Feed

無理ありまくりだな

Posted on 4月 24th, 2007 in 未分類 by apj

 今度は大学院内部進学者の割合を制限するという案が出てきたが……。そもそもの前提になっている囲い込みなんかそんなに無いんじゃないかなぁ。

大学・大学院に競争原理を積極導入…教育再生関連6会議

 政府の教育再生会議は23日午前、第3分科会(教育再生)を首相官邸で開き、大学・大学院改革について、国立大学の大学院生に占める同大学の学部出身者(内部進学者)を最大3割程度に抑えることなどを柱とする素案を大筋で了承した。
 内部進学者の制限は、大学の枠を超えて人材を集めることで大学院教育を活性化するのが狙いだ。素案は当初、「最大2割程度」を目標とする方向だったが、大学関係者の反発に配慮し、「3割程度」に改めた。

 何て言うか、めちゃくちゃな案だな……。今時のことなんで、囲い込みで進学先を決めさせるようなことをしたら、教員にとってはハラスメントだと問題になるリスクを背負い込むだけなんだけど。
 卒業研究をやってたらやっといろいろ分かってきたからもうちょっと研究しようかな、で進学してくる層がそれなりに居るんですよねぇ。4年の延長でやれそうだから同じ大学(ってか同じ研究室で)という要素もあるわけで、別に囲い込みがあるから同じ大学に進学しているわけではない。そういう人達が軒並み進学を止めて就職してしまいそうな気が。
 一方、少しは囲い込まないとまずい分野というのもある(特許がらみの仕事を一緒にやってるとか、職人芸的な実験技術が必要な分野とか)。そういうところだと、技術を教えてもその先続けてくれる可能性がほとんと無い上、機密保持の問題も発生するとなると、4年生に細かいことを教えなくなるかもしれない。
 進学者の数激減&不十分な指導のまま進学してくる人の割合増、で、活性化どころか大学院が崩壊するのが目に浮かぶわけですが……。
 大学同士でこっそり協定結んで書類上だけ学生を所属ってか交換受験させ、教員同士は表向き共同研究、院生は居たい場所で研究続行、って手をつかうのが現実的ということなんだろうか。新手の内地留学かこれは?

 まあ、そもそも、「内部進学者の割合が少ない=大学院が活性化する」が本当に成り立っているのかどうかについて、十分検討してもらいたいのだけど。

 あ、ところで上の方からは、「大学院と学部の連携をとれ、一貫教育の方向で」と言われたもんで、院のカリキュラムをいじったりしていて、動きの速い私学では学部と院の一部単位互換が既に走ってたりする件。これってもろに内部進学者優遇制度、上の方のお達しによる「囲い込み」に見えなくもない。教育課程を学部・院一貫にしておいて、内部進学者制限をかけるというのは、正気の沙汰ではないと思うが。