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不老長寿とはこれまた……

Posted on 8月 28th, 2007 in 未分類 by apj

 仕事してたら、事務から電話で、外線が入ってますというから出てみた。
「○○県の××と申しますが、水からの伝言についてお話を伺いたいのですが。地元の大学の準教授に訊いたらそちらを紹介されまして」
「はあ、どういったお話でしょう?」
「ありがとうと書いて水に見せると綺麗な結晶になるという話ですが、不老長寿と書いて貼ったらそういう水ができるんでしょうか?飲んだら不老長寿になるってことは……」
「できません。それはオカルトで、おまじないのレベルです」(きっぱり)
 とりあえず断言しつつ、脱力感から受話器を落としそうになった。
 オカルトだとしても、あまりにも安直すぎませんかそれは?不老長寿などという「大技」を使う手順としては。
 不老長寿なんて、中国の皇帝が人を使って方々探して追い求めたけどできなかったわけで。東洋でそんなの実現したことになってるのは仙人クラスだけで、尋常でない才能と修行が必要な上本物の仙人に逢った人は誰もいなかったり、探しても見つからないような材料を要求されたりする。あるいは、不老長寿にはなったけど太陽に当たるとダメでニンニクと十字架がダメで胸に杭を打たれると死ぬってパターンも有名だ。そういう願いを書いただけで叶うお札は、手に入れるためには、超えるのが不可能なハードルを越えるとか、とんでもない修行と下準備が必要だということになってるのが普通では。たまに、何でも願いが叶うお札を簡単に手に入れた話もあるが、そういう場合はほぼ100%の確率で、そいつを使うと破滅への道だわな。
 まあ、勤務時間中だし、科学者に分類される身としては、
・中谷宇吉郎の仕事を説明
・水からの伝言の写真のからくり(沢山作ってイメージに合うのを選んでいる)
・そもそも科学ではない。紛らわしいことをしているだけ
という、いつもの内容を丁寧に説明した。
 しかし、「不老長寿」が「そのへんの紙に不老長寿と書いて貼り付けたボトルの水を飲む」などという安易な方法で実現したら、中国の歴代皇帝の立場が無いような……。それはオカルトとしてもぜんっぜんダメですが、と言ってみたいのを堪えるのに苦労したぞ、今日は。

 いやまあ、不老長寿なるものが仮に実現したとして、それはシアワセなことなのかというのは、カテゴリーの違う問題だが……。とりあえず「銀河鉄道999」でも見て考えればぁ……。

【追記】
 文字通りの「不老長寿」だと、「地球へ…」のミュウだよなぁ。
まあ、「長寿」の方は程度によっては多少は何とかなるかもしれないが、「不老」は難易度高い。