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学生の答案がSFしとります……

Posted on 7月 27th, 2006 in 未分類 by apj

 化学科のための数学と物理ってことで、基礎化学演習Iという科目名で半期の講義を終えた。本日期末試験で、物理部分を出題した。気体分子運動論で、室温での空気中の酸素分子の平均速度を求めよ、という問題を出した。酸素の分子量をアボガドロ数で割って酸素分子1個の質量を求めるときに、kgに直さずgのまま計算すると、途中から3桁違う値になる。さらに、ボルツマン定数を求めるときと、分子1個の質量を求めるときの両方でアボガドロ数で割り算することになるが、これを片方忘れたりすると、アボガドロ数のオーダーで答えが違ってくる。この失敗をやってくれちゃってる学生さんが何人か居て、酸素分子の平均速度が
・10^20 m/s のオーダーになる
・10^-22 m/s のオーダーになる
の二通りが出てきた。最初の方は、酸素分子の分際で光速を遙かに突破してるし(タキオン粒子かよ……)、後の方は、分子のスケールが10^-10 mであることを考えると、分子1つ分の距離を飛ぶのに三万年ほどかかる(地質学の試験じゃないんだから……)。
 計算を間違えるのは仕方がないとしても、こんなあり得ねぇ値が出た時点でおかしいと気付けよorz。
 とんでもない超光速とか、分子運動がほぼ静止して見えるとか、SFにありそうなガジェットで採点しながら思わずウケたぞ。ひかかった学生は皆さん追試決定なわけだが。