平成17(行ウ)547 東京地裁判決
裁判所判例Watchより。判決全文より引用してみる。情報開示請求で総務省が訴えられた件。
まず、原告の主張。
原告は,平成17年8月1日,情報公開法4条1項の規定に基づき,総務大臣に対し,請求する行政文書の名称等を「電波により頭の中の考えが字や映像になったり,指をさされたり,右,左手を上げたり,いる場所がわからないのに人がくる理由がわかる文書」として,当該文書の開示請求をした(以下当該文書を「本件文書,当該開示請求を「本件開示請求」という(乙1))。
次に、被告(=総務省)の主張。
本件文書は,電波によって直接的に,人の思考が字や映像にされ,又は,人が指を指す,手を上げる,若しくはその人には分からないはずの他人の居場所を訪れることがあるという前提で,そのような現象が起こる理由について明らかにする文書であると考えられる。
しかしながら,電波によって上記のような現象が引き起こされるとは想定されていないことから,総務省においては,当該現象に関する調査,研究等は実施していない。
また,総務省において,このような現象が起こる理由を明らかにする行政文書の有無につき,事務室及び書庫の探索を行ったほか,関係部署にこれを保有していないか照会したところ,そのような文書は存在しないことが確認された。
……調べたのかよorz。仕事とはいえ大変だな>総務省の中の人。
でもって、裁判所の判断。
社会通念上「電波により頭の中の考えが字や映像になったり,指をさされ,たり,右,左手を上げたり,いる場所がわからないのに人がくる」という現象が客観的に存在するものとは認められず,当該現象に関する調査及び研究が総務省その他の関係機関において実施されているものとは容易に想定し難いから,当該現象が生じる理由について説明した文書が存在する蓋然性もまた,極めて低いものといわざるを得ない。このことと,上記のような総務大臣の説明及び総務省内の関係部署からの回答の状況とを併せ考慮すれば,本件不開示決定が行われた当時において,本件文書は不存在であったものと認められる。したがって,文書不存在を理由として本件文書の開示をしないこととした本件不開示決定は適法である。
いや、実に常識的な判決だと思うぞ>裁判所。
昔、研究室の教授宛にまさにこういう手紙が来たことがある。既にあちこちの大学に手紙を出しまくった後らしく、手紙は手書きのもののコピーで十数ページ、「○○大学の□□先生に問い合わせたら△△という回答であった。」といった内容が後半に列挙されていた。手紙の目的は、「このような電波で人をコントロールする方法について心当たりはないか」という問い合わせだった。教授から手紙を渡されて「よきにはからえ」と言われてしまったので、当時博士課程の院生だった私と友人でとにかく手紙を全部読んで、「大変申し訳ありませんが当研究室ではそのような技術の存在に心当たりはありません」という丁重なお返事を作文したのだった。
いや~しかし、この手の話は、大学に来るだけかと思ったら、とうとう裁判所にまで到達していたのか……。
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