ガイダンス
新年度恒例のガイダンスなので、朝からお茶の準備をしていた(といっても、ティーバッグを買ってきてポット一杯に湯を沸かしておくだけ)。
ウチの学科では、以前から、学生2,3人を一人の教員がアドバイザーとして担当するという制度を作ってやっている。相談一般の窓口になるのがアドバイザーの役割である。2,3年に関しては、半期ごとに成績表を手渡しして様子を見るということをしている。たまに、途中で来なくなって留年したりする学生が出ると、本人に連絡をして状況を訊いたり、場合によっては家族に連絡しなければならないことがある。
新入生については、4月の全体ガイダンス修了後に少し時間をとって、時間割編成の相談にのったりチェックをしたりする。大学の講義は、自由に選べるようにみえて実は不自由である。教養部が無くなってから、1年次に学部の必修科目が入っている。英語と外国語は履修する組み合わせが決まっていたりするし、情報処理は教室の都合で学科指定がある。絶対にとらなければならないものを先に埋めてから、空いている時間に一般教育を埋めることになる。しかし、選択できる一般教育科目といっても、各分野から最低2単位以上とか、ある分野に偏りすぎてはいけないといったルールがあって、慣れないと結構ややこしい(毎年細かいところが変わるので、説明役の教員は事前に集まって勉強会をしているので、教員だって慣れなくてややこしい思いをしている)。講義によっては受講人数上限が決められているので、その場で抽選になることもあり、はずれると別のを探さなければならない。このあたりを最初によく説明し、「必修をまず先に埋めろ、遅れると抽選に参加できなくなることがあるから最初は特に遅刻するな」と言っておくことにしている。特に今年は、ガイダンスの翌日から授業開始で、選択科目についてゆっくり考える余裕がない。
ともかく、高校からやってくる学生は「単位をとる」ということが既に「専門用語」でよくわかってなかったりするので、全体のガイダンスでは大学のシステムの説明からやっている。個別のガイダンスでは、ちゃんとわかってるか確認しながら、時間割編成となる。
学生に対する確認の重要なものの1つは「友達つくったか?」である。講義を休んだりしたときに、気軽にノートを見せてもらったり講義の様子を訊いたりできる友達が何人か居れば、多少成績が悪かったり単位を落としたりしてもリカバリーできる。最初に友達を作り損なって一人だけになってしまうと、大学に出てこなくなってそのまま、ということになりやすい。
ともかく、時間差で学生が研究室にやってくるので、朝からお茶の準備をして待っていた。全員顔を見せてくれて、それなりに元気にやっているようなのでちょっとほっとした。
ここからは旧ブログのコメントです。
by mnr at 2006-04-28 23:19:28
Re:ガイダンス
>> 学生に対する確認の重要なものの1つは「友達つくったか?」である。
友達なかなか作れずに落ちこぼれかけた一人です。^^;
by R/Bの残党A at 2006-04-02 23:46:02
Re:ガイダンス
>学生に対する確認の重要なものの1つは「友達つくったか?」である。
学生生活を築くうえで最も重要なのは「友達をつくったか
どうか」であるという点に激しく同意する。
ところが、昨今の学生は友達作りが下手なような気がする。3年次配当の英語の授業を担当するが、(課題の多い
英語なぞツレと一緒に受講するのがセオリーだろうに)
学内に友人がいないという3・4年次生が結構混じる。
3・4年では手遅れの感もあるが、とにかく友人作りに協力
する政策を授業で実施する。
・チームに分け授業をチーム対抗戦にする。
・チームになじませるため最初の授業はチーム対抗の
ゲームをする。
どうも多人数によるゲーム経験が乏しいようで、学生は
結構興奮してもりあがる。
このような多人数のゲーム経験(一種の社会経験)など
は、小中高で十分経験していれば友達作りも容易だろ
うに、と思う。
わが身を振り返って、大学を出て二十数年、当時の
麻雀仲間とのつながりは健在で、今もありがたい。
by まいまい at 2006-04-59 00:50:59
Re:ガイダンス
あー多くの大学で教養部がなくなったというのは、説明を読むと筑波化したということなのですね。
ちょろそうな講義を探して学内をうろつきまわったことが思い出されます。
教員も必死でしたよ、教室に学生があふれると、その場で思いついた「課題」や「受講に必要な数多のテキスト」を列挙して、甘く見ていた学生をあきらめさせようとします。
友人に聞いたところでは、当時のスタンフォード大学では、学生は仮受講申し込み=受講予約チケットを持って様子を見て回り、本申し込み時にキャンセルする時は短い評価をつけて出すんだ、日本は甘いよといってましたね。
by SS at 2006-04-26 05:41:26
Re:ガイダンス
私が学生のころは、一部のサークル(過激派とか新興宗教とか)に入らないようにとか、先輩が色々とアドバイス下さってました。
英語は【団結】しましたねー。英語は嫌いではなかったのですが、読まされた本がみんなでキラってました。今思うとその頃はまだ子どもで、その本の良さがわかんなかったのだと思ってもいたり。
情報処理はサークルの先輩の方々に教えていただきました。FORTRANの講義も受けたけど、結局友達にデバッグしてもらったっけ。なつかしい思い出です。
by apj at 2006-04-47 10:08:47
Re:ガイダンス
今だと、学生への注意事項は、カルトに引っかかるなとか悪徳商法に引っかかるなといったものになりますね。うっかりエロサイトをクリックして不正請求食らっても無視で対応、とか。契約って何ってあたりから説明しないといけないこともあります。過激派は、大学にもよるのでしょうが、ウチではすっかり見かけなくなりました。
元々化学科の当学科の場合は、標準的な化学の講義があるわけですが、教科書が電話帳(笑)状態です。つまり、各講義で覚えないといけないことが多いんです。物理や数学に比べて絶対量が多い。だから、友人とうまく協力して情報処理すると楽になる場合がかなりあるんじゃないかと思います。
これがもっと極端な形で出たのが医学部でしょう。以前、所用で、東京医科歯科大学の講義室に行ったのですが、壁に科目ごとの試験対策担当者リストが貼ってありました。ノートの整理などを担当する係のようで、一クラス全員で分担を決めて作業をしていた。医学部の教科書はさらに分厚い電話帳状態の上、6年終了して国家試験に通らないと意味がないわけですから、いかに効率よく必用な情報を整理して覚えるかが肝になります。クラスで完全に孤立するようだとそもそもやっていけない。最低限の人間関係を作れない人は、よほどの天才(何を見ても一発で暗記してしまうような特殊な人人)でない限り、学部の間に自動的に淘汰されるということのようでした。
by zorori at 2006-04-11 21:58:11
Re:ガイダンス
>学生に対する確認の重要なものの1つは「友達をつくったか?」である。
大学の先生がこんな事までしなくてはならないとはお疲れさまです。なんだか、中学や高校の話みたいです。
どころで、友達の大切さがわかっていない学生なんていないはずで、分かっているけど性格的になかなかできないという場合が普通だと思うのですが。ひょっとして、今時の学生は、「あ、そうだったんですか」なんて言って、すぐに友達を作ったりするんでしょうか?
by 酔うぞ at 2006-04-49 04:36:49
Re:ガイダンス
明日からまた高校の総合学習の社会人講師を半年やるのですが、正にチームワークを体験させるですよ。
なにしろ「君と君で話し合って決めて」と直接二人に指示しても「どうやって話して良いか分からない」状態なんですよね。
それも半年もやると、勝手に互いに手伝ったりするようになることが分かってますから、やりがいはあります。
しかし「話が出来ない高校生」というのはショックですわ。
by apj at 2006-04-26 10:13:26
Re:ガイダンス
担当でないのでなかなかアレですが、ウチの学生向けの就職活動セミナーでも企画して酔うぞさんを呼びたい気分ですよ。
大学の教員なんて、普通の意味での就職活動をしてない人たちの方が圧倒的に多いのだから、学生に向かって就職活動とはなんぞやなどと言うのがそもそも無理ではないかと。
世の中の企業がどうやって動いて利益を出してるのかというあたりから、実務やってる人の声をきかないと実感がわかないように思います。
by 越後屋遼 at 2006-04-48 10:29:48
Re:ガイダンス
社会人になっても友達ができない人は職場で浮きますもんね。
うちの関係部署にも”K”ってのがいまして、頭もキレるみたいだし、キーボード打つのも早いみたいなんだけど、人付き合いがまたくできないみたいで、その結果(結果としては逆かも)仕事上の会話でも配慮が足りず、周囲から「あいつに何言われても流しとけ、気にするだけ無駄だ。」とか言われています。
たぶん、本心から悪いヤシだとは思えないんですけども、損してるなーと。
もう40歳なんで、今更何言っても直らないでしょうけど、若いうちならいろいろと矯正も利くでしょうから、機会があれば、そういう機会で友達作りを教えてあげるというのは必要かなと思います。
がんばってね、先生方。
by apj at 2006-04-43 20:10:43
Re:ガイダンス
職場だから、プライベートな意味での友達にまでなる必用はないでしょうけど、仕事の話や情報交換が普通にできて、あたりさわりのない世間話が出来る程度のことは、どこに行っても必用でしょうね。
by take at 2006-04-54 16:10:54
Re:ガイダンス
私のいた大学では,過年度生や他学部生に対する聴講制限が酷いものでした。私は,総合大学にきたのだから,自分の専攻に留まらず広く学問をやりたいと思って,聴講しに来たのですが,留年生と一緒にされて「対象外」だからだめと,門前払いをよく受けました。理由を聞いてくれる教官でも,「ここは●●学部●年生のための講義だから」の一言で,同じく門前払い。なんのための総合大学なんだか,当時も今も不満に思っています。