おすすめ参考書
「食卓の向こう側」を批判するだけでは何なので、まともな方の参考書を紹介しておく。「食卓の安全学ー「食品報道」のウソを見破る」松永和紀著(家の光協会)。この本の特徴は、食品報道をどう読むかという、科学情報に関するリテラシーの部分に相当なページをさいているところである。参考までに、2章と3章の目次を示す。
第2章 科学記事はこうして作られる
1 新聞記者はオールラウンドプレーヤー
2 事実を伝えるのは難しい
3 センセーショナルが最優先なんて
4 仮説を事実として報道する怖さ
5 誤りを正さないマスメディア
6 「ナンチャッテ学者」の不思議な存在
7 経済部記者が書く科学記事
8 でも、ジャーナリズムには役割がある
第三章 科学記事を正しく見極めるには
1 有名人のお墨付きにはご用心
2 「体験談は信用度ゼロ」と思え!!
3 動物実験にごまかされてはいけない
4 記事広告にも気をつけて
5 数字、単位、グラフのトリック
6 毒性の種類と量に注目する
7 学会発表は信用できるか?
8 目指せ!『ネイチャー』『サイエンス』
私が教養の講義でやっている「科学リテラシー」の内容の一部が、ほぼ完全に含まれている。今年はもうシラバスを決めてしまったので、各自で買ってくれというしかないが、来年度から参考書指定しようかと思っている。個別の食材を議論している部分は、時間がたてば古くなるかもしれないが、2章や3章の指摘は今後もおそらくそう大きく変わることはないだろう。本当は、こういう知識を高校までにみんなが知っている状態であることが望ましいのだが……。
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