物理学会のシンポジウムで話をする予定
学習院大学の田崎さんが、日本物理学会の「物理と社会」分科シンポジウムとして提案していたものが、正式に採択された。提案趣旨は田崎さんのサイトにある。プログラムは以下の通り。
「ニセ科学」とどう向き合っていくか? (「物理と社会」分科シンポジウム)
日時 2006 年 3 月 30 日(学会最終日)、午前 9 時から
プログラム
はじめに — 科学と「ニセ科学」をめぐる風景 田崎晴明 15分(質疑なし)
「ニセ科学」入門 菊池誠 30分(質疑10分)
「水商売ウォッチング」から見えたもの 天羽優子 30分(質疑10分)
休憩10分
「ニセ科学」の社会的要因 池内了 30分(質疑10分)
討論と全体への質疑応答 30分
線引き問題でも単なる批判でもない議論をするつもりだが、どういう話の展開にするか、細かいところはまだ決めていない。今回の「ニセ科学」は、「科学を自称するが、(科学の手続きにのっとっていないので)科学ではないもので、かつ営利に使われるもの」と定義することになるだろう。
提案趣旨の中に、科学とニセ科学は同じ市場を奪い合う関係とあるが、これは、実のところもっと生々しい話である。というのは、競争的研究資金と称してお役所があらかじめテーマを決めて研究費を配分したり、あるいは企業への補助を出したりしているのだが、油断していると、研究テーマに「ニセ科学」が混じることがあって、冗談抜きで市場どころか同じ研究費のパイを奪い合う関係になっていることがある。私は主に水関係のニセ科学批判をやってきたし、そのことで企業側からクレームもつけられた。そのときの相手の主張を聞いた限り、相手は、起きていることがマーケットの争奪戦であるという認識をしていないように見えた。
科学の教育や啓蒙をすることで騙される人を減らすためには、ニセ科学を批判しておかなければならないことは確かだが、これは倫理的な面の話である。それだけだと単なる独善に陥る可能性がある。やっていることが、製品を売るといった通常の市場とは異なる「市場」の奪い合いだという認識で戦わない限り、状況を整理することはできないだろう。ニセ科学を批判されて怒る人たちというのは、製品販売の邪魔をされたと主張するが、彼らだって我々科学者の市場を奪う活動を自覚無しにやっているのだ。
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