ネット新聞の「水からの伝言」批判
インターネット新聞より。「「水からの伝言」にみるにせ科学」というのが出ている。ここについているコメントに、「水からの伝言」を広めている江本氏の学位が、ディプロマ・ミルによるものだという指摘があった。
今週の教養の講義で、水からの伝言批判をやったのだが、学位販売業についても注意を喚起する必要があるかもしれない。
日本の大学は、国立大学法人については元々文部科学省の実行部隊だったし、私立大学についてはやはり文部科学省が許認可行政でがっちり縛った。このため、「大学」を名乗るディプロマ・ミルが発展しなかったのではないか。博士号販売会社(**博士という商標を販売する)、あるいはそれに近い「大学」には日本からもアクセスできる(例:ニューポート大学、イオンド大学など)が、これらの大学は、通常の意味で大学入試の時に考慮の対象になることはまずない。受験産業がそもそも相手にしていない。許認可行政の是非がとやかく言われることもあるし、規制緩和が求められることもあるが、こと大学についていえば、文部科学省の許認可行政はディプロマ・ミルによる被害を防いだという効果があったのではないか。しかし、アメリカでは、国ではない組織が大学認定をすることがあるので、認定団体自体が怪しいと、その下に「あやしい大学」がぶら下がることになる。
国立大学法人については、大学評価・学位授与機構による外部評価を受けることになっている。評価項目の中に「大学が教員の評価システムを持っているか」という項目があるので、本学でも教員の評価をどうするかについて、委員会や会議などで議論が行われている。
この評価、導入の仕方やその後の運営方法かならずしもはっきりしないこともあり、教員の差別化につながるのではないかと危惧する向きもある。しかし、外部評価を怠った場合、その隙にディプロマ・ミルの跳梁を許す可能性だってある。こちらの方がより問題ではないかと思う。インチキ大学に荒らされるよりは、厳しいことを言われたとしても、評価を受け入れる方がずっとマシだという考え方もあるのではないか。