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携帯メールのspamが増え始めた

Posted on 9月 30th, 2007 in 倉庫 by apj

 最近になって、softbankケータイのメールアドレスにspamがやってき始めた。全部海外からと思われ、英文のみのメールである(正確には、イタリア語かスペイン語っぽいものも混じっている)。私の場合、ケータイのメールを使うのはごく限られた人(数人)に対してだけで、しかもケータイ同士でしか使ってないのに、何でアドレスが怪しげなところにバレてるんだろう?

まったくもって同感

Posted on 9月 29th, 2007 in 倉庫 by apj

 元ネタはこれ公立大学法人の憂鬱さんのところより。

自由であって良いのだが、勉強をしない自由はあってはならない。大学はまずもって学問をする場所だ。

 学生にはこれを叩き込むべきだろう。勉強しない自由があると勘違いしている人もそれなりに居そうだし。
 で、学問の部分をもし抜いてしまったら、役に立つ部分は何も無くなるんじゃないかという話をこのあいだきいてしまった。
 先日、会社の人と話をしていたら、研究費の話になった。大手企業で、比較的基礎的なR&Dにたずさわっている人の年間研究予算は研究者一人あたり平均一千万円、実用化に近いところだと一千五百万円程度で、一人が数件のテーマを掛け持ちつつチームで進めているという話だった。大学は、何もしないでもらえる校費は教員一人あたり 40万円から60万円程度で、ここから教材の印刷費やコピー代を捻出する。科研費は充足率を考えれば、何年かを平均すると多分100万円~多くて200万円程度(ごく一部の大型研究費を取っている人を除く)で、もらえない年は校費だけになるから、コンスタントに仕事を進めるというわけにも(予算上)いかない。【追記】この予算の話は勿論人件費は別で、純粋に職場で仕事としての研究開発に使える予算が、ということ。(なお、大学の研究関係の予算額は、日本の大学(国立大学法人のみか、私立も含めてかを失念したんだけど)を全部合わせても、中堅の製薬会社1社の研究費に及ばないという話がどっかにあったはずだが……)
  10倍以上の予算の開きは、アイデアや工夫で太刀打ちできるものではない。大学は研究では企業に勝てない。やっと取った研究費で、サンプルやら測定装置にどういう割合で支出するかと考えている間に、企業は、大学の研究者がもらった研究費を全額つぎ込んでも買えない稀少なサンプルを手に入れて実験し、大学からは絶対出せない結果を得ている。
 大学に研究でアドバンテージがあるとしたら、学問上の意味はあっても儲けにつながらなくて、たまたま企業が手出しをしていない分野においてだけだろう。大学の研究が応用につながらないといって責めるのはお門違いではないか。応用に直結して企業と競争になるようなテーマでは、大学が企業に勝てるはずがないのが最初からわかりきっていて、やるだけ無駄だからやってないというのが本当のところではないか。

プロにも変なのがいる

Posted on 9月 27th, 2007 in 倉庫 by apj

Yahooニュース経由、産経新聞の記事より。

光市懲戒請求訴訟 橋下弁護士「(弁論欠席)品位を失う行為」
9月27日14時53分配信 産経新聞

 山口県光市の母子殺害事件で、殺人などの罪に問われた男性被告(26)=事件当時(18)=の弁護団に対する懲戒請求をテレビ番組で呼びかけ、弁護士業務を妨害したとして、今枝仁弁護士ら弁護団のメンバー4人=いずれも広島弁護士会=が橋下徹弁護士=大阪弁護士会=に1人当たり300万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が27日午後、広島地裁(橋本良成裁判長)で開かれた。
 橋下弁護士側は答弁書で「懲戒請求を呼びかけたことに違法性はない」として請求の棄却を求めた。これにより、弁護士が懲戒請求をめぐり弁護士を訴えるという異例の訴訟は全面対決の構図で争われることになった。
 原告側は訴状で、「懲戒請求者は懲戒事由を裏付ける相当な根拠について調査、検討すべき義務を負う」と判示した最高裁判決に言及。この判決の趣旨は懲戒を促した者にも適用されるとして、「被告は十分な調査、検討を尽くさずに発言に及んだ」と指摘した。
 さらに、「発言では懲戒請求をした者が弁護士会から資料の提出などを求められることに触れなかった上、多数の請求がされれば弁護士会が処分せざるを得なくなると視聴者に誤解させた」と批判。その結果として4人とも300件を超える懲戒請求を受けたとして、「弁明などの対応を余儀なくされて業務に多大な支障が生じたほか、社会的名誉や信用が損なわれた」と主張している。
 これに対し橋下弁護士は、弁護団の一部のメンバーが最高裁の弁論を欠席したことや、1、2審での主張が上告審以降に変更されたことなどは「弁護士全体の信用を失い、品位を失うべき行為」であって、懲戒事由に相当すると主張。「弁護団は懲戒請求を避けるために、社会に対して説明する必要がある」とした。
 また、懲戒請求を扇動したことは認めながらも、自身の発言と多数の懲戒請求が行われたこととの因果関係を否定。さらに「弁護団の社会的評価は以前から低下していた」と損害の発生についても争った。
 双方とも訴状や答弁書などをインターネット上で公開している。

 何て言うか、橋下弁護士の主張の方がよっぽど弁護士の信頼を引き下げていて、懲戒に相当するんじゃないかと思われる件。
・素人に懲戒請求しろとマスコミ経由でプロが煽ってどうするのかと。
・刑事弁護では被告人の不利になる主張はやっちゃいけないのが原則。どんだけ社会的に非難囂々のことをしでかした被告人であっても、弁護人は最後まで被告人に有利になるように動くのが刑事訴訟のルールだし、被告人の主張がトンデモだからといって弁護士を責めるのは筋違い。
・弁護団の一部のメンバーが最高裁の弁論を欠席って、別に問題無いんじゃ?というか、弁護士の数が多い場合に、全員揃わないと懲戒じゃあ、公判の日程が決められず、裁判が遅れまくる結果になって逆にマイナスでは。
・主張変更がなぜいけないのか。被告人の主張が変わったらそれをフォローするのが弁護人の仕事。そういう変更がまずいかどうかを判断するのは裁判官の仕事。裁判官がとりあえず認めていることを法廷でやったら懲戒じゃあ、訴訟制度自体が成り立たないのでは。
・社会に対して説明って……弁護士の守秘義務はどうするのかと。
 まあ、社会に対して説明が足りないことも事実だが、その説明とは、刑事訴訟の制度の意味と弁護士の役割(=感情的に憎まれる役回りになるのが必然であること)をわかってもらうための説明だろうね。個別の事件の話じゃなくて。

 答弁書出して来ないのがいけないかというと、それも違う気が。第一回の期日指定は裁判所の方が決めるから、他に用事があって出られない場合もあるわけで、それを想定して、あらかじめ答弁書を出しておけば弁論したことになるように定めてあるわけで。2回目以降は話し合って双方が出られる日に決めるんだけど。
 民事訴訟法ってけっこう便利にできてると思うんだけどなぁ。

9.11陰謀論とUFO

Posted on 9月 26th, 2007 in 倉庫 by apj

 kikulogで9.11陰謀論者と批判派で随分盛り上がっているのを生暖かく見守っているのだが、それはそれとして何だかデジャ・ヴなんだよなぁ。宇宙人ビークルとしてのUFOとかロズウェルの騒動がダブって仕方がない。UFOの場合、最初に全ての情報を開示したわけではなかったことも確か(というか黙ってた部分もある)なんだけど、NASAや空軍は宇宙人が地球に来ているのを隠しているという説がどんどん広がりまくって、後から全部本当のコトを言っても、一部の人にはもはや信じてもらえない状態になってしまった。歴史は繰り返すというか……。
 「陰謀に気付く(気付いたと思う)」のも「エイリアンに誘拐される(されたと思う)」のも、多分その人にとっては特別なことなんだろうなあ、というのが議論を眺めた感想だったり。「自分(と少数の仲間)だけが陰謀を知っている」というのと、たとえば「自分だけがエイリアンから地球の危機を知らされ救う使命を与えられた」ということの間には、そんなに大きな隔たりって無いのかもしれない。あくまでも印象なんだけど。

徹底的にベタに書く

Posted on 9月 25th, 2007 in 倉庫 by apj

 一つ前のエントリで、法的判断もアナログで二分法じゃだめだってことを書いたのだが、今度はメタ議論とベタ議論というところから。参考になるのはpoohさんのこのエントリとコメントのあたり。
 実際に準備書面を書く立場になれそうなので、書証を集めて書き始めたのだけど、作業を始めてみるとこれがまた徹底的にベタな内容になりつつある。裁判所でやる主張としては、たとえば、表現の自由云々といったメタな部分だけで弁論すると多分非常に弱いんだろうな、と。結局、事実をどれだけ裁判官の前で説得力のある形で提示できるかにかかっていて、事実というのはベタそのものなので、事実について説明する文章を書けば当然ベタなものになる。各々の条文自体は抽象的なので、きちんと判決をもらおうと思うと、条文に当てはめができるだけのベタなものを書かないといけない。
 そういえば、民法の問題を考える時は九十条は最後に使えということになっている。公序良俗違反について定めているのだけど、抽象的で一般的な内容の条文だから、まず具体的に当てはめられる条文があればそっちで処理してしまえということである。紛争の世界はどうもベタ優先、メタは最後かオマケ程度じゃないかという感触を得ている。ってか、メタを全面に出した準備書面って、提訴すること=市民運動、と思ってやっている一部の人達を思い起こさせる。
 まあ、書いた書類を絵里タンがどう修正するかを見てからでないと何とも言えないので、これは今の段階での私が抱いている印象なのだけど。
 理念の方はというと、法理学やら法哲学といった教科書がいくつも出ていて、そっちに書いてある。共通の理念が括り出せるようになった背後に膨大な現実の問題解決やら利害調整やら紛争があったのだろう。括り出された理念に頼ってしまったら、やっぱり条文に当てはめられるようなベタな話は書けないように思う。

やっぱり二分法じゃダメ

Posted on 9月 22nd, 2007 in 倉庫 by apj

 私が編集している、大学に置いたウェブサイトについて紛争が起きた件。
 議論を見ていると「個人のページか、大学のページか」「大学の責任か、個人の責任か」といった二分法が出てきているが、事がそう簡単なら、ウェブに関する学内規則も不要だし訴訟参加の可能性も最初から無いわけで……。
 二分法で議論している人達は、学内にウェブサイトを置くということが、大学側からの評価に関わってくる、個人の営業の工夫という面があることを完全に見落としている。また、紛争になったときの責任の切り分けは紛争ごとに多種多様で、だからこそ争うことに意味があるということも見落としている。まあ、今回は訴訟自体が濫訴じゃないかと思うし、筋の悪い訴訟であることは確かなんだけど。
 ニセ科学批判で、二分法で判断するのは良くないって話をしてるけど、法的な判断はもっとアナログだってことを、法律リテラシーとして知ってないとまずいんじゃないか。

ブックカバー

Posted on 9月 21st, 2007 in 倉庫 by apj

 買った本にはブックカバーをかけることにしている。10年近く前に、A5ハードカバーと単行本ハードカバーに対応した、粘着材付きの薄い透明ブックカバー(ソフトカバーの教科書用にありがちな感じのやつ)を、まとめて買って使っていたのだけど、無くなってきたので追加購入しようと思い、製造元に連絡したら製造中止だとわかったのが多分1年くらい前。コレクトが特注品対応してるよって話を酔うぞさんからきいて、見積もりを取ってみた。
「1枚約30円ですが、ロットは一万枚単位になります」
1つのサイズだけで、さ、さんじゅうまんえん……( ロ)゚ ゚
「個人で使うのでそんなに要らないんですが、破れたりして取り替えるのを考えても1000枚とか2000枚とか」
「それだと1枚あたり倍程度の値段になります」
「えーと」(汗)
とりあえずボーナスの頃にもう一回検討して決めますね、と返事をした。ついでに、ハードカバー対応で薄手のものは、どこにも売ってないので、本気で企画して製品作ってくれませんか、とも頼んでみたんだけど、望み薄だななぁ。販売ルートを持ってる業者さんと共同購入とかでもいいんだけどなぁ。でもやっぱり売れないかなぁ……。tanomi.comには出ていたはずなんだけど。
 一万枚も買ったら、自分で使う分だけ手元に残し、あとは100枚単位くらいでヤフオクに出品して捌くしかなくなるんだけど、それこそ「ご商売は?」と突っ込まれそうだし。

りこうなハンス

Posted on 9月 20th, 2007 in 倉庫 by apj

 『ウマはなぜ「計算」できたのか 「りこうなハンス効果」の発見』を買ったので読み始めた。計算ができると言われている馬が、実は計算はしていないかわりに飼い主の反応を読み取っていたということがわかった、ということについて、調査および実験室での実験で確認したという話が書かれている。
 馬に読み取れる人の変化は、人にも読み取れる。これについては気がかりな話を教員の方から聞いた。「馬は自分が計算しているかどうかを知らないが、人はそれを知っているから悲劇だ」と。
 もう少し具体的に言うと、いわゆる受験勝ち組の小学校に入ってきた生徒の中に、「りこうなハンス効果」で行動している人が居るという意味である。人に対する反応が非常に良いので、一見優秀で教師の(そして多分親の)覚えはいい。しかし、抽象的なことを考える能力が高いわけではないので、小学校の勉強の内容にはクレバーハンスメソッドで対処できても、中学から高校にいくとついて行けなくなる。「小学校の頃はあんなにできが良かったのにどうして成績が落ちたのか」と周りを不思議がらせる人が、実はクレバーハンスだったということである。これは周囲の期待を裏切る結果であり、本人も傷ついてしまう。多分、別にケアが必要なケースで、教育学が解決すべき問題なのだろう。

教授会が……

Posted on 9月 19th, 2007 in 倉庫 by apj

 理学部の改修工事があるので、普段は大会議室でやるはずの教授会が、共通教育の教室で開催された。講師の席が学部長で、残りの教員はみんな三連作り付けの椅子と机に適当に座った。
 何だか講義を受けてるようで、会議という雰囲気が(私の主観では)薄かった……。

書評書いた

Posted on 9月 18th, 2007 in 倉庫 by apj

 「科学」から頼まれた書評書いた。「私の読んだ一冊」ということなので、「理工系物理学」鐸木康孝著(開成出版)を選んだ。
 私が千葉大学に入学したとき、鐸木教授は既に交通事故で亡くなられていて、教わることはできなかったのだけど、本と、学内紀要に書かれた教程試案をコピーした束を卒業するまで使っていた。
 この本がきっかけで、数学が苦手のくせにフランダースの「微分形式の理論」やら、シュッツのトポロジーの本やらに手出しし、楽しみつつ悪戦苦闘したのがいい思い出だったり……。ド下手糞のくせして、今でも時々微分幾何を勉強したくなって困る^^;)
 先週、都合により急いで書いてほしいと連絡があったので、今日書き上げてメールで送った。間に合えばいいのだけど。