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常識的な回答

Posted on 3月 29th, 2007 in 未分類 by apj

 とある方から電話で相談が来ていたので、出かける前にこちらから電話してみた。内容は、「**健康法」で言っていることは本当か、といったものだった。今流行中の「病気にならない生き方」の講演にも出向かれたとか。
 まあ、健康法について相談されても私は医者じゃないから詳しいことは答えられない。
・何とか健康法に踊らされてもいいことはない(危険な場合すらある)
・健康本は言論と表現の自由があって事前審査無しで出せるので、信憑性に疑問があるものが多い
・健康食品の宣伝に該当すると取り締まりの対象になるが、すべてを取り締まれるわけではない
・注意して見ていると、講演会に名を借りた健康グッズの売り込みのこともあり、ますます情報が歪められている可能性が高い。(癌に効くというふれこみのアガリクスでは、健康本の中身が全部フィクションで出版社の社長が逮捕された)
・信頼できるかかりつけのお医者さんを見つけて、長く付き合い(長く診てもらっていると医者の方も大体どういう状態の患者かがわかってくるはず)、医者のアドバイスをきくのが最も安全。
・新しい健康法に飛びつく前に、本当にそんなものが必要か、自分の主治医に相談するべき(でもまあ、心の安定まで考えると、健康被害の可能性が無ければナントカ療法は黙認という場合もあるかもしれないが……)
 こんな話をした。結局、きわめて常識的な内容になった。
 ただ、まずいなぁと思ったのは、こういう常識というか、一番信頼できるのは医師免許を持った医者、それも自分の体調を分かってくれているかかりつけの医者だという認識がぶれてしまう程に、変な健康情報が流れて揺さぶりをかけられているという状況が透けて見えるということだったり。

資料制作中

Posted on 3月 29th, 2007 in 未分類 by apj

 新年度が来週から始まるので、ガイダンスの時に学生に配る資料を作っている。私はカリキュラム関係だけなのでまだ楽させてもらっているが、特に大変なのが教務厚生委員が作る新入生向けの説明資料である。教養教育と学部の講義の両方について学生便覧があり、これを良く読まないと必要単位数とかどの分野から何単位必要といったルールを間違えて、単位不足で泣くことになる。しかも新入生はこの手の分書を読むのは不慣れの上、ガイダンスの一日で一度に大量にあれこれ詰め込まれるから、例年、夕方になるともう頭が完全に飽和してしまう。
 ウチの学科は担当者がマニュアルを作り、便覧の何ページに出ているという注意もつけたプリントを使って説明しているので、勘違いで留年する学生はほとんどいないが、それをしないと時々勘違いする学生が出てくる。
 いやもういっそのこと、入試の一部に「学生便覧を渡して読ませ、第一問:進級に必要な単位数はそれぞれの分野から何単位か。第二問:(授業時間割の例を示し)この時間割を組んだ学生は単位をすべて取得できたとして進級できるか……」ってな問題を出したらどうかという冗談まで出た。大学に入ってからやっていけるかどうかを見るのが入試だとしたら、これって絶対に必要な能力だよなぁ、と。

血液サラサラの嘘

Posted on 3月 29th, 2007 in 未分類 by apj

 パンキョーのネタになりそうなのでメモ代わりに貼っておく。Sankei Webの記事より。

悪徳商法にご注意…「血液ドロドロ」実はウソ

 医師免許を持たない業者が血液の検査を行い、「血がドロドロです。サラサラにしなければ…」などと不安をあおって、高額なブレスレットやネックレスを買わせる悪質商法に関する相談が増加している。高まる健康志向とともに広がる不安心理につけ込んだ手口で、専門家は「医療機関以外での安易な検査は避けるように」と注意を呼びかけている。(山口暢彦)

「無料なので」

 国民生活センターによると、同様の相談が平成17年度だけで、589件寄せられたという。年々増加傾向にあり、8年度(132件)の約4.5倍に上っている。

 50歳代女性のケース。健康器具販売店を訪れた際、「血液を調べませんか」と店のスタッフに勧められた。スタッフは採った血を顕微鏡で見せながら、「血が動かないですね。70歳代(の血液)です」と説明。

 そのうえで、女性に磁気のある腕輪を身につけさせ、再び血液を調べると、「サラサラになりましたよ」と語ったという。腕輪の効果を信じた女性は、勧められるままに約20万円で購入した。

 ところがその後、病院で検査してもらうと、「血液に異常はなく健康体です」と告げられた。このとき初めて、女性は「だまされた」と気づいたという。

 別の60歳代の女性のケース。業者から「無料で健康チェックをする」という電話があり、自宅に招くことにした。やってきた業者は女性に対し、体に微電流を流し、悪い個所をチェックするという検査を実施。結果、業者は「1カ所だけ悪い値が出た」と語った。

 彼女は脳梗塞(こうそく)を患い、健康を気にしていただけに不安を感じた。血栓を溶かして血液をサラサラにするという32万円の健康食品を業者に勧められると、つい飛びつき、購入してしまったという。

医師法に違反

 センターによると、売りつけられるものとして特に多いのは、磁気ネックレスなどの医療用具(22.4%)や健康食品(21.7%)。ほかにも、ブレスレットなどのアクセサリー、ふとんなどの寝具類、浄水器などがあった。

 「そもそもこれらの悪質商法では、医師免許を持たない業者が検査などを行っているケースが多い」と、センター情報分析部の渡辺優一さん。その行為は、医師法に反する。また、「注射針にしても、こういった業者では使い回しされている可能性も否定できず、危ない」と渡辺さんは注意を呼びかける。

 センターに相談を持ちかける人の平均年齢は51・9歳。相談件数が増えていることについては、「健康ブームの高まりを背景に、過去に(比較的大きな)病気をしたことがあるなど健康に強い関心がある人が、トラブルに巻き込まれることが多いようだ」と話す。

早めに相談を

 「病院などの信頼できる場所以外で血液検査を受けてはいけない。もし健康に不安があるのなら、かかりつけ医に診てもらってほしい」と渡辺さん。

 また、かりに高額商品を契約してしまってもクーリング・オフなどが可能なケースも多い。「あきらめず、早めに最寄りの消費生活センターに相談してほしい」とアドバイスする。

 そもそも、何かを身につけて血液がサラサラになることなどは、科学的な根拠はない。

 慶応義塾大医学部中央臨床検査部の村田満教授(血液学)は「そもそも血液の“サラサラ”“ドロドロ”に、はっきりした医学的な定義はない」としたうえで、「一般的にブレスレットやアクセサリーを身につけて、血液の状態が改善することはありえません」と話している。
(以下略)
(2007/03/29 09:13)

 血液の写真は、撮り方によってドロドロにもサラサラにも見せることができる。見やすくするという理由で、生理食塩水を加えてから撮影することもあるので、濃度と加える量でなんとでもなる。さらに、少し時間が経って固まりかけたところを見せれば、誰の血液でもドロドロに見える。また、正常な人であれば、水を飲んだかどうかで血液の粘度は変わってしまう。
 講義では、同じ視野を見ているにもかかわらず明らかに血球の数が10倍以上違う写真を見せて(マイナスイオン業者が実際にパンフレットに掲載していたもの)、高校生物の浸透圧の話を復習しながら、写真がヘンであることを説明している。