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日本語の問題というよりは……

Posted on 5月 11th, 2008 in 未分類 by apj

 高校世界史未履修続出の効果もあるではないかと思うのだけれど。ところで中学校の社会科では現代史をどこまでやっているのだろう?時間の順番に歴史を教えると、現代史にさしかかる頃には時間が足りなかったりで駆け足で進んでしまうので記憶に残りづらいとか?
 Yahooニュースより

「ナチスって何?」…字幕読めない若者増加に映画業界困った!
5月10日18時52分配信 産経新聞

 若者の活字離れが進む中、映画会社が洋画の字幕づくりに苦慮(くりょ)している。文字数を減らすだけでなく、漢字の使用を最小限にし、極力ふりがなをふる気の遣いよう。「読み」だけでなく、中学生レベルの歴史的事実すら知らないというケースも。こうした事情を反映し、アニメだけでなく、実写映画でも吹き替え版が急増。映画業界では「若者の知的レベルがこれほど下がっているとは…」と驚いている。(岡田敏一)

 日本初の字幕映画は昭和6(1931)年公開の米作品「モロッコ」。吹き替え作業の設備などが不十分で字幕という苦肉の策をとったが、この作品の大ヒットで字幕が定着した。

 映画各社によると、戦前の字幕はスクリーンの右端にひとつのせりふで最大縦13字で3行だったが、戦後は10字2行とやや少なめに。人間が1秒に読めるのは4文字程度というのが理由だった。文字数が再び増えるのが1980年代半ば。ビデオレンタルが普及するにつれ、テレビでも見やすいように、とスクリーンの中央下に最大横13字で2行の形式が定着した。

 しかし、ここ数年、13字の字幕を読み切れないという若者が増加。映画離れを食い止めようと、製作、配給会社では苦肉の対応を余儀なくされている。字幕づくりの現場では、10字前後で区切って行数を増やしたり、漢字を省いたり…。さらに、字幕を必要としない吹き替え版へシフトする動きもある。

 東宝東和では8月から10月の3カ月間で計3本のハリウッド大作を公開するが「吹き替え版を過去最大級の手厚さで用意する」と話す。ワーナー・ブラザーズ映画も「ハリー・ポッターシリーズの場合、吹き替えが6割で字幕版を上回っている。その他の作品でも吹き替えの比率は年々高まっている」と説明する。

 字幕以前の問題も。ある映画会社の製作担当者は「スパイ系作品の試写会後『ソ連って何ですか?』、『ナチスって何ですか?』との感想が寄せられ、本当に驚いた」と打ち明ける。

 「スパイダーマン」シリーズなど計約1000本の映画の字幕づくりを担当したこの道約30年のベテラン、菊池浩司さん(60)は「知っていて当然の日本語を知らない若者が増えているようだ」と話している。


ここからは旧ブログのコメントです。


by Niimi at 2008-05-05 04:21:05
Re:日本語の問題というよりは……

原語が理解できない者にとっては字幕よりは吹き替えのほうがありがたいですね。(「吹き替えは言葉のノーカットだ」ってのは淀川長治氏の言葉でしたっけ)

もっとも、吹き替えられた言葉が理解できない若者も居そうですが。^^;


by mishi at 2008-05-29 04:35:29
Re:日本語の問題というよりは……

AllyMcBealのDVDを日本語字幕・吹替えありでみて、フムフムとうなずいてたワタシ


by 温泉カワセミ at 2008-05-10 05:54:10
Re:日本語の問題というよりは……

apjさん、

>ところで中学校の社会科では現代史をどこまでやっているのだろう?

以前に本屋に並んだ扶桑社の中学歴史の教科書を見たところ、『現代史』以前に『世界史』の部分が無いに等しく、ほぼマルッと日本史だけの内容でした。

あれ、見たときに『ゆとり教育の害悪』が、遂にココまで来たかと暗澹たる気持ちになったのを覚えています。


by あんじ at 2008-05-18 12:00:18
Re:日本語の問題というよりは……

こんばんは

 「しかし、ここ数年、13字の字幕を読み切れないという若者が増加」
というのが本当かどうか、疑わないでもありません。

 映画の(字幕の)ことで僕自身のことで思ったのは、二重否定表現を使われると誤解することが多い。読書量が足りないとありがちなことで、凝った比喩は判り辛い。あまり高度なユーモアはちんぷんかんぷん。同時通訳的な、とても英語みたいな言い回しの翻訳も、意味を取り違えやすい。一度に表示できる情報量が、ちゃんとストーリーを追うことができるには足りていない?。

 考えると、字幕というものに欠陥があるんじゃないかという気がしないでもない。訓練が必要だとも思う。物によっては映像表現が稚拙なのかもしれない。

 他方、産経の記事はとても褒められたものじゃない。なにを言いたいのか判らないが、勝手なことを言いたいがため、映画会社の苦労を取り上げている気がします。


by あんじ at 2008-05-04 12:40:04
Re:日本語の問題というよりは……

追伸

 歴史教育の影響はさほどないと考えます。
 歴史は教科書ではじめて識るものではなく、先ず社会が教えるものであって、むしろ学校の授業は、歴史の知識を時系列に沿って整理や確認するものだと思うからです。
 それと、ナチスなどといった、前世紀中盤の事柄は、20年前に比べて重要性や関心が薄らいでいると思います。


by 中山 at 2008-05-18 13:30:18
Re:日本語の問題というよりは……

現代史に到達する頃には時間が足りなくなってみたいなことは、30代半ばの私の頃でもその上の世代でもそうだったわけで、べつにゆとり教育とは関係ありません。むしろ最近は現代史に力を入れている方だと思います。

>温泉カワセミさん
高校で世界史が必修化されたのと呼応する形で、中学の「歴史」は日本史(および日本と関連する範囲での周辺諸国の歴史)部分が拡充されました。中学は日本史中心→高校で必修の世界史、ということになったようです。


by 山本弘 at 2008-05-23 17:43:23
Re:日本語の問題というよりは……

 十数年前でしょうか、あるバラエティ番組で、若い女の子たちに古い映画を見せて、感想後に感想を語らせるという企画があったのですが、『博士の異常な愛情』の回で、

「水爆って何?」
「水から作った爆弾?」

 とか言っていたのが印象的でした。まあ確かに、最近めっきり使いませんわな、「水爆」って言葉。
 教育問題というより、世代の断絶の問題かも。僕らの世代では、テレビで戦争ものとかよくやってたから、子供の頃から自然に「ナチス」という言葉を覚えたけど、そういうものに親しんでいないと、徳川歴代将軍の名前みたいに、単なる「教科書に載っている歴史上の単語のひとつ」にすぎず、卒業と同時に忘れてしまうのかもしれませんね。

 アニメオタクの世界でも、もうじき「セルって何?」とか言い出す世代が台頭してくる予感……。


by もとエスペ at 2008-05-16 18:19:16
Re:日本語の問題というよりは……

↓は、同じ記事から着想したもののようです。
http://bogusne.ws/article/96401996.html

 沖縄の集団自決とか南京大虐殺とか、「従軍慰安婦(戦時性奴隷)」は、なかったっていうことにしたいわけで。そういえば、「ガス室はなかった」っていう特集を組んで廃刊になった雑誌もあった。
 そういう腰の定まらないあたりも、「歴史教育」の揺らぎの一因なのでしょうかね


by 酔うぞ at 2008-05-36 18:46:36
Re:日本語の問題というよりは……

典型的な「無理矢理くっつける」論だとしか思えないのであります。

字幕が読めないのか、字幕を読まないのかという問題は大きい思う。
わたしは字幕を読むのは好きだけど、最近では別のことをしつつ内容を知りたいから音声で出し貰った法がありがたい。
特にニュースの字幕には反発を感じます。


by VOT at 2008-05-12 19:36:12
Re:日本語の問題というよりは……

速度的に字幕が読めないのと漢字が読めないのと言葉を知らないのと歴史を知らないのと、いろんなことがごっちゃになってますねぇ(笑) まぁ、知識が偏るのは仕方ないので、ナチスを知らない人と話をしたとすれば、多分の人は自分の知らない別のことをたくさん知ってるんだろうと思わないでもないです。

ソ連を知らないのは、ソ連崩壊の時に物心付いてない世代なら仕方ないかも。知ってても字面レベルの情報としてだけでしょう。例えば私が満州国が具体的にどの辺りにあったのかはっきり答えられないのと同じようなものかも知れません。

学校で教える歴史って、過去から順番にやってくから、大抵時間がなくなってはしょりますよね。でもまぁ、聖徳太子がどうこうなんていうことを覚えさせて穴埋めで記憶力を競わせている暇があったら、第一次世界大戦以降の歴史を辿って今の世界に至るまでの流れを教えた方がはるかに有意義でしょう。

映画でも漫画でも小説でも、知識を得るきっかけになるのであれば十分ですよねー。


by apj at 2008-05-49 20:48:49
Re:日本語の問題というよりは……

>一度に表示できる情報量が、ちゃんとストーリーを追うことができるには足りていない?。

 万国共通でこれはあるかも。
 以前、友達が海外に行った時に、日本のテレビドラマ「おしん」の吹き替えを見たら、挨拶をするシーンで、普通に、ご無沙汰してますだか何だか言った後で「じっさまもばっさまも……(長々)」と身内の状況に言及していたのに、字幕では一言「hello」だけだったとか……。ストーリーを追えないとまではいえないけど、かなりニュアンスが違うことになりそうな。


by mo at 2008-05-37 22:14:37
Re:日本語の問題というよりは……

 だって、いよいよ来年はベルリンの壁崩壊、天安門事件当時にこの世に誕生していなかった世代が大学に入学するのですよ。
 ソ連崩壊なんて教師にとっちゃ昨日の出来事で授業で教えるべきこと、とは認識していないはずです。
 30代ですが、ベトナム戦争のことなんて授業でやった記憶ないですもん。


by 山本弘 at 2008-05-24 23:21:24
Re:日本語の問題というよりは……

【前の発言の訂正】
>感想後に感想を語らせる ×
>鑑賞後に感想を語らせる ○

 知り合いで、「『宇宙戦艦ヤマト』のデスラーがヒトラーのパロディだと、この前初めて気がついて驚いた」という人がいて、こっちがびっくり仰天しました。若い人ならともかく、35歳です。
 ガミラスって、あんなにあからさまにナチスドイツなのに……前に書いたことの否定になるけど、年齢に関係なく、当たり前のことに気がつかない人って、人口の何%かいるのかもしれません。


by apj at 2008-05-45 23:37:45
Re:日本語の問題というよりは……

山本弘さん、
>ガミラスって、あんなにあからさまにナチスドイツなのに

 そういえば、マジンガーZをドイツで放映できなかった理由が、悪役のブロッケン伯爵が見た目(軍服とか)からまんまナチスドイツだったからだという話を聞いたことが。
#あしゅら男爵の方は、手下の兵士が古代ローマあたりの歩兵っぽいので問題無かったのだけど。


by Enzo Romeo at 2008-05-08 23:51:08
Re:日本語の問題というよりは……

>酔うぞ さん、

>特にニュースの字幕には反発を感じます。

これは聴覚障害者のための配慮だと思いますが。


by 杉山真大 at 2008-05-06 00:29:06
Re:日本語の問題というよりは……

近現代史軽視ってのは、往々にして政治絡みの部分が出てきちゃうからってのは、その通りかも知れませんね。大学センター試験で南京大虐殺や沖縄戦を取り上げた際の、ウヨの攻撃って想像に余りありますから。政治絡みになるから大学入試で取り上げない→入試に出ないから高校でも教えない→高校でも教えないから中学でも軽く、って連鎖反応になっちゃっているとしか思えません。

そう言えば、同様に政治経済や倫理などの公民も軽んじられている印象が強いですよね。政治経済の仕組みや社会思想・哲学を知らずして、現実の社会でどうやって暮らしていくんだろ?まさか「自己責任」!?!?


by 青木裕一 at 2008-05-55 01:10:55
Re:日本語の問題というよりは……

デスラー総統がヒトラーのパロディだと原作者が語ったとしても、私はそれを受け入れたくないですね。ちなみに40代後半の私は、そのテレビ・アニメが放映されてた当時、中学生でした。
デスラー総統がまたテレビアニメで復活したら嬉しく思いますが、ヒトラーには復活してほしくないからです(^^;

不足してるのは教科書に書いてあることを授業で教える時間ではないと思います。授業のあとの「余韻」のようなものを子ども達に持たせてあげられないこと、彼等のイマジネーション能力を十分に育ててあげられないことが問題なのではないか、そう思います。

字幕に表示された一言二言でも、連想のようなものが働いて、さまざまなイメージが広がると思うんですけどねえ・・・。


by みのりん at 2008-05-38 02:55:38
Re:日本語の問題というよりは……

>授業のあとの「余韻」のようなものを子ども達に持たせてあげられないこと、
>彼等のイマジネーション能力を十分に育ててあげられないことが問題なのではないか、

感覚的ですがすごく同意します。
授業自体に余裕がない,見たいな印象をうけます。

もっと余裕を持たせ,こどもに興味を持たせることは可能では,と思います。


by shunsoku at 2008-05-49 04:52:49
Re:日本語の問題というよりは……

>マジンガーZをドイツで放映できなかった理由が、悪役のブロッケン伯爵が見た目(軍服とか)からまんまナチスドイツだったからだという話

 ドイツではハーケンクロイツをテレビで映すことは、法律で禁じられています。ブロッケン率いる「鉄十時軍団」がマークも含めてナチスの軍に酷似していますから。

 敵の親玉のドクターヘルがナチスの科学者であった、という設定もあり、敵役とはいえ、画面には映せないでしょうね。


by shunsoku at 2008-05-48 05:00:48
Re:日本語の問題というよりは……

連投失礼します。

エントリーの元になっている記事は、いろんな問題を混ぜすぎてますね。

現在の日本では、知識や教養の継承は、あまりにもないがしろにされている気がしてます。

ナチスにしても、ベトナム戦争にしても、ある程度歴史的な事実として知っておくべきだと私は思います。

>ナチスなどといった、前世紀中盤の事柄は、20年前に比べて重要性や関心が薄らいでいると思います

現在も世界中に分布し、なぜか日本にも若い支持者がいるネオナチに繋がることさえ、こういう認識の人が増えているくらいですから。


by apj at 2008-05-27 06:54:27
Re:日本語の問題というよりは……

杉山真大さん、
>大学センター試験で南京大虐殺や沖縄戦を取り上げた際の、ウヨの攻撃って想像に余りありますから。

 さすがに司法試験になると、9条が出てもウヨサヨ共にスルーでしたね。
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(平成14年論文試験・憲法)
以下の各訴えについて,裁判所は司法権を行使することができるか。
1.国会で今制定されようとしているA法律は明らかに違憲であるとして,成立前に無効を宣言するよう求める訴え。
2.B宗教の教義は明らかに憲法第13条の個人の尊重に反しているとして,その違憲確認を求めてC宗教の信徒らが提起した訴え。
3.自衛隊は憲法第9条に違反する無効な存在であるとして,国に対して,自己の納税分中自衛隊に支出した額の返還を請求する訴え。
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>政治経済の仕組みや社会思想・哲学を知らずして、現実の社会でどうやって暮らしていくんだろ?

 そこが無知な国民が増える方が都合が良い人達が上の方に居たりするのでは。自己責任ってことにすると誰も責任をとらず、全部個人に押しつけて話を終わらせることができるし。


by 中山 at 2008-05-46 14:53:46
Re:日本語の問題というよりは……

>杉山真大 さん

「近現代史」と言った時に、南京やら沖縄やら政治的に一悶着も二悶着もあるような話しか出てこない方がはるかに問題だと思います。それから、現状の高校では、非進学校は世界史Aですから、事実上近代史です。

近代史軽視ってのは、前ゆとり世代には実体験でしょうが、現状ではそう言いきれるものではありません。入試でも近現代史はけっこう出題されています。あえて言うなら、必修逃れなどに象徴されるように、歴史軽視です。まー、これも私の時代には芸術科目が名前だけの存在になってた高校とかいくつもあったわけで、それが世界史や情報にも拡大しただけなのですが。