りこうなハンス
『ウマはなぜ「計算」できたのか 「りこうなハンス効果」の発見』を買ったので読み始めた。計算ができると言われている馬が、実は計算はしていないかわりに飼い主の反応を読み取っていたということがわかった、ということについて、調査および実験室での実験で確認したという話が書かれている。
馬に読み取れる人の変化は、人にも読み取れる。これについては気がかりな話を教員の方から聞いた。「馬は自分が計算しているかどうかを知らないが、人はそれを知っているから悲劇だ」と。
もう少し具体的に言うと、いわゆる受験勝ち組の小学校に入ってきた生徒の中に、「りこうなハンス効果」で行動している人が居るという意味である。人に対する反応が非常に良いので、一見優秀で教師の(そして多分親の)覚えはいい。しかし、抽象的なことを考える能力が高いわけではないので、小学校の勉強の内容にはクレバーハンスメソッドで対処できても、中学から高校にいくとついて行けなくなる。「小学校の頃はあんなにできが良かったのにどうして成績が落ちたのか」と周りを不思議がらせる人が、実はクレバーハンスだったということである。これは周囲の期待を裏切る結果であり、本人も傷ついてしまう。多分、別にケアが必要なケースで、教育学が解決すべき問題なのだろう。
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