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江戸民具街道

Posted on 4月 14th, 2006 in 未分類 by apj

 本日、裁判所で解散した後、酔うぞさんとcomさんと一緒に個人運営の博物館に立ち寄った。
おもしろ体験博物館 江戸民具街道
259-0142 神奈川県足柄上郡中井町418
Tel/Fax 0465-81-5339

 江戸時代の燭台、行灯や駕籠、水瓶、消防ポンプ、干菓子の型といったものが多数展示されていた。私は今回初めて見たので、まだどう理解していいかわからない。燭台が、「地球ごま」みたいに二軸で回転する金具に固定されていて、手が震えてもろうそくが一定の位置を保つ仕組みになっているのをさわってみることができた。行灯に菜種油を補給する壺は、補給の時に漏れて伝った油を容器外側のせり出した部分で受け止めて、穴から自然に容器内に戻す工夫がなされていた。当時の普通の人にとって油がどれほど貴重だったかは、こういう工夫を見ないと実感できない。モノが豊富になると、この一手間かける精神はどこかに失われてしまうらしい。
 菜種油の行灯の明るさを体験させてくれた。個人運営の博物館で、部屋を暗くして火を付けてくれた。がんばっても出力は1Wだそうで、思ったより暗い。時代劇でも、夜の薄暗い部屋が演出されているが、あんなに明るくない。和紙を通して明かりを見たら、とても文字など判別できない。直接火に近いところに持って行くとかろうじて文字や形が判別できるという明るさだった。ろうそくは高級品だから、一般家庭ではそうそう使えなかったが、客を取る花街ではたくさん使われていた。当時の人たちにとっては、大量のろうそくが使われている花街は、今でいうならネオンサインぴかぴかでエレクトリックパレードをしている光景のように映ったに違いない。 それでも、ガス灯や電灯に比べれば暗かったわけで、ただ単に街が明るくなったというだけでも、あの時代の人たちは文明開化を肌で感じたのではないだろうか。
 酔うぞさんが興味を持っていたのはお菓子の型で、型を抜くための工夫が、機械の金型と同じ仕組みだだと言っていた。金型工作の経験は全くないので、そういうものなのかと興味深く見てきた。
 天文時計の動態保存がすばらしい。こりゃ国宝級だろうという話をしていた。オールメカニック、おもりを下げておいて、一定速度で降りてくるのを、板に描かれた線の目盛りで読むのだが、GPSでチェックしたら一日の誤差が1秒だったそうで……。

 車で行かないと到達困難な場所にあるが、見学が可能な人はぜひ一度といわず、訪れてみてほしい。電化されて失われた生活の知恵と、今も場所を変えて使われている知恵の両方を知ることができる。