教育基本法改定案第2条
比較をやってるページより。
(教育の目標)第二条
教育は、その目的を実現するため、学問の自由を尊重しつつ、次に掲げる目標を達成するよう行われるものとすること。
一 幅広い知識と教養を身に付け、真理を求める態度を養い、豊かな情操と道徳心を培うとともに、健やかな身体をはぐくむこと。
二 個人の価値を尊重して、その能力を伸ばし、創造性をはぐくみ、自主および自律の精神を養うとともに、職業および生活との関連を重視し、勤労を重んずる態度を養うこと。
三 正義と責任、男女の平等、自他の敬愛と協力を重んずるとともに、公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。
四 生命を尊び、自然を大切にし、環境の保全に寄与する態度を養うこと。
五 伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。
一と四にかなり不安を感じるわけだが……。
既にと学会でもネタにしたし、教養の講義でもネタにしているが、心のノートというのがある。文部科学省が無料で配りまくったもので、小学校1・2、3・4、5・6、中学生向けの計4冊が出ている。これがまたどうしようもない、というか「道徳とは何か」を全くわかってない人が作ったとしか思えない内容である。
たとえば、5,6年生向けの内容より。
・「自由にともなうものは責任」
自由に伴うのはリスクだろ!権限には責任が伴うが……。
・「新しいものを求めて」という項目と、キュリー夫人の例
それは道徳じゃない、むしろ理科だろうと。
・自分の生活を見つめる(規則正しい生活かどうかなどをチェック)
道徳じゃなくて保健衛生の問題では
・自然に対して畏敬の念を持とう
これも道徳じゃないだろう
3,4年生用の見所はココだ。
・「動物も植物もともに生きている」で、菊の茎を折ったからティッシュペーパーで包帯(?)をしたという作文
ティッシュじゃ無理だろ支柱立てろよ!解決策間違えすぎ。
・「ひとびとは古くから動物や植物といっしょに心を通わせながら生活することを大切にしてきました」で、写真が三枚。「冬を日本で過ごす白鳥(親子連れがエサをやっている)」「屋しき森に囲まれた農家」「ハチを育ててはちみつを取るれんげ畑」
最初のはともかく、真ん中は一方的利用だし、最後のはハチがめちゃめちちゃ怒ってるはずだろ!後に行くほど人による搾取が強まってるわけだが、ネタかよ!
・「美しいものに感動する心を」
それは芸術でやることで、道徳で求めちゃいかんだろ。道徳的な判断と「美」は別でないと困る。
・「外国の人々や文化にも親しみましょう」で、衣食住の紹介写真が3枚。
とりあえず手軽に親しめそうなのは「食」だけだというオチ。小学生だから、親と一緒に食事にでも行くしかない。最近は、海外料理の専門レストランが増えてるからなぁ。
で、とってもイタイと思うのは、記入式の「心のノート」の空欄を埋めたのが他人の手にわたったら、まず間違いなく脅迫・嫌がらせに使われるだろうということだったりする。つか、そういうプライベートな秘密を書かせようとする編集になっている。
こういう、間違ってるネタが随所に含まれた心のノートを配ることが道徳教育だと思っている文部科学省と、道徳の授業に「水からの伝言」というオカルトを平気で取り入れた教師が存在しているときに、法律で道徳教育だの自然を大切にだのといった内容にお墨付きを与えたら、次には一体どんな教材がやってくるのかと、期待が高まってくる。もちろん、と学会でネタにできるに違いないという期待に決まっている。
今、法律の変更に賛成の人や反対の人の双方の思惑とは全く別方向にさらに斜め上をいく内容が教えられることになるのではないか、というのが私の予想である。
(子供の態度を良くするために礼儀作法を仕込もう、と年配の人達が思って道徳教育推進と叫んだとしてもだ、それを実現する現場での手段が「水が言葉を理解する」という内容になるとは普通は思わないだろ、やっぱり)
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