風車が回らなかった話
風車回らず風力発電機低調、早大に2億円賠償命令
9月29日19時34分配信 産経新聞茨城県つくば市が小中学校に設置した小型の風力発電機が計画通りに発電しなかったとして、同市が計画を策定した早稲田大と風車を製造した大阪市のメーカーに約3億円の損害賠償を求めた訴訟の判決が29日、東京地裁であった。荒井勉裁判長(萩原秀紀裁判長代読)は、早大に約2億円の支払いを命じた。メーカーへの訴えは退けた。
裁判では、(1)早大側は、同市との業務委託契約に従って適切な計画を策定したか(2)市側は、風力発電事業が実現不可能と事前に認識していたか-などが主な争点。早大側は「市から事業目的など具体的な説明を受けていなかった」と反論していた。
荒井裁判長は、早大について、「期待される発電量が得られないことや、風力発電機の消費電力が発電量を大幅に上回ることを知りながら、市に説明しなかったことは契約上の義務を怠ったことに当たる」と指摘し、賠償責任を認めた。
一方、市側についても「担当者は事業が実現不可能と知らなかった」としながらも、「慎重な検討を迫られる材料がそろっていたにもかかわらず、早大側の調査結果をうのみにした」と落ち度を認め、賠償額を3割減額した。
判決によると、同市は平成17年、早大の策定した計画をもとに、市内の小中学校19校に風車23基を設置。しかし、実際にはほとんどの風車が回らず、予定の4分の1ほどの発電量しか得られなかった。設置費用のうち約1億8500万円は環境省の交付金で、同市は18年、全額返還を命じられた。
この手の話題は酔うぞさんが強いはず、と思って向こうの過去ログをサーチしたら出ていた。
早大賠償命令 環境ブームに“逆風”
09/29 21:58地球温暖化問題や原油高のなか、CO2(二酸化炭素)などの温室効果ガスを排出せず、環境に優しいとして近年、注目を集めてきた風力発電。しかし、風向きが一定しなかったり、故障が相次いだりと、風力発電への“逆風”も出てきた。専門家からは「日本の地形に合う技術はまだ発展途上だ」との指摘も上がっている。
■国の音頭で急増
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)によると、家庭用などの小規模なものを除いた全国で稼働する風力発電施設は平成14年度には576基だったのが、20年3月末には計1409基まで増加した。
風力発電が急増した背景には、クリーンエネルギーを推進する国の政策がある。国は15年3月に、風力や太陽光などで発電した電気の一定割合以上の利用を電気事業者に義務づけた「RPS制度」をスタートさせた。太陽光に比べ初期コストが安価とされる風力発電が注目され、設置数は急激に伸びた。
■相次ぐトラブル
しかし、風力発電が広がる中で、思わぬ落とし穴も明らかになった。偏西風のように一定の強さで一定方向に風が吹く風力発電先進地の欧州とは違い、日本の地形は複雑で風量も風向きも変化が多い。このため、安定した電力が得られなかったり、風車に負荷がかかりすぎて故障が相次いだりした。
また、島根県出雲市では「大きな風車が景観にそぐわない」などと近隣の自治体からクレームが付いた。愛媛県では住民から「騒音で眠れない」との苦情があり、一部の風車の夜間運転を取りやめている。台風や落雷などによる被害も各地で発生した。
■技術は発展途上
科学技術ジャーナリストの尾崎正直氏は「風車は欧州からの輸入品が多く、そもそも日本向けの技術がまだまだ発展途上。コストを考える段階ではないのでは」と指摘。
そのうえで「現状を十分に理解せず、国も自治体も企業も導入を急いだ。本来、『風任せ』な風力発電に多大な期待をするのがずれている。今回の判決は風力発電について、慎重に考える機会を与えたという意味では、意義がある」と評価した。
技術的に発展途上なのにブームにしちゃったら、そりゃ無理があるだろう。
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