聖母マリアであるということになった。その後、その水で病気が治ったという報告が出始めた。ベルナデッドは修道院に入り、無くなってから聖人の列に加えられた。
 ということで、泉が奇跡的効果を現すという話ではなくて、聖母マリアが現れたことや、その指示で泉を見つけたことが、聖母マリアの示した奇跡の内容ということになる。だから、ルルドの泉を引き合いに出して、どうでもいい還元水だの何とか水の宣伝をするのは見当はずれということなのだろう。

 ただ、信仰と奇跡の問題はおいておくとして、聖母マリアの出現の仕方とUFOが現れたという話の共通点が指摘されている。聖母マリアの方は現れる相手をえり好みして、まわりに状況を理解させることが難しい子供の目の前にばかり現れるし、UFOの方はあまり人の来ない田舎にばかり着陸している。どうして、聖母ならローマの聖ペテロ大聖堂にあらわれないのか、UFOならホワイトハウスの前に着陸しないのか、ということだ。