量子ファイナンス工学入門
トンデモ本大賞を受賞した「量子ファイナンス工学入門」を、注文していたのだが、本日届いた。いやもう素晴らしいw。大まじめに冷静にトンデモないことが書いてある。
株価を花粉粒子よりもさらに小さい量子に例えるならば、株価は複素数空間にある量子の従う運動原理に支配されていることになる。
収束の概念の例としてζ関数を持ち出し、ζ(12)の分子に691という数が出てくるもんだから、
西暦691年に持統天皇が織女星と牽牛星を祭る七夕の宴が開催しているから、691という数字は宇宙に関する数字かもしれない。
波動関数に従う金融資産が一定の座標(株価チャートと同じである)という部分空間に存在する時、確率測度は確率振幅になり、この座標内のどこかに金融資産の価値が見出される確率振幅は0から1の値をとる。
古典的な運動をする金融資産の経路は、過去から未来へ進む光円錐の中の一本の矢印として表すことができた。
何て言うか、書かれている物理学の部分だけを抜き書きするとまともなのに(というか、まともな本から引っ張って来たのだろう)、この著者独自の解釈が加わった部分がことごとくこの調子である。読み進むうちに、「物理学って何?」という疑問が出てくることはなさそうだが、「金融資産って一体?」という気分には浸れる。
おすすめの一冊だが、著者のトンデモさを堪能するには物理学の素養があった方がより望ましい。ともかく私はこの本を見て、物理学を専門に選んだことが自分の人生において「笑い」を増幅する方向に効いた、という生まれて初めての経験をした。
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