発信者情報開示とか
msnニュースの記事より。
発信者情報:同意なしで開示へ ネット被害で業界が新指針
インターネット上のプライバシー侵害や名誉棄損について総務省と業界団体は、情報を書き込んだ発信者の同意がなくても被害者に発信者の氏名や住所などを開示する方針を固めた。これまでは発信者が開示を拒否すれば、誰が悪質な情報を流したか被害者側には分からず、泣き寝入りするケースが多かった。業界団体は新たなガイドライン(指針)を年明けに作り、来春から導入する。【ネット社会取材班】
02年に施行されたプロバイダー責任制限法はプライバシー侵害など正当な理由があれば、被害者がプロバイダー(接続業者)に対し、書き込みをした発信者の情報開示を求める権利を初めて認めた。しかし、実際の運用では「どのような内容が侵害に当たるか明確な基準がなく、業者側で判断できない」(社団法人テレコムサービス協会)との理由で、発信者の同意が得られなければ事実上、開示できなかった。
このため、業界は総務省とも協力し、同法に基づく自主的な発信者情報開示のためのガイドラインを策定することを決めた。原案によると、他人の氏名や住所、電話番号など個人を特定する情報を掲示板などに勝手に書き込む行為を幅広く「プライバシー侵害」と認定。個人を名指しして病歴や前科を公開することも含まれる。
こうした場合にプロバイダーが被害者からの要請を受け、発信者の同意がなくても、その氏名や住所、電話番号、電子メールアドレスなどを開示できるようにする。
一方、名誉棄損については、プロバイダーによる任意の発信者情報開示をあまり広く認めると「政治家や企業経営者らの不正や問題点の内部告発までネット上からしめ出す懸念もある」(業界団体幹部)と判断。これまでの名誉棄損裁判の判例も踏まえ、公共性や公益性、真実性などが認められない個人への誹謗(ひぼう)や中傷に限って自主的な開示の対象とする。
被害者は裁判で発信者情報の開示を求めることが多かったが、悪質な書き込みをした発信者を早急に特定し、損害賠償請求できる可能性も高くなるとみられる。
業界と総務省は一般からの意見も募集したうえで、早ければ来年2月にも導入する方針。
毎日新聞 2006年12月26日 3時00分
情報発信に対する温度差は人によって大きく違うから、一概には言えないのだが、この法改正(条文を変えるのではなく)対応方法変更と同時に「削除あるいは送信防止措置をしなかった場合のプロバイダの免責」をもっと認めることにすればバランスがとれるのではないか。つまり、強制削除はしない代わりに当人同士で徹底的に争え、という方向に誘導せよということである。できれば「発信者情報を開示した場合、裁判所の判断が無い限りプロバイダは送信停止措置を行ってはならない」という内容くらいは盛り込んで欲しい。例えば、送信停止せよという仮処分が通れば停止してもいいし、判決によって停止してもいいが、それ以外の理由で停止するのを禁止せよということである。司法判断がなされる前に事なかれ主義のプロバイダの一存で情報発信自体ができなくなってしまうよりは、裁判所で争うのだから司法判断以外の理由で情報発信を止められることが無い、という方がずっと健全だろうというのが私の考えである。
なお、最近遭遇したケースに、相手の居所も名前もわかっている(顔も知っていたりする)状態、つまり訴状を書くのに差し支えない程度の個人情報を知っている状態であるにも関わらず、プロバイダ責任制限法に基づく送信防止措置を求めてきたというのがあった。明らかにプロバイダ責任制限法の趣旨を理解していない行動である。相手が判明しているのであれば、プロバイダにとやかく言う必要はなく、直接その相手に対して法的措置をとるのが正しい。
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