「ニセ科学訴訟」は、実は実現が難しい
つむらさんのblogを読み直したりして思ったこと。これまで、ニセ科学批判が企業の利害と結びつくと、批判活動そのものが訴訟のリスクに晒されるということを認識していたが、訴訟でニセ科学批判の内容について争うというシチュエーションは、実はなかなか実現が難しいのかもしれない。
お茶の水大が訴えられた件は、ニセ科学とは関係のない「マルチ商法」をからかった内容についてだから、訴訟の結果がどうなろうが、結果が出てしまえばニセ科学批判そのものに対する影響は皆無である。結果が出てしまえば、と書いたのは、「マグローブ株式会社から圧力をかけられています」のエントリで書いたように、本当は訴訟に関係がないのに過剰反応して削除を決める、などということが現実に起きたからである。しかし、結審してしまえば、もはや訴訟の攻撃防御など考える必要が無くなる。
私がこれからやる予定の名誉毀損訴訟は、責任を問える文言はむしろ科学ともニセ科学とも関係が無かったりする。ある言説がニセ科学かどうかという話と、人の社会的評価の変動をもたらす表現は、大抵の場合重ならない。つまり、言説に対する論評では名誉毀損は問えない。業務妨害にしたって、虚偽でも風説の流布でも無い、普通に思いつく範囲のことであれば、商売に影響したところで不法行為とはいえない。
まあ、最初の提訴自体がほとんど言いがかりのような内容だから、「ニセ科学批判をやっていると嫌がらせの提訴を受けるリスクが高まる」ことはあるのだろうが、「ニセ科学か否か」「ニセ科学批判をすることの是非」を裁判所で争うことには、ちょっとなりそうにない。
- » Continue reading or コメント (0)