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学天則

Posted on 4月 24th, 2008 in 倉庫 by apj

 asahi.comより

東洋初のロボット、80年の時越え再現
2008年04月24日22時43分

 80年前に大阪で作られた東洋初のロボット「学天則(がくてんそく)」が復元され、24日、報道陣に公開された。高さ3.2メートルの巨大なロボットは、圧縮空気によって目や口やまぶたで表情をつくるほか、手を動かしたり、ほおや胸を膨らませたりと、伝えられている通りの動きをする。7月18日にリニューアルオープンする大阪市立科学館(大阪市北区)の目玉展示になる。

 学天則は1928(昭和3)年、生物学者の故西村真琴博士が製作し、京都で開かれた大礼記念京都大博覧会に出品された。机に向かって座り、右手にかぶら矢のペン、左手に霊感灯と呼ばれるライトを持つ。当時は、空気の通るゴムチューブを押しつぶしたり、開放したりする装置で制御した。各地の博覧会を回り、ドイツに売却された以降は行方不明となった。

 復元されたロボットは、マイコン制御で、エアシリンダーに送る空気の量を調節して動く。制作費は2千万円。

瞳が横に動く学天則=24日、大阪市西区
ウインクする学天則=24日、大阪市西区
笑みを浮かべる学天則=24日、大阪市西区

 写真を引用しておかないと、学天則がどんなものか伝わらないので、記事引用の最後の部分にリンクして引用した。昭和3年にこの表情を出したのは凄いと思う。
 動いているところをぜひ見たい。

硫化水素

Posted on 4月 24th, 2008 in 倉庫 by apj

 「2訂版 実践NBC災害消防活動 災害事例に見る活動の実際」編集/全国消防協会、編集協力/東京消防庁(財団法人全国消防協会)978-4-8090-2233-3を最近買った。硫化水素自殺が相次いでいるし、巻き添えにならない安全確保の方法が何かあるか知りたくて読んでみたのだが、確実な対策は無さそうである。
 事例20が硫化水素による自殺例。家族からの通報があり、その内容から硫化水素発生が把握できたケース。

 発生したガスの種別を早期に特定できたため、進入隊員数の限定が可能となった。また、医師同乗での活動となったため、現場での観察をより正確に行うことができた。反面、家族が居室内で活動していたとはいえ、ガス濃度の検知及び空気呼吸器等をつけずに居室内での活動を行ったのは不用意な行為であった。ガス検知器を用いてガス濃度を検知する作業を行い、しっかりとした現場の安全性を確認することが必要であり、安全が確認されなければ、空気呼吸器などを着装して進入することが必要である。また、本事案で使用された薬品は量販店などで簡単に手に入れることができ、今回は自損を目的として使用されたが、テロを目的として密室内(映画館、電車、バス等)で使用されれば、そこにいる人々へ甚大な被害が及ぶ可能性がある。

 さらに解説を読むと、

(1)硫化水素ガスの人体毒性の特徴
 硫化水素ガスは、硫黄温泉で感じるような特徴的な臭気を持っており測定器に反応しない極めて低濃度のガスでも人の臭覚で確認できる。
 硫化水素の肺への吸入による影響は非常に早く、高濃度ガスを吸い込むと瞬間的に意識を消失するため、「ノックダウン」と呼ばれる。
(2)消防隊員の装備
 所見にもあるように空気呼吸器は必須。皮膚からの吸収もあるので化学防護服の着装も要するが、緊急に救助する必要がある場合は、着装しなくとも影響は少ない。

 至近で巻き添えをくったら助からないということか……。空気呼吸器を使う以外、近づく方法は無いということらしい。消防庁の情報で、特別な装備無しに安全を確保する方法が無いのであれば、とにかく安全な場所(ガスが充分拡散して薄くなる場所)まで逃げるしかなさそうである(何かうまい方法があれば掲載されているであろう本なので……)。
 この本は、他の薬品の流出事故や火災の例が沢山出ていて、読むと参考になる。事故例というのは、薬品を扱う人が気を付けなければならない具体的な例でもあるので。

 本の30ページにはバイオセーフティーレベルの表があるが、私は最近まで分類が変わったことを知らなかった(バイオを離れてかなり経つ)から、変更後を知ることができた。

 酸よりもアルカリの方が厄介という話は、具体的には、

 アルカリを使って除染技術の訓練を行うと、薬品を塗った部分を1時間以上洗っても、汚染検査を行うとpH試験紙が青変する。酸は皮膚表面を凝固させるが、アルカリは皮膚組織のタンパク質を誘拐し損傷が深部に達する。(146ページ)

ということ。冷やす必要はない(むしろ低体温になる方が問題)から、温水で洗いまくるしかない。
 事故発生が、化学工場や大学の実験室だったり、薬品を運んでいた車が交通事故を起こした(運送関係)、タンクなど密閉した設備での作業等の時、といったものは、まあありそうな話である。身近なところでは、一般の飲食店などでCO中毒発生とか、冷蔵庫やクーラーの冷却剤が漏れて気化したとか、普段の生活でも遭遇しそうな事例である。意外だったのは、工事していたら地面の中から黄リンが出てきて激しく燃えたとか、なぜか水酸化セシウムが埋まっていたという事例。変なものが埋まってることがあるんだなぁ……ってか誰だ埋めたのは。