磁気活水器や波動に毒されてしまった人のための物質科学入門(案)・その2
引き続き、項目を列挙。
○水の中のイオンって何?
金属が溶けるときの存在の仕方。かならず対イオンがあるから、全体として電気的には中性。水素イオン濃度(pH)が酸性と塩基性の指標になっている。
○イオンに何かすごい作用があるの?
物質としての通常の性質以上のものはない。代表的なものは高校化学の教科書に出ている(飲料水やミネラルウォーターの成分については列挙)。
○マイナスイオンって何?水にも含まれているの?
空気の中に漂っている、負の電荷を持った微粒子や分子の総称。水は関係ない。水の場合は、きちんと元素分析して不純物組成を決めればよい。水が何か性質を持つとしても、それは水溶液としての性質であって、不純物の効果以上のものではない。空気の場合は、分析が難しい(∵他の分子と衝突してどんどん別の物質に変わったりする)から、negative air ionという括りでとりあえず呼んでるだけ。
○遠赤外線は水に効果を及ぼすか?植物の成長には効果があるが……。
水の吸収スペクトルからいって、遠赤外線を吸収しても速やかに温度が上がるだけ。水の振動緩和は早いから、そんなにエネルギーを持ったままいられない。植物の場合は、直接遠赤外線を吸収しそうな分子をたくさん持っていて、吸収の相手が水とは限らないので別の話。
○水の浸透圧が変わるから植物がよく育つという話があるが?
まず、浸透圧が変わったことをきちんと示した実験が出てこないあたりがそもそも怪しい。希薄溶液の浸透圧は、理想気体の状態方程式のような形になるから、水の浸透圧が変わったとしたら、最初に疑うべきは不純物濃度と組成の変化だろう。
植物も動物も、水に一定量の不純物が混じった時に決まる浸透圧を前提にして生きている。浸透圧が変わって植物の成長が違うというのなら、浸透圧変化のもとになった水以外の成分の効果で説明できるはず。
○水の表面張力の測定
実は、試料調整に敏感。チューブ類を不用意に使うとそれだけで変わる。磁場じゃ変わりそうにない。巷の実験結果は、エラーが相当数含まれていると思われる。
○水の変化を見るのに動物実験は適切か?
水の「物理的変化」を想定しているのなら、まずは物理化学的な測定が必要で、それで全くでないのなら、物理的変化を仮定したことが間違っている。確かに、動物の方が分析装置より感度が良いことがあるが、それは、「特定の物質を認識する」場合に限られる(ホルモンとか)。
○磁気活水器の効果と磁気の効果は別
活水器の防錆用の亜鉛板が溶け出して水道管の錆を防いだ例や、アースによって同様のことが起きた例、活水器とセットで設置することになっていたフィルターの効果の例もある。効果があった例がことごとく磁気以外の原因だったり。
○エネルギーの豊富な水はあり得るか?
無い。酸素と水素から水ができる反応は発熱反応。水は物質としては、エネルギーを失った安定な状態。水のエネルギーとは、ΔGのことで、それ以上でも以下でもない。また、水のエネルギー云々で、kJ/molで数値を出しているのを見たことがない。比喩的表現と、物理量を混同すべきではない。
○原因を考える順番
物質の出入り以上の効果があるかどうかを十分検討すべき。これまでのところ、水単独で物理変化した例はない。懐疑的に実験を検討すると、水分子以外の物質の効果を見落としていたことがわかってきている。
ここからは旧ブログのコメントです。
by mimon at 2008-07-00 12:10:00
こんな項目もあった方がいいと思います。
活水器の宣伝によくに見られがちな効果について、少々補足します。
○スケール付着防止に効果があるか
スケールの発生量については、ある程度物理的に予測がつくが、それが配管に付着するか、浮遊して流れ去るかは、スケールがどのような結晶構造をとるかによって異なる結果が出ており、その原因は、コンタミなど、制御されていない要因によるところが大きい。したがって、設置前後のスケール付着の写真があっても、それは、たまたま、そうなっただけと解釈するのが正しい。
○お湯が早く沸くか
同一の条件下で、水の違いにより、お湯が早く沸くためには、水の比熱、粘性、熱伝導率など、物性の変化を伴うはずであり、それらの差異を定量的に押さえておかなければならない。ただ単に鍋をコンロに載せて、温度上昇の速度を計っただけの試験では、水の量を質量計で測定したか、ガス消費量を湿式ガスメータで測定したか、試験開始時の五徳の温度はどうだったかなど、誤差の入る要因が多い。燃焼機器の効率の測定方法は、JIS規格に細かく定められているので、そのとおりの試験をしているかどうかが、信用に足るか否かの判断材料になる。
by みっちゃん at 2008-07-08 22:41:08
8-OHdG 対策ならば
8-OHdGさんは、強い磁場の中では水は重力に反して浮かび上がる
http://www.maglobe.co.jp/biwakomesse.htm
と思っているので、しつこく質問してくるのではないのでしょうか。だからAPJさんが体系的にまとめても無駄なような気がします。
ここは、スタンダードに水オチでマグローブ社の科学的間違い(ついでに耐圧の話も「どこの力を計算しとるんじゃ」を含めて) を記載するほうが8-OHdGさんには良いのでは?
by apj at 2008-07-10 02:15:10
中途半端に正しい話を聞きかじってはいるが、基礎ができていない
みっちゃんさん、
>8-OHdGさんは、強い磁場の中では水は重力に反して浮かび上がる
水は弱い反磁性体なので、超電導磁石の強力なやつを使って、でかい磁場勾配をうまくつくると、水が磁場から逃げようとして上に向かう力と、下向き重力がつりあうので、水滴が浮かんだ状態にすることは可能なんですよ。もちろん、他の、反磁性体にも同じ方法が使えます。なぜこんなことをしているかというと、重力の影響を打ち消した状態で化学反応させたりといったことをしたいというニーズがあるからなんです。磁石は高価ですし、ランニングコストもかかりますが、衛星1基打ち上げて無重量状態で実験してまた回収するよりは安上がりなので。
さっきも書き込みがあったので、間違いを指摘してきましたが、中途半端に聞きかじりの知識しかなく、現象のつながりを全く理解していないと、ああいう感じになるんでしょうね。そういう細かい議論をしたいのであれば、少しは真面目に基礎から勉強し直せばいいのに、と思いました。
活水器の業者さんが宣伝しているレベルとは相当かけ離れたところまで、いろんな人がいろんな測定をやって結果をだしてるんですよ>水関連の研究。
by みっちゃん at 2008-07-49 03:12:49
あの写真は
注釈に「磁気アルキメデス効果による水の浮上 周囲の環境は12気圧に加圧された酸素ガス」とあります。パンパンに酸素を詰め込んだ状態で磁場をかけて、酸素を下に引っ張った証明として「磁場の影響を受けない水」が相対的に浮き上がっているっている図ですよね。
つまり、水が反磁性でも、そう簡単に磁場の影響で目に見える変化もないし(ご指摘のようにやろうと思えは莫大な予算)、磁場をとった後の水の状態も元々変化していないのだから、誰が調べるの?ていう突っ込みどころ満載の話だと思うのですが。
何か物質に変化があったとき、研究者はひとつひとつ可能性を地道に排除していっているのに、業者さんは都合の良い部分を曲解して、水道管を通っているだけだから化学変化が考えられないとか、安易に勝手な判断をしてます。
今回の注釈のように気をつければ私のような素人でも間違いは判ることもある(今回はたまたまですが)ので、まとめの中に「解決の取っ掛かり」のようなポイントも取り上げて頂くとありがたいです。
by mimon at 2008-07-07 06:02:07
私もそう思います
みっちゃんさん、
> 周囲の環境は12気圧に加圧された酸素ガス
私のような熱屋にとっても、「常磁性の酸素のがんばりにるもの」と、雰囲気のほうの肩を持ちたくなります。もちろん、両者の磁性の差によるものなのですが。
by apj at 2008-07-17 06:06:17
確かそんな話でした
常磁性と反磁性の差で浮かせるって話も一緒だったような……。
だいぶ前なので私の記憶もあやふやです、すみません。
by com at 2008-07-10 06:32:10
ゴミレス
>12気圧
この表記…なんとかなりませんかねぇ^^;
com的には、距離をメーターで話している際に「尺」で返されたような気分です。
…年齢がバレそうですね(笑)
by complex_cat at 2008-07-12 23:42:12
Mpenba effect
ご無沙汰しております。と書いても覚えていらっしゃらないでしょうけれど。
エントリとは直接関係なさそうですが,表記のMpenba effectについて,お教えいただけないでしょうか。
この効果が実際に存在するものであるとして
水伝関係者が「科学的な理屈では説明しきれない現象」としてのツールに使う嫌らしい可能性を感じております。
また,番組終了後検索でヒットした総ての理系ブログ主であると公言している青年達が,「らいいです」「面白いですね」と数分手を動かす遊び心が全く見られなかったのも多少,いらいらさせられて。大型フリーザーで遊んでみましたが,実験設定等,素人のアイデアしか有りません。反NHKの方が,我が意を得たりと間違って書き込みでいらしたりして,知識を増やしておきたいのですが,解説をいただけないでしょうか。
勝手ながら,先生が,どのようにこの話をとらえているのか是非知りたく思いました。
「ムペンバなんか知らない」 でも結構です。
よろしくお願い申し上げます。
by mimon at 2008-07-23 07:22:23
制御のオーバーシュートでは?
> 表記のMpenba effectについて,お教えいただけないでしょうか。
ハヤカワ・ノンフィクション文庫「つかぬことをうかがいますが…」
http://www.amazon.co.jp/dp/4150502323/
のpp128-135で、いろいろ議論されていることが、参考になると思います。
私が支持したいのは、「急に熱い物を入れられた冷凍庫が必死になってがんばるから」という理由です。
庫内温度を一定に保とうとしている制御系に擾乱を与えた結果、大きな「オーバーシュート」が発生したのだと思います。
省エネルギーの立場から言うと、決して勧められません。
by mimon at 2008-07-12 07:32:12
標準大気圧
先日、エネルギー管理士の練習問題を見ていたら、
「標準大気圧は□mmHgで、それは、SI単位では□kPaである。」みたいな穴埋め問題がありました。
答えは、当然、760と101.325なのですが、解説では、mmHgのほうを定義としていて、それに13.5951と9.80665を掛けていました。
幸か不幸か、私は、どちらの単位系でも扱える世代なのですが、若い受験生には、違和感のある問題だと思いました。
by apj at 2008-07-11 09:33:11
名前付けるほどのものじゃない、mimonさんに同意
ムペンバって何?状態だったので検索しました。
http://www.csmonitor.com/2006/0615/p16s01-stss.html
制御系のオーバーシュートに一票、です。
科学的な理屈も何も、冷凍庫がどういう温度制御をしているかで決まっちゃう話ではないかと。
実験をしているときも、オーバーシュートで温度が安定しないってこと、よくありましたよ。
by complex_cat at 2008-07-01 11:32:01
一度に初期温度条件の異なるものを放り込むんですけど
まず,オーバーシュートを保冷器具の特性によって上下動の範囲を超えた低温が生まれることとしてよろしいでしょうか。
お二人のお答えは,お湯を入れたビーカーの場合,冷蔵庫のサーモ系が過剰反応して,普通の水を入れたものよりも過剰に冷却するからと云うお話でしょうか。
期温度条件を変えて,そのたび毎に一個ずつ入れて氷結までの時間を計るならば,確かに冷凍庫が熱いほど頑張って氷結するまでの温度が短縮化するだろうなと云う話なら私でも分かるので,こんなに悩まないのですけど。
この実験の肝は,せいので熱したお湯と水の入ったビーカーを放り込んで熱い方が先に行李になるというだけの話なのですが,冷凍室内においてもその冷却能力の偏りが生じるような設計になっていて,この逆転現象が生じると云うことなんでしょうか。以下の動画がペテンかどうか分かりませんが,こういうのが,オーバーシュートの偏在が起きるようなことが普通にあるよと云う説明なら,OKです。
http://jp.youtube.com/watch?v=ywh5TQ5B4Es
理解が遅くて申し訳ありません。
ただし,これがそういう問題であるなら,熱流体力学的に説明がついていないなどという大上段の話にならないと思うのですがWikiの解説や関連論文は単なる勘違いなら,そのように理解します。
by apj at 2008-07-07 20:33:07
ソース自体が怪しい
画像が出てるっていってもねぇ……。
ついこの間も、携帯電話でポップコーンがはじけるという、インチキ映像が出回ったばっかりなわけで、どこまで信憑性があるのやら。
一方、お湯を氷にするのと水を氷にするのでは、温度を下げる分だけお湯の方をより冷やさなければならないわけで、こっちは十分な精度で確認されていますね。
実装の状態によってどうなるかわからない(センサーの位置や冷え方が均一かなど)「冷凍庫」を介在させて、新規な自然現象だと言い張ろうとするのがおかしいのではないかと。普通に起きるかどうかまでは知りませんが、報告が真実なら「使う冷凍庫によってはそういうことが起きる」ってだけの話では。
by omni at 2008-07-19 20:24:19
過冷却がいたずらしているかも
complex_catさん、apjさんこんにちは。
結晶成長を研究していたことがあります。
画像は、試験管にお湯と水を入れて-18℃の冷凍庫にぶち込んでガンガン冷やして、どれが最初に凍るかを見せています。
試験管は水の容積に対して表面積が大きいですから良く冷えます。これでは初期温度差があまり効かないかも知れません。画像から判るように、試験管の底から凍っていますから、底からもかなり熱が逃げています。試験管の底と冷凍庫の床接触面積がどうなっているかによっても違ってしまいます。それから、両脇の試験管から凍っていっていますね。冷凍庫の中に温度分布があって、両側の温度が低いかも知れません。これらのことを考えると、評価してもしょうがない「実験」だと思います。
真ん中の2本について比較すると、28℃の水の方があとから凍っています。水がヨーロッパなどの水道水で硬水だとすると、加熱すると炭酸カルシウムなどが析出します。こういう不純物は、ごく微量でも結晶核になって水が凍りやすくなります。水が必ずしも0℃で凍るのではなく、それ以下で凍ることを過冷却といいますが、過冷却は不純物とかゴミとか振動とか温度勾配とかにとても敏感です。だから加熱した水が先に凍っても不思議ではないです。
結晶成長に携わる人たちは、温度管理以外に、成長容器の材質、形状、結晶原料、その前処理法などたくさんの項目を厳密に選定していきます。結晶育成炉の冷却水温度も制御します。いろいろ突き詰めて偶発性をなくし、再現性が得られるようにします。
どこかのうすぎたない爺さんが、美しい言葉をかけるときれいな結晶ができると言っているらしいですが、そんなことで済むのであれば、結晶育成炉に美しい言葉を書いた紙をベタベタ貼ったり、ひっきりなしに美しい言葉で声をかけたり、何でもします。でも、そんなことをしている結晶メーカーはありませんし、社員がそんなことをしたら即刻精神病院に行くよう勧められるでしょう。
話は変わりますが、シリコンの単結晶を引き上げる時に、融液に強磁場をかけますが、これはおまじないではないです。
by complex_cat at 2008-07-23 18:10:23
動画を信用しているわけでは(汗;)
apj先生,
誤解を招いてしまいましたが,動画を信用しているわけではありません。当然,携帯でポップコーン同様,インチキでこの程度の動画を作ることは可能だと思って見ております。
私の場合,生態学関係なら感が取れますから,直ぐにインチキかどうかある程度は見当が付くのですが,最初の発見者であるMpemba君から,現在までの流れで,引用されている論文,研究者,私には検証しようがないのです。ただ,それに踊らされてか一生懸命検証しようとしてか,YouTubeに動画が出てくる世界ではあるという意味でご紹介しただけです。
http://en.wikipedia.org/wiki/Mpemba_effect
契機はNHKが「ためしてガッテン」というポピュラーサイエンス番組で紹介してしまったことで,最初はオーバーシュートなど考えも付かなかったので(別々に放り込むわけではないので),家庭で気楽に検証して遊べると思ったわけです。
直後に私のところには,検索から911陰謀論とNHK批判に拘るブログの方からコメントが来るようになりました。基本的に反トンデモというスタンスを取ってられますが,私には鏡の背面に見えましたので,この二つのテーマに拘る心理的属性を何となく感じて取扱注意だなと思いました。コメント欄が荒れないようにするために,分野は違えども研究者としての立ち位置と,正確な情報を纏めておこうと思いました。
というわけで,NHKがということもあって,物性と化学の分野で,トンデモとバトルされている先生で一番信用できる先生と私が思っている先生から何とか情報を得たいと思い,まんざら対トンデモと無関係な話でもないであろうとお許し頂こうと書き込みいたしました。以上が経緯です。
NHKを神聖視するつもりはありませんが,「四つの目」「レンズは探る」などの同様の系譜を見て育った人間です。日本の科学教育の一つのチャンネル(TVのチャンネルという意味ではありません)として機能しないのは困ると思っておりますので,先ず,事実関係を知りたいと思ったのです。
>mniさん,
丁寧なコメント有り難うございます。私のようなものでも感が取れるありがたい説明を頂き感謝いたします。
この現象について,再現できたとされる状況において,よほど厳密な実験をやっていないと,逆にお湯が先に氷結するという状況はそんなにややこしい話ではなく,起こりえるということを理解しました。
過冷却の話は,その件の番組でも扱っておりました。しかしそれとこれとが乖離して,高次熱流体力学理論でないと説明が付かないような未解明現象としてMpemba Effectが紹介されてしまっており,もしも存在自体が怪しいと考えられているのなら,分野外の人間としては,どんな人が監修に付いていたのだろうといぶかしむものです。そもそも,商時間省エネ技術のように紹介されていたので,その点も気になっています。
野本勝氏については,最近,二重盲検法を使ったと喧伝する水伝「論文」がとても怪しい雑誌から出ていますね。彼が美味しい思いをしている生活の糧なので,これの存続のためにはあらゆる手を使ってくると思います。
http://www.explorejournal.com/article/PIIS1550830706003272/abstract
私は,この論文自体もですが,このような雑誌自身の存在が,危険な領域にあるなと思っております。
基本は,最新科学理論で先ず説明すべきだし,それで出来なけくても,神秘現象ではなく必要なデータの取り方と理論構築が遅れているだけだと考えますが,さらりと,こう云うのを扱って,水には人知を越えた能力があるというように商売のツールに使ってくるどこかの薄汚い爺さんがいたりしないとも限らんわけで,Mpemba Effectは真贋関係なく,水伝商売を補強するツールとして使われる可能性を危惧しております。ましてや,未解明,あるいは未確認現象とされるならなおさらです。
逆に,お二人のお話を伺って,「ああ,あれ,有名なインチキね」か「あれだけはよく分からん」とか,どちらでもなかったので,関連領域の研究者に広く認知されているお話ではないことも理解いたしました。これも私にとっては一つの得難い情報です。
>シリコンの単結晶を引き上げる時に、融液に強磁場をかけますが、これはおまじないではないです。
門外漢としては,お話伺うだけで,とても魅惑的な処理ですね。
by complex_cat at 2008-07-33 19:33:33
客員教授
連投すいません。
東大の客員教授の基準がどのようなものなのか知りませんが,こういう方もお出でです。これもこちらに伺いたくなった契機となったサイトです。
http://www.waterworks.metro.tokyo.jp/tokyo-sui/kids/kids_jikken17.html
ちなみに,最近,「客員教授」という存在そのものが,場合によっては,大分の口利き教員試験と似たようなものじゃないかと思ったりしていてます。
同期の准教授やっている友人から怒られたんですが,通常なら過去数年にわたって年3報,まともなレフェリードペーパーがあって,全体で○報とか,お前にゃハードル高いだろうと話をしてくれて,そんなら,某先生(件のお方ではありません)もありえねーじゃんと思ったりしたわけでした。
某先生の力量や学術業績で客員教授なら,学会誌レフェリーやってるようなあたしゃ神さまだよと言ったら,機嫌悪そうに,事実関係は当局に内容証明で問い合わせろと教えてくれましたが,もちろんそこまでやってません。
大学もいろんな方がおられますが,この件に関しては混乱に手を貸していると考えたら間違いでしょうか。
by 杉山真大 at 2008-07-40 05:01:40
少し話題が変わりますが
NHKの「ためしてガッテン」でムペンバ効果が取り上げられたところ、結構論議を呼んでいるみたいですね。温められた水の方が普通の水と比較して早く凍るという現象。
この件については、実験をプロデュースした前野・北大名誉教授が放送に先立って一応お断り(?)を雪氷学会のMLに投稿しています。
http://blog.goo.ne.jp/syokunin-2008/e/ffdf8ae3c24263d6466618c9d9eaaca0
“火の玉教授”氏に至っては全くのナンセンス、と端っから相手にしていない様ですが、”教授”氏の実験や観察で科学的視座は養えないし理系志望になるとは思えないって意味の一端が垣間見えた気がしますね。
by apj at 2008-07-45 04:03:45
別エントリーを書きました
最初は、制御系のオーバーシュートを疑ったのですが、文献にあたってみるとそれだけではなさそうなので、別エントリーを書きました。
http://www.cml-office.org/archive/121683743476.html
とはいえ、紹介した論文の精度がそれなりに良さそうなので、話としては従来の枠組みで説明可能、で終わりそうではあります。
by complex_cat at 2008-07-16 23:52:16
Re:磁気活水器や波動に毒されてしまった人のための物質科学入門(案)・その2
杉山真大さん,
前野先生の投稿テキスト確認先であれば,リンク先は,前野先生テキスト紹介として適正とは思えません。他をご存じ有りませんでしょうか。
「学者のたまごでした」という書き出しは,他の方のブログのコピペの羅列がいきなり始まっておりまして,若干混乱する体裁となっています。いろいろ人によってお考えがあると思いますが,このブログコメのリンク先としてちょっと気になりました。
ここのブログ主の方は,私のところにもおいででした。有名な911やアポロ計画陰謀論を展開されておられるお方です。そのことは別にして,NHK糾弾を目的にされている感じがありまして,別にNHKに借りはありませんが(貸しは何度かあります),その件は区別いたしましょうと提案した経緯があります。
http://complexcat.exblog.jp/9010341/
ご参考までに。
by ごんべえ at 2008-08-59 21:07:59
遠赤外線と植物の成長
「遠赤外線は水に効果を及ぼすか?植物の成長には効果があるが……。」で、植物の成長に効果を認めているように見えますが、わたしはそんな話は聞いたことありません(一応植物の研究をしています;普通に影響を気にする対象ではないのはまちがいないです。が光形態形成が専門というわけではないのでどっかにマイナーなレポートが無いかどうかは知りません。)。遠赤色光(赤よりちょっとだけ波長が長い700-800 nm;FR;フィトクロームが吸収する)は顕著に効くはずですが、遠赤外線って(頭二文字一致でまぎらわしいけど)もっと波長が長いところ(4000nm以上)をさす言葉ですよね?なんか文献ありますか?近所の植物生理学者に聞いてみましたか?物理の人なら聞いても恥ずかしくないでしょう。
by apj at 2008-08-32 04:39:32
波長域が曖昧なことは確かですよね
ごんべえさん、
>遠赤色光(赤よりちょっとだけ波長が長い700-800 nm;FR;フィトクロームが吸収する)は顕著に効くはずですが、遠赤外線って(頭二文字一致でまぎらわしいけど)もっと波長が長いところ(4000nm以上)をさす言葉ですよね?
分光屋の使う遠赤外線の波長域と、企業も含めた遠赤外線ユーザーが言う遠赤外線の波長域では、後の方が広いです。これが混乱のもとです。分光屋のいう遠赤外線は、植物に当てて違いを見ることができるような光源そのものがなかったわけで……。
確か、どこかで見た発表だと、6ミクロン附近を言ってたかと……。
ご指摘ありがとうございます。文書として書く時は、もう一度調べて波長も特定するようにします。
by mimon at 2008-08-57 07:58:57
遠赤外線の波長
遠赤外線協会によりますと、
http://www.enseki.or.jp/ippo.html
> 遠赤外線協会では、遠赤外線を波長3μm(ミクロン)から1mm(ミリ)=1,000ミクロンまでとしています。
との事です。
3μmというボーダーラインは、微妙ですね。
多分、水の吸収帯の2.738μmを意識しての定義なのでしょうが、
私のような熱屋にとりましては、メタンの吸収帯の3.392μmあたりが、境目だと感じています。
ところで、この3.392μmというのは、現在のメートル原器ともいえるHe-Neレーザーの波長とほとんど一致していまして、
その波長を使って、学部や修士のころ、発光や吸収を研究していました。
by omni at 2008-08-44 16:05:44
誤解されないように書いておきます
>シリコンの単結晶を引き上げる時に、融液に強磁場をかけますが、これはおまじないではないです。
磁場を使ったアヤしい商品がたくさんあります。
その中で、磁場凍結冷凍庫というのがあります。冷凍する時に磁場をかけると、食品中の水の過冷却状態が安定化し、次に磁場を外すと急速凍結が起きて、氷の粒成長が起こらないので、細胞が壊れずにおいしい冷凍食品ができるというもの。
http://atom11.phys.ocha.ac.jp/bbs01/showthread.php?mid=25388&form=tree
これは(社)日本冷凍空調学会が磁場の効果はないと否定しています。
http://www.suisantimes.co.jp/column_log/071030.shtml
別に磁場を使わなくても、温度コントロールで過冷却冷凍する家庭用冷蔵庫を三菱電機が販売しています。
http://kaden.watch.impress.co.jp/cda/column/2007/12/06/1577.html
他に磁気活水器とか、スケール防止装置とかたくさんあって「水商売ウォッチング」のテーマですね。こういう商品は昔からあって、その「生命力」の強さには驚かされます。
ところで、シリコン融液に磁場をかけるのは、当初は融液の対流を抑制しているのではないかという解釈もあったのですが、石英るつぼ(SiO2)から溶け出す酸素(常磁性)の偏析を抑制するので、良質なシリコン単結晶が育成できるという解釈になっています。シリコン単結晶中にはppmオーダーの酸素が入っています。