teleport
1つのキーボードとマウスで複数のMacを使えるようにするteleportってソフトがある。使ったことはないけど、必要になったときにソフトの名前が思い出せないことが多々あるので、一応自分用メモ。
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前にも書いたがもう一度自分用メモとしてまとめておく。Igor ProのXOP Toolkitを使って、ディレクトリの好きな場所でXOP製作作業をするための変更。XCodeはバージョン3.0。
1)XOP Toolkitの中のサンプルを、自分用作業場所にコピー。
2)XCodeで開く。
3)プロジェクトの情報を開く
4)ヘッダ検索パスを、(XOPツールキットを置いているディレクトリ)/XOP Toolkit 5/IgorXOPs5/XOPSupportに設定
5)ライブラリ検索パスを、(XOPツールキットを置いているディレクトリ)/XOP Toolkit 5/IgorXOPs5/XOPSupport/Xcodeに設定
※4)と5)の設定は、値をいれるところをダブルクリックしてウィンドウが開いたら、該当するフォルダをファインダーで見ながらドラッグ&ドロップすると、文字列で入る。直接キーボード入力の必要はない。
6)プロジェクトファイルから、External Frameworks and Librariesを選び、一旦libXOPSupport.aを削除し、もう一度追加する(パスは設定してあるはずなんだけど、これをやらないとうまく認識されないっぽい)。
まあ、サンプルをコピーしてきて動かそうという時にはこれで十分。
新規にプロジェクトを作る時の注意。マニュアル通りなんだけど、うっかり、グループとファイルの一番上に出ている青い書類アイコンをクリックして設定を始めると、後の方でマニュアルと違っていて迷うことになる。オプションの設定は全部、「ターゲット」の下の、これから作るXFUNCの名前を選択した状態で、コマンド+マウスボタンで、「情報を見る」で出てくるウィンドウを使って行う。
マニュアルは英語だがXCodeが日本語なので、設定項目の対応表を作るとこんな感じ。
・Architectures アーキテクチャ
・Header Search Paths ヘッダ検索パス (XOP Toolkitのヘッダの在処を入れる)
・Library Search Paths ライブラリ検索パス (XOP ToolkitのlibXOPSupport.aの在処を入れる)
・Exported Synbols File 書き出されたシンボルファイル (サンプルの、Exports.expをコピーしたものを追加したあと、キーボードから./Exports.expと入力)
・ZeroLink ゼロリンク(XCode 2.xのみ)
・Wrapper Extension ラッパーの拡張子
・Warn About Deprecated Functions 推奨されない関数についての警告
・OTER_REZ_FLAGS ほかのRezフラグ (マニュアルの通りに-i ../../XOPSupport -d TARGET_RT_MAC_MACHOと入力。ToolKitや自分のプロジェクトの置き場所に関わらずこの通りに入力しないとエラーが出る)
・「プロパティ」タブからの入力は、日本語では、それぞれ、識別子(Identifier)、タイプ(Type)、クリエータ(Creator)、となっている。うっかり、青色書類アイコンをダブルクリックして入力していると、「プロパティ」タブが出ないから、このへんで詰まる。
1つのキーボードとマウスで複数のMacを使えるようにするteleportってソフトがある。使ったことはないけど、必要になったときにソフトの名前が思い出せないことが多々あるので、一応自分用メモ。
途中でblog移転というアクシデントがあったが、マグローブの耐久性について議論していた部分については、削除義務無しで終わった。平成20年7月18日付けで判決が出た。
主文
1 別紙1,2のウェブログの書込み中、赤線で囲まれた部分について、原告がこれを削除する義務が存在しないことを確認する。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
で、この件については終了。削除要求をお茶大や山形大に出してきたわりには、本気で内容について立証する気が無かったらしい。
後は、神戸の尋問準備や、東京の進行に集中するつもり。
なお、詳しくは書けないのだが、blog移転のゴタゴタが実はまだ続いているため、明日は山形市内の弁護士に、ちょいと相談しに行ってくる。これが一段落しないと、このblogのコメント承認制の解除もままならない。
逝きし世の面影さんのところで、私が書いたエントリーが誤解されたらしく、『ムペンバ効果』科学に未検証はあっても、未解明は無い、というエントリーがあがったので指摘しておく。
『過冷却水とムペンバ効果』ただし下記の記事では氷点下でも凍らない不思議な現象『過冷却』をムベンバ効果として紹介している。
http://www.cml-office.org/archive/121683743476.html
有る一定の条件下では過冷却水が出来易いので『温度の高かった水が凍る』時に『温度の低かった水か過冷却水として凍らない』状態が存在するとしています。
過冷却水は、特定の条件下で静かに冷やせば0度以下でも凍らず水として存在する不思議な現象ですが、過冷却水は衝撃などで瞬間的に凍ります。
この現象をムペンバ効果と書いて有りますが、確かに再現は難しいでしょうね。
『確率的にしか起きない上に、繰り返し精密な実験が必要なので、演示実験の材料としては不適と考える。』
普通の家庭の冷蔵庫での再現性が極めて低そうです。
『水の冷却過程の研究には役だっても、家庭での実用性は無いに等しいわけで、水の相転移や過冷却状態に興味のある研究者や技術者以外の一般の人に、ためしてガッテンのような番組で紹介するような話ではなかったのではないか』
NHKの放送でのムペンバ効果は家庭用冷蔵庫での氷を作る裏技の話で、この記事の実験室で過冷却水を作るムペンバ効果の話は、科学実験としても別物です。
名前が一緒ですが全く何の関係も無い、同姓同名の別人の話の様な、まったく別の話をしていますね。
まず、過冷却をムペンバ効果として紹介した事実は無い。
過冷却が起きてから凍るまでの時間のばらつきが大きいことが原因で、ムペンバ効果と称する現象が起きてしまうことがある、と指摘したのみである。過冷却水が衝撃で瞬間的に凍ることは事実だが、瞬間的に凍ると熱が放出されて温度が上がるため、十分低温でかつ過冷却という状態を作らない限り、水の一部しか凍らない。その後は、氷が徐々に成長して、全体に凍っていくということになる。
「氷点下でも凍らない不思議な現象」とあるが、実は不思議でも何でもない。水以外の物質でも液体を冷却していけば過冷却状態は簡単に実現するし、結晶ができはじめて固体と液体の共存相になると、全体が結晶になるまでは物質に固有の温度が保たれた状態になる。ナフタレンでも起きるし、ベンゼンでも起きる。極めてありふれた現象で、高校の化学の教科書にも出ている。ただし、結晶ができはじめるまでの時間のばらつきの大きさまでは出ていない。
「名前が一緒ですが全く何の関係も無い、同姓同名の別人の話の様な、まったく別の話をしていますね。」というのは、明らかに、私が書いた内容に対する誤解であろう。全く何の関係もない、というわけではない。私が紹介したのは、ムペンバ効果と呼ばれる現象が観測される理由の1つを実験的に出したという論文なので、考えるためのとっかかりとしては使えるはずのものである。また、一般家庭の冷凍庫で実験している限り、条件がばらつきすぎてムペンバ効果の説明も再現もまともにはできないわけで、論文の方は「全く別の話」ではなく「精度を上げた話」になる。裏技の理由になったムペンバ効果がなぜ観測されるかを、過冷却というありふれた自然現象の振る舞いに関連づけて説明できるということである。
・いろんな理由でお湯の方が先に凍るという現象は実際に起こりうる
・精密に実験すれば過冷却になってから凍るまでの時間のばらつきによることがわかる
・素人実験では精密さに欠けるため、お湯が先に凍った場合に何が原因か突き止めるのは困難
・精密実験でも素人実験でもお湯が先に凍るのは100%ではない(論文の条件では47%くらいだが、条件によって変動するはず)
・たまたまお湯が先に凍ったことをムペンバ効果と呼んでいる
という状態だろうというのが私の書いた内容である。
裏技として使うためにテレビで紹介するのなら、素人の誰がやっても9割方成功するようでないと使い物にならない。当のNHKが、裏技として使える程の精度での再現実験をできていないわけで、視聴者に紹介するのは不適切だろう。
昨日、NHKの放送内容をチェックする機会があって、このリストに、
・たまたま起きるに過ぎない現象をNHKは裏技として紹介した
が追加が必要だという結論になった。
blogを見た知りあいの方が、録画した「ためしてガッテン」を見る機会を設けて下さったので、「ためしてガッテン」の内容を確認してみた。
見た限り、ムペンバ効果以外の部分には問題は無いし、理科の演示実験としても面白いものであった。番組冒頭のチンダル像の映像がなかなか面白い。
では、ムペンバ効果がどう紹介されたか。
番組冒頭で、「さらに、一刻も早く氷を作りたい、そんなあなたに朗報が!!」と強調した後、前野さん登場。「日本ではほとんどこの現象、紹介されていませんので」のあと、論文のコピーを積み重ねるシーンが入り、「それは世界中の科学者を驚愕させた大発見」とナレーションが続く。
この内容が紹介されるのは、番組後半になってからである。
最初に、「速く氷を作るには、製氷皿に水を入れるかお湯を入れるか?」と問いかけて、スタジオに、ヤカンの湯とペットボトルの水を出している。
その後、「世界が凍った大実験」「科学の世界で謎とされる現象」として、ムペンバ君の経験が紹介される。アイスクリームの素を冷まさないで冷凍庫にいれたら先に凍ったという内容である。
その後、温度計を入れたビーカーを並べて凍らせるVTRが出る。が、元の温度を表示するところで、逆回しビデオが速すぎて、温度変化の方も早送りされてしまい、どういう変化をしたかがはっきりしない。何回やったうちの成功例かもわからない。
NHKが再現実験をしたと称しているのは、別のドラマ仕立ての実験。-20℃度の部屋で男女が言い争いをしていて、女性が男性に、カップに入った水をかけると水がちゃんと男性のところまでとどいてかかるが、熱いお湯をカップに入れてかけると、大量の湯気とともに細かい粒になって下に落ちてしまう。
その後、スタジオでは、20℃以下の水は凍るまでにかかる時間が、温度が下がるとともに短くなるが、20℃以上の水では温度が高くなるほど凍るまでにかかる時間が短くなる、というグラフが出された。また、繰り返し実験では、製氷皿にお湯を入れた場合、冷凍庫の温度は1℃か2℃上がるが速やかに元に戻る、と紹介された。
終了の時のコメントでも、「熱湯が先に氷になるのでウチでもやってみたい」というものが出ていた。
引っ掛かったところを書いておく。
番組中で、透明な氷ができるかどうかを検討している場面で、家庭用冷凍庫の温度が-20℃と紹介されていた。実際には、制御や霜取りに伴う温度変動があるので、常に一定ではないし、どの程度安定するかは冷蔵庫によって異なる。食品の保存という点では、大体-20℃と思っても大丈夫だろうが、精密な実験ということになると、温度変動の影響がどう入るかわからず、ちょっと心許ない。
ムペンバ君の経験とその後の実験については、番組の紹介では、条件がはっきりしない。こちらは、Physics Educationの内容を確認してからでないと何とも言えない。モノがアイスクリームだと、どれだけ泡立てたかとか、ちゃんと他のグループと同じ組成になってたかあたりから見ないと何とも言えない。冷凍庫のどの場所に置いたかによっても違ってきそうではあるが……。
ビーカーを並べて凍らせるVTRでは、何例やったうちの何例が成功したのかがわからない。偶然、お湯だった方が先に凍ることもある上、時間の経過がわからないので、あのビデオだけでは何とも言えない。
ドラマ仕立ての実験は……見てるものが違うのではないか。お湯の方が先に凍るというよりも、お湯の方が細かい粒になりやすいという現象を捉えているように見える。ビデオだけでは何とも言えないのだが、大量の湯気が出る勢いでまず細かい粒ができ、急速に冷えたことで凍っているのではないか。水の熱容量を考えると、細かい粒になった方が速く凍ることになる。お湯の方が粘性は下がっているので、ばらまいた時に飛び散りやすくはなっているはずだが、それだけなのか? -20℃の部屋に湯をばらまいた時に細かくなる理由については、私も、まだ、何が起きているかを確定させる実験を思いつかない。
冷凍庫の温度が下がるかどうかの繰り返し実験をしたのであれば、ムペンバ効果を確認できるチャンスは何回もあったはずだが、そのことには全く触れていない。また、スタジオで見せたように、ヤカンで湯を沸かして……だと、不純物の入り具合が違ったり、核になる細かいチリの入り具合も違ってくるので、チリの状態を同じにすれば冷たい水から冷やしても普通に速やかに氷ができやすい、ということもありそうなオチである。
スタジオに出された、凍るまでにかかる時間のグラフの出所がよくわからない。physicsworld.comの記事からかと思ったが、あの形にはならない。編集したのだろうか?
番組の紹介のされ方だと、ムペンバ効果が必ず起きるかのような印象を与えるものになっている。早く氷を作ろうとして、お湯を冷凍庫に入れる人が出てきても不思議ではない。
また、お湯を入れた時の方が確実に電力は要するのだが、このことを番組中で指摘しなかったのはまずいだろう。
謎なのは、番組でも論文のコピーらしきものがいろいろ出ていたことで、arXiv.orgの印刷物らしきものも出ていたことである。Jengの論文は関連文献のまとめだし、Katzの論文はモデルの提案である。どちらも、ムペンバ効果が起きる証拠を実験的に確定させたものではない。この手のあやふやな話は、実験で確実に観測できる条件を確定させるところから始めないと、危なくて仕方がない。理論的なモデルは、精度の悪い実験に対しても作りうる。だから、今回、私が最初に探したのは、実験で何をどこまで確定させているかということがわかるような、実験の論文だった。つまり、理論の論文はとりあえず棚上げ(=あることだけ確認するが内容には重きを置かない)していた。普通に調べれば、最新のPhysica Aにたどり着かなくても、ちょっと前のAm. J. Phys.にはたどり着くだろう。実験の論文のみに注目すれば、確率的な現象だと主張しているものがあるはず(前のエントリーで紹介した文献中のリファレンス[4])なので、きちんと読んでいれば、百発百中再現する現象だという話にはならないはずである。
ムペンバ効果については、もともと簡単な話ではないので、簡単な形で演示実験できると思ってしまった製作スタッフの見込み違いということではないか。視聴者のメディアリテラシーの問題というよりも、番組製作スタッフが、ためしてガッテンのようなやり方で扱いきれる現象かどうかを見切れなかったという問題ではないか。
「科学の世界での謎」が、「現象を説明できる理論が無いだけで現象を観測する方法は確立している」という意味なのか、「現象を再現性良く起こすこと自体ができず、時々しか観測できないからまだ謎」という意味なのかで話は随分違ってくる。前者であれば、理屈はともかく手段としては使えるが、後者であれば手段にすらならない。再現性があるからといってそれだけで安心はできず、「再現性はあるが実は別の影響が再現性良く紛れ込んでいた」ということもあるので、実験の精度も問題になる。現状が一体どれであるのかを、番組製作スタッフが十分認識できていなかったように見える。
本筋とは関係無いが、久しぶりにテレビ番組を見た感想。情報伝達がえらく冗長で気になったし、見ていていらいらした。単位時間あたりに得られる情報で比較すると、テレビはえらく間延びしていることを実感した。本やネットは速読や拾い読みができるけど、テレビを短縮するのはちょっと難しい。
TeXファイル入力に使える、アウトライン機能を持ったワープロについてまとめる。
イチ押しはMellel。自動タイトルをどんな形にでも設定できて非常に便利かつ強力である。ワープロとしての機能も十分なので、TeX無しの普段の作業にも使える。TeX入力をするときは、自動タイトルを名前のみ入れ、わかりやすくするためにフォントの色や形を変えるだけの設定にしておく。自動タイトルの最初は%で始まる名前(%texの設定、とか)とつけ、その章には\documentclassから\begin{document}のあたりまでの定型の内容を書き込んでおく。その次からの章立てが実際の内容で、タイトルに\chapter{}、\section{}などと入れて、適宜名前も入れる。アウトラインを見ながら、該当する章や節をクリックすると、文書上でその場所に飛ぶ。章立ての最後の章は\end{document}だけを書いたものにする。その前にbibliographyなどが必要なら、別の章として作り、この場合も章の名前はコメントになるように%で始めるなどしておく。全部書き終えたら、プレーンテキストで書き出すと、UTF-8のファイルができるので、これをコンパイルする。
章は自由に定義できるし、図や表のセクションを別に作ることもできる。もちろん、pdfや画像を貼り付けておいて見ることもできるので、必要な資料をまとめることも可能である。ただ、データベースではないので(当然)、資料スクラップを本格的にやるなら、先日紹介したCircus PointのNotebookか、Devonthinkを使う方が便利である。
ちょっと特殊用途だが、StoryMillというエディタが、TeXソース吐き出し目的ではそれなりに使える。特殊用途だというのは、小説やシナリオ書きに特化しているということ。TeXで、\sectionとして管理すべき内容が全部Sceneという使い方をすることになる。他に、人物やら場所やらの詳細を書いておけるようになっているが、一般の文書作成ではとりあえず無視。左側の一覧のトップがChaptersなので、その中に新しくchapterを追加し、%で始まる名前を付け、中に、\documentclassから\begin{document}までを書いておく。もう1つchapterを追加し、\end{document}のみを書くところは、Mellelの時と同じ。本文のために、適宜chapterを追加し、\chapter{}と名前を付ける。文書形式がbookではなくarticleの場合は、名前のかわりに%を入れても良いし、\section{}と名前を振っても良いだろう。chapterの中には直接文章を打ち込めるので、TeXソースを入れてもよい。小説用のSceneを流用するには、Scenesをクリックして新しいSceneを追加し、適当に名前を付けた後、sceneのtextに(注意:noteではない方を選んでおく)、\section{}と書いて、TeXソースを入力する。scene編集画面の右の方に、chapters:とあるので、含ませたい章を選んでおく。sceneごとの並べ替えはできるが、Mellelのように、自動タイトルの段を変更したり、下の段で並べ替えたりということはできない。並べ替えを考えるなら、一番内側の段(subsubsectionあたり?)を単位として、sceneに入れるしかない。入力が終わると、FileメニューからExportを選ぶ。Exportスタイルはいろいろ定義できるので、TeX用のエクスポートとして、
$chapters_view$
%name%
%aggregateText%
という内容を作って保存しておく。これを選んで、exportウィンドウの下のメニューから、plain text exporterを選んで、テキストファイルとして保存すると、コンパイル可能なtexファイルになる。
Researchという項目があって、そこに資料の画像やpdfファイルを一緒に入れておけるので、作業には便利である。しかし、もともと小説やシナリオ以外の目的に使うことは想定されていないので、本文中に画像を張り込んだり箇条書きをしたりといったことはできるが、表は作れないし、こみ入ったレイアウトもできない。
もう少し汎用のワープロに近いのが、Scrivener。こちらは、カードに内容を書いて並べ替えるという作業のメタファーで文章製作作業をする。普通に開くとトップがカードデッキなので、その直下に、まず%で始まる名前を付けたカードを作って、\documentclassから\begin{document}までを記載し、別のカードに%で始まる名前を付けて\end{document}を書いておく。Documentメニューからnew folderを選ぶと、左側のメニューにフォルダができる。これに、\chapter{}のような名前を付ける。folderには複数のカードを追加できるので、適宜追加し、カードの名前を\section{}などとしておく。このソフトは、カードに別のカードを含ませることができるから、階層構造を簡単に作れる。その場合、カードの名前は適宜\subsection{}などとしておく。それぞれのカードに内容を入力したら、ファイルメニューからcompileを選ぶ。Contentタブでは、include allをクリックし全てのカードやフォルダを選択し、Pg Break beforeやKeep Formatはチェックしない。Contentは、Marked for inclusionを選び、Document Elementでは、TitlesとTextを全てチェックし、それ以外を外す。Text Optionsタブでは、Single Newlineを選び、Manusucriptでは、Disable auto-numberingのみをチェックする。他の項目はチェックせず、ヘッダやフッタは、No header/footer を選んでおく。Foemattingタブは、plain textでは関係がなさそうだが、一応、Do not indent titlesにチェックを入れておく。Export FormatでPlain Textを選んでExportをクリックすると、コンパイル可能なtexファイルができる。MultiMarkDown->LaTeXというのもあるが、最初からTeXソースで入力するとあまりうまくいかないようである。凝ったパッケージを使わないのなら使えるかもしれないが……。
こちらも、Researchという項目があり、資料をまとめて入れておけるようになっている。
Macで使うソフトを立て続けにオンライン購入して、ちょっと散財した。
最初が、SuperNotecard。カードにメモを書いて、分類したり並べ替えたりして、文章を書く前の段階の作業をする。MindMapよりはカードの並べ替えの方が今のところ性に合うので購入した。
次が、DragThing 5。Dockを拡張……というか、もっとたくさん入れられるDockを別途出すソフトウェア。ランチャーソフトはいろいろあるが、画面上に置いておいて、タブで分類を切り替えられて、出ているアイコンにファイルをD&Dで起動し、アイコンの上でマウスのボタンダウンで終了させられるというのはなかなか便利。これで、Dockに入りきらずにデスクトップに散らかっていたエイリアスを全部整理できて、かなりすっきりした。
便利なものを衝動買いするとやっぱり金欠に……ということで、お金の管理をするために、CheckBook Proを購入してさらに散財にとどめを刺したという罠。アカウントごとに通貨を何にするか選べるので、海外に行った時の散財記録を分けて管理したりといったことができる。日本製の家計簿ソフトやお小遣い帳ソフトをvector.co.jpで探したが、どれも今ひとつだったので、海外のソフトを使ってみることにした。通貨を日本円にしても表示の仕方は変わらないため、1円の下の小数点以下2桁まで00が表示されている。
当分購入の予定は無いのだけど、マインドマップを描くソフトよりは、TinderBoxを使う方が面白そうな気がする。私がMindMapの使い方を分かってないだけかもしれないのだけれど。
【追記】
SuperNotecardは、J2SE 1.4.2でないと、Point of Timeが勝手に書き換わるという症状が出る。アプリケーション→ユーティリティ→Java→Java Preferenceで、優先的に使うバージョンを1.4.2にしておく必要がある。
別エントリーのコメント欄で質問されたムペンバ効果について、もう少し文献をたどってみることにした。ためしてガッテンは見ていない。どうも、冷凍庫のオーバーシュートだけでもなさそうなので、怪しくならなさそうな範囲でまとめてみる。
まず、最も最近の論文らしいのが、S. Esposito, R De Risi, L. Somma “Mpemba effect and phase transitions in the adiabatic cooling of water before freezing”, Physica A 387(2008)757-763. とりあえずこれをとっかかりにしてみる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
この論文では、クライオスタットを準備し、-8℃、-14℃、-22℃、-26℃にして、水の量を20cm3、50cm3、65cm3、80cm3と変えて、冷却曲線を繰り返し測定した。2回蒸留した水を用い、温度はNiCr-Ni熱電対で測定した。
(1)冷却開始温度の異なる20cm3の水では、クライオスタットの温度を-8℃にして冷却すると、過冷却が起きてから凍り始める。凍り始める時間は1800秒から5000秒(以上)にわたってばらついた。過冷却になるまでの時間は、冷却開始温度が高い方が長くかかるが、過冷却になった後では、いつ凍り始めるかは確率的に決まるため、どちらが先ともいえない状態であった。
(2)クライオスタットの温度を変えると、相転移に対応する(っぽい)曲線が平らになる領域が、6℃、3.5℃、1.3℃で見つかった。どれが見えやすいかは、クライオスタットの温度に依存して変わった。どの条件でも見えやすいのは3.5℃の転移であった。
(3)3つの相転移点で区切られる4つの温度領域で、冷却曲線の傾き(指数関数でフィッティングしているので、正確には時定数)が変わった。時定数を求めた結果、誤差が非常に大きいが、体積には無関係で、クライオスタットの温度と直線の関係にあることがわかった。
Mpemba effectとの関係。
Mpemba effectは確率的な現象である。
冷却開始時に適度な温度差がある場合、温度が下がって0℃に達するまでの時間は、温度がが高い方が長くかかる。しかし、その時間差は、熱の交換が温度差に比例するため、温度が高い方が冷却速度が大きい。
(論文では、冷却曲線の傾きが変わる温度があることと、その見えやすさが条件によることが書かれていた。)
(論文中の冷却曲線のグラフからから読み取れる内容:冷却速度の違いから、0℃になった頃には、さほど大きな時間差となって見えてこない。0℃以下の過冷却が実現する状態では、結晶成長の核がどのようにできるかが、かなり微妙で(容器表面や不純物に影響される)確率的であり、結晶ができ始める時間が長時間にわたってばらつくため、元の温度が高かった方で先に結晶が成長し始めることが実際に起こる。しかし、これはあくまでも確率的現象に過ぎない。)
その他、この論文に書かれていたこと。
○加熱すると水の構造が変わるといった話を書いた論文もあるが、注意して実験すれば、そのような考え方は適用できなくなる。
○もとのMpembaさんが見つけた現象は、水ではなく、アイスクリームを作っていた時の話である。
○日常で使う冷凍庫は、温度や圧力の変動があり、過冷却状態を安定して観測することは困難である。過冷却状態は準安定状態なので、温度や圧力の変化といった外的擾乱で、結晶(つまり氷)が出てきてしまう。
この実験が支持するのは、文献中に[4]で引用された、D. Auerbach, Amer. J. Phys. 63(1995)882である。また、6℃の相転移(?)は、K. Korera, T. Saito, T. Yamanaka, Phys. Lett. A 345 (2005)184に書かれている。
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私の見解。
この論文の精度はそれなりに高そうなので、認めても構わないのではないか。実験の解釈にも、無理があるようには見えない。
家庭の冷凍庫でも、運が良ければ過冷却状態が実現することがあるので、「過冷却から結晶ができる過程が確率的である」ということにあてはまってしまい、Mpemba effectが見える可能性がある。さらに、試料の準備の際に、氷の核を作る種になるような不純物が紛れ込んだら、それで、凍り始める時間が変わってしまう。実験の準備に穴があればあるほど、何が影響して凍り始めの時間が決まるか、わけがわからなくなる一方に違いない。
この話のキモは、最初の温度差が適度なものであれば、0℃に達するまでの時間の差<<凍り始めるまでの時間のばらつき、が実現するというところにある。つまり、凍り始めるまでの時間のばらつきの方が圧倒的に大きいため、0℃になるまでの時間差の影響がそんなに見えないということである。
いずれにしても、Mpemba effectは常に起きる現象ではないし(むしろ一般家庭の冷凍庫では起こしづらいだろう)、温度の高いものを冷凍庫に入れたら冷やすために余分な電力が必要になることは明らかなので、Mpemba effectをあてにして温度の高いものを冷凍庫で氷にするということは全くお薦めできない。実験で使われたクライオスタットでも、試料部分の温度を一定に保つように制御するので、温度の高いものを入れたらその分だけ電力を要しているはずである(さすがに、投入電力までは論文に書いてないが^^;)。
確率的にしか起きない上に、繰り返し精密な実験が必要なので、演示実験の材料としては不適と考える。また、水の冷却過程の研究には役だっても、家庭での実用性は無いに等しいわけで、水の相転移や過冷却状態に興味のある研究者や技術者以外の一般の人に、ためしてガッテンのような番組で紹介するような話ではなかったのではないか。前提条件があまりにも入り組んでいる現象は、テレビで紹介する材料には不向きだろう。
これで、要らぬ誤解をして、温度の高いものを冷凍庫に入れる人が増えたら、その方がよろしくない。
確実にペットボトルで過冷却を見る方法もあるわけで(小中学校の理科実験で気軽に使えるセットが販売されていたはず)、水や氷の不思議を教えるなら、そちらを使った方が適切ではないか。
現在、1969年のMpembaさんの論文と、上記文献[4]を取り寄せているところである。
表題の所に講師として呼ばれたので話をしに行ってきた。
生物物理に興味を持っていた時もあったが、じきに離れて物理に戻ってしまったので、院生の頃に若手の会に行ったことはなかった。今回呼ばれて行ってみたら、夏の学校の全体のテーマが「脳」(大汗)。私にとって、脳の研究は、潰れた経験しか無いわけだが……。
まあ、オーガナイザーの趣味(?)で、水の分光の話やら研究の紆余曲折の話やらをやることになっていたので、客層が違ったらどうしようかと思いつつ話をしてきた。聞いてくれた学生・院生の皆さん&大学スタッフの方々、ありがとうございました。
先ほど、無事に山形に戻った。
blog見てますよ、と言ってくれた方も何人かいらっしゃったので、紆余曲折の方の追加情報をちょっとだけ。
脳の研究をやめる後押しになったのは、故松本元先生の講演を仕事でききに行かされたことによる。集中豪雨の日で、足首まで水に浸かるハメになった。そのときの講演のテーマは「愛は脳を活性化する」。教授に振られた仕事でやむなく悪天候をついて出かけたわけだが、講演内容には大変に感激し、「脳の研究は私の脳にダメージを与えている」という結論に至ったので、研究テーマを変える決心がついた。
千葉の放医研に行った時は、呼んでくれた先生が「これで安心してイギリスに行ける」と、来たばっかりの秘書さんと私を置き去りにして長期出張をかましてくれた。ついでに、隣の研究室で「気」の研究が始まって、気功師が出入りして妙に怪しくなっている有様。さらに、意識が量子力学の観測結果に影響すると主張する人が来て、物理学会の生物物理のいつぞやのセッションに出しており、素核宇宙以外は秋の分科会は同じ会場だったので、後からその人に「同じ会場で発表したのは私たちだけでしたよね」と親しげに声をかけられて、内心で「一緒にするなー!」と思いながらひきつった笑いを浮かべるしかなかった(私はラマン散乱の発表をしていた)。これはあちこちでも書いているので、読んだことがある人もいると思う。別冊宝島「トンデモさんの大逆襲」に、気の研究に科技庁が1億円つけたと書かれた件で、私はその時傍に居た。
#しかし、「若手の会」と名のつくところに参加するのではなくて、呼ばれて話をすることになると、「歳を取った」気がするよなぁ。実際その通りなんだが。悪魔の辞典風に説明すると「若手の会:客観的若手と自称若手の参加によって成り立つ会。講師に招待されるのは、年寄りのレッテル貼りである。」かな^^;)。
後期担当予定の科学リテラシー用ネタメモ。Yahoo経由YOMIURI ONLINEより。
「尿でがん」ニセ検査キット摘発、「陰性」信じ死亡例も
「尿で簡単にがん検査ができる」とうたって、役に立たない診断キットを販売したとして、警視庁は18日、医薬品輸入販売業、南秀明(63)(神戸市東灘区)と臨床検査会社「マリア・クォールホールディングス」社長、飯田祐巳(37)(東京都中央区)の両容疑者ら3人を薬事法違反(無承認医薬品の無許可販売)の疑いで逮捕した。
同庁は、南容疑者らが約3年前から同キット約18万個を健康食品会社などに卸し、約3億2000万円の利益を得ていたとみている。
発表によると、3人は2006年6月~昨年12月、医薬品の販売資格がないのに、仙台市や大阪市内の健康食品会社などに、「CCD」「CCS」などと名付けた無承認のがん検査キット計約9800個を計約2200万円で販売した疑い。健康食品会社などは、全国各地の薬局に商品を卸していたという。
同庁幹部によると、南容疑者らは、同キットについて、「尿に薬品を入れ、変化した色の濃さでがん細胞の有無がわかる」などと説明していたが、主成分は水銀とニッケルで、がん細胞には反応しないという。
同キットを購入したがん患者が陰性反応を信じ、がん摘出手術を断るなどして、結果として死亡するケースもあったという。
調べに対し、南容疑者らは、無許可で販売したことを認めており、「香港からキットを輸入した」などと供述しているが、海外で同キットが使われている事実はなく、同庁では、南容疑者らがキットの製造にもかかわっている可能性もあるとみて調べている。
(2008年7月18日14時01分 読売新聞)
ニセ検査法やニセ治療法に引っ掛かると、必要な治療を受ける機会を失って最悪死亡という結末が待っている。普段の講義では「科学の知識が足りないと死ぬよ」と、ちょいと脅し気味にいろんな教訓を教えていたりもするんだけどね。