Feed

嘘を見破る質問力

Posted on 6月 26th, 2008 in 倉庫 by apj

 404 blog not foundで紹介されていたので買ってみた。
「反対尋問の手法に学ぶ 嘘を見破る質問力」荘司 雅彦著(日本実業出版社)

 前もって相手の退路を断っておくために回り道をする、というのは参考になる。と同時に、嘘をつき通すコストは半端ではないということもわかる。

 弁護士が書いた反対尋問の本としては、「ある反対尋問―科学者証人への反対尋問例」松波 淳一著(日本評論社)がある。随分前に買って読んだのだが、今見たら品切れ中でプレミア価格になっていた。環境ホルモン濫訴事件の尋問を楽しむには役立った。

 荘司氏の本は読みやすいが、本格的に学ぶなら、本の中で紹介されている、“The Art of Cross Examination”, Francis Wellmanを読むしかないだろう。古い版の日本語訳は、ウェルマン著「反対尋問の技術」として青甲社から出たようだが、上下に分かれていて上巻だけがプレミア価格になっていた。旺文社文庫の「反対尋問」の方が入手は容易で、amazonマーケットプレイスに何冊か出ていたので、コンディションの良さそうなものをとりあえず注文。原著の方は改訂がなされており、ペーパーバックで入手は容易。

 神戸の裁判が、次あたり人証をどうするかという話になりそうだし、一応勉強しておこう。反対尋問のことを英語でcross examinationと言うのは、今回初めて知ったので、1つ雑学が増えた^^;)。


ここからは旧ブログのコメントです。


by ngt at 2008-06-28 04:57:28
Re:嘘を見破る質問力

こちらで紹介されていたので、荘司氏の本を早速購入して読み進めています。

ちょっと気になったのが、p.18。
「art=芸術」

クヌース氏の著作の邦題について聞いた事があるので、
それは、素直に「技法」の意味に捉えれば良いのではないかと・・・


by apj at 2008-06-53 07:55:53
Ars longa, vita brevis.

nqtさん、
 仰るとおり、訳語としては「技術」だと思います。

 この場合のartの用法は、Ars longa, vita brevis.のarsから来てるのでしょうけど、元はヒポクラテスの、 “ο βιος βραχυς , η δε τεχνη μακρα” で、「τεχνη」は医術(つまり医学の「技術」)の意味ですよね。


by 北斗柄 at 2008-07-14 08:54:14
裁判用語なら

旬を逃してしまいましたが、
英語版の逆転裁判やると色々でてきます。
testimony→証言
witness→目撃者(証人でも良いかも)
objection→異議あり
とかです。


by apj at 2008-07-11 09:06:11
辞典は買ったんですけどね

北斗柄さん、
 英和対訳の法律用語辞典は、先日購入したんですけどね。十分使いこなせていません。エクィティとコモン・ローの違いに言及されていたりして、英米法を知らないとなかなか……。
 しかし、逆転裁判は盲点でした。でも、刑事訴訟の用語に限定されるってことはないんですかね。

 それはそうと、ウェルマンの「反対尋問」旺文社文庫で無事入手できました。固い本出してたんだなぁ>旺文社文庫。」1979年の版です。で、序文を見てびっくり。ウェルマンさんって、1800年代に現役で活躍した弁護士さんだったんだ……。まさに反対尋問の古典というか何というか。