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ML経由の話題なのだが

Posted on 1月 15th, 2006 in 倉庫 by apj

 秋山明胤という人が「磁気による植物革命」という香ばしい本を出しているとか。どっかで聞いた名前だと思ったら、私のぶっつぶれた学位仕事がらみだった。
 私が東大の院で軽部教授から与えられた、「微小グルタミンセンサを用いたラット小脳の計測」の前任者が、この秋山氏にいろいろ習っていたらしい。前任者はポジティブな結果を出して修士で卒業したが、実はそれがアーチファクトだったことが判明し、私のテーマはつぶれ、博士課程の3年間を棒に振った。
 何が問題だったかというと、神経伝達物質を測定するのに、シナプスの外にセンサーを置いたのではダメだろうということである。神経伝達物質はよく制御された状態で生体内で使われ、速やかに再吸収されるので、シナプスから外に漏れてくることはないかというのがその理由である。さらに、電気刺激をした場合、刺激のための電気信号と測定系が干渉して、物質だか電気信号だかわからないことになってみたり、電気刺激でかけた電圧でリンゲル液が電気分解されて、その生成物を測定している状態だったりで、まあどうしようもないテーマだった。
 当時の研究室の人の話だと、秋山氏は、微小センサーによる脳の計測はもともと自分が始めたのに軽部教授にまねされたと、文句を言っていたらしい。軽部教授は相手にしていなかったが……。
 その後、このまま続けていたのでは、単なるアーチファクトを成果として発表する羽目になりかねないと思ってテーマごと変更して、脳からもセンサーからも足を洗ってしまった。以来、ずっと忘れていたのだが、全然関係ない集まりでいきなり秋山氏の名前が出てきて驚いた。しかも、今でも微小センサーで神経伝達物質を測定しているらしい。そうなると、植物も磁気も関係なさそうなので、ちょっと謎である。

 なぜか、私と過去ににニアミスした人たちがそっち方面に走っていることが多い。秋山氏は今回新たに判明したのだが、マイナスイオン水の山野井昇氏は、私がゼミに通ってい先の研究室でもあり学位論文の主査でもある(元東大医用電子研究施設の)神谷先生のグループの人である。その後、千葉の放医研に行ったら、直後に山本氏の「気の研究」が隣の部屋で始まった。このネタは、別冊宝島「トンデモさんの大逆襲」にも出ている。その山本氏のところに手伝いに来た人は、「人間の意識で観測結果が変わる」という発表を日本物理学会の生物物理のセッションでやっていたしorz。