徹底的にベタに書く
一つ前のエントリで、法的判断もアナログで二分法じゃだめだってことを書いたのだが、今度はメタ議論とベタ議論というところから。参考になるのはpoohさんのこのエントリとコメントのあたり。
実際に準備書面を書く立場になれそうなので、書証を集めて書き始めたのだけど、作業を始めてみるとこれがまた徹底的にベタな内容になりつつある。裁判所でやる主張としては、たとえば、表現の自由云々といったメタな部分だけで弁論すると多分非常に弱いんだろうな、と。結局、事実をどれだけ裁判官の前で説得力のある形で提示できるかにかかっていて、事実というのはベタそのものなので、事実について説明する文章を書けば当然ベタなものになる。各々の条文自体は抽象的なので、きちんと判決をもらおうと思うと、条文に当てはめができるだけのベタなものを書かないといけない。
そういえば、民法の問題を考える時は九十条は最後に使えということになっている。公序良俗違反について定めているのだけど、抽象的で一般的な内容の条文だから、まず具体的に当てはめられる条文があればそっちで処理してしまえということである。紛争の世界はどうもベタ優先、メタは最後かオマケ程度じゃないかという感触を得ている。ってか、メタを全面に出した準備書面って、提訴すること=市民運動、と思ってやっている一部の人達を思い起こさせる。
まあ、書いた書類を絵里タンがどう修正するかを見てからでないと何とも言えないので、これは今の段階での私が抱いている印象なのだけど。
理念の方はというと、法理学やら法哲学といった教科書がいくつも出ていて、そっちに書いてある。共通の理念が括り出せるようになった背後に膨大な現実の問題解決やら利害調整やら紛争があったのだろう。括り出された理念に頼ってしまったら、やっぱり条文に当てはめられるようなベタな話は書けないように思う。
ここからは旧ブログのコメントです。
by 石田剛 at 2007-09-48 12:15:48
Re:徹底的にベタに書く
> 提訴すること=市民運動、と思ってやっている一部の人達
こういう人達には、裁判所はみんなでお金出しあって維持してる公器だということを、理解してほしいものです。道路をデモに使うなんてのは、社会は許容すべきと考えますが、自分の主張に世間の注目を集める手段に「裁判」を使うのは、法的には許されていても、道義的には明らかに反則です。
このことは、某磁器活水器売ってる某氏にも言えることだと、石田は理解しています。
by Isshocking at 2007-09-30 17:54:30
Re:徹底的にベタに書く
特許申請などがベタな文書の典型になります。要素の定義と配置、作用機序だけでえんえんと微細もらさず記述していきます。
by apj at 2007-09-28 07:47:28
Re:徹底的にベタに書く
石田剛様
原告の思惑はさておき、客観的に見てその世間の注目がさっぱりな件。
せっかく特設サイトまで作って訴訟資料全公開をやってるのに、訳分からん吉岡応援団のコピペ書き込みばっかりで、誰も注目してないっぽい。
もうちょっと弁論重ねないと、訴訟そのものについて議論するところまでいかないのかなぁ。
by 石田剛 at 2007-09-54 13:04:54
Re:徹底的にベタに書く
apjさん
まー、某磁器活水器売ってる某氏の件は「自説の宣伝」にもなってませんね。いくら弁論を重ねても、訴訟そのものについて議論する状況には、たぶんならないんでしょう。議論を深めれば、無茶言ってるのが誰なのかが、より明確になっていくだけでしょうから。
by pooh at 2007-09-14 23:02:14
Re:徹底的にベタに書く
ちょっと思ったんですが、ぼくのところでのメタ/ベタ議論ではむしろこちらかも。
http://blog.so-net.ne.jp/schutsengel/2007-08-19-1
今となってはエントリ本文はあまり読む価値のないものになっているかもですが[:困り:]