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徹底的にベタに書く

Posted on 9月 25th, 2007 in 倉庫 by apj

 一つ前のエントリで、法的判断もアナログで二分法じゃだめだってことを書いたのだが、今度はメタ議論とベタ議論というところから。参考になるのはpoohさんのこのエントリとコメントのあたり。
 実際に準備書面を書く立場になれそうなので、書証を集めて書き始めたのだけど、作業を始めてみるとこれがまた徹底的にベタな内容になりつつある。裁判所でやる主張としては、たとえば、表現の自由云々といったメタな部分だけで弁論すると多分非常に弱いんだろうな、と。結局、事実をどれだけ裁判官の前で説得力のある形で提示できるかにかかっていて、事実というのはベタそのものなので、事実について説明する文章を書けば当然ベタなものになる。各々の条文自体は抽象的なので、きちんと判決をもらおうと思うと、条文に当てはめができるだけのベタなものを書かないといけない。
 そういえば、民法の問題を考える時は九十条は最後に使えということになっている。公序良俗違反について定めているのだけど、抽象的で一般的な内容の条文だから、まず具体的に当てはめられる条文があればそっちで処理してしまえということである。紛争の世界はどうもベタ優先、メタは最後かオマケ程度じゃないかという感触を得ている。ってか、メタを全面に出した準備書面って、提訴すること=市民運動、と思ってやっている一部の人達を思い起こさせる。
 まあ、書いた書類を絵里タンがどう修正するかを見てからでないと何とも言えないので、これは今の段階での私が抱いている印象なのだけど。
 理念の方はというと、法理学やら法哲学といった教科書がいくつも出ていて、そっちに書いてある。共通の理念が括り出せるようになった背後に膨大な現実の問題解決やら利害調整やら紛争があったのだろう。括り出された理念に頼ってしまったら、やっぱり条文に当てはめられるようなベタな話は書けないように思う。