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2月頃に巻き込まれていたストーカー(?)事件

Posted on 12月 18th, 2008 in 倉庫 by apj

 そろそろほとぼりも冷めたので、類似のことに巻き込まれそうな方のために書いておく。
 実は、今年の2月頃から、わけのわからないネットストーカー事件(?)に3ヶ月ばかり巻き込まれていた。

 始まりは、blogを見た人からのメールだった。釣書めいたものが書かれていて「結婚してください」という内容だった。送った人の実名や親の名前も書いてあった。もちろん、全く見ず知らずの他人からである。過去に会った覚えもない。何かのいたずらだろうと思って放置していたら、次に、「これを勉強しています」という内容で、「婚姻届の書き方」のURLが記載されたメールが来た。しつこいなあと思っていたら、次が「現金書留でお金を送りました」。私の住居の住所がバレている様子は無いから、来るとしたら勤務先になる。書留は一旦事務に届くので、事務が知らずに受け取ってしまったららまずい。慌てて事務に行って、状況を話して現金書留の受け取り拒否を依頼した。書留は本当にやってきたが、うまく拒否して、送り主に差し戻すことができた。
 その後、次々とメールで「山形に行きたい」「宿を予約した」「研究室訪問したい」……っておいこらちょっと待てーっ!!!(汗)。
 この段階では、相手の行動力の程度がわからず、下手すると勝手に入籍されかねないし、住居襲撃もあり得ると判断。

 そこで、慌てて市役所に行って、
・住民票の閲覧制限の申立て
・戸籍の不受理申出

を行った。戸籍の方は、6ヶ月経つと申し出の効力が無くなるので、問題が継続している間は、期間が過ぎる前に再度申し出をしておく必要がある。【追記あり】
 裁判所の記録からも住所が割れる可能性があったため、
・訴訟記録閲覧制限申立書
をこさえて裁判所に提出。こちらは、山形の分は自分で申立書を書いた。この申し立ての場合、立証は疎明で足りるので、疎甲第○号証、などと、受け取ったメールに番号を振って、住所や電話番号を特定されるとかなりややこしいことになりそうです、と裁判所に説明する内容を書いた。東京と神戸の分は、絵里タンに追加仕事をお願いした。
 当時は、本人訴訟の最中で、準備書面の締め切り間際で明け方までかかっている時に、追加書類2通製作(既に判決が出たのと係争中の分と2つ必要だった)で、このくそ忙しい時に何でこんなことが重なるのかとうんざりした。

 その後、山形に来るのに失敗しらたしかったり、親がそれなりに有名な人だったので師匠経由で連絡してもらって本人を特定して状況もわかったり、ということになった。メールは相変わらず毎日来ていたが、相手がやっていることを私に報告してくる数行のメールが来るので、ストーカーというよりは逆ストーカーというべきか……。結局、メールが溜まった段階で相手の親にメールの印刷物を送った。それをきっかけにして、騒動が終わった。

 ネットだと、距離やら通常の人間関係を越えておかしなことが起きる場合がある。
 結婚したい系の妄想を持ってやってくる相手への対処として、上の赤で示した「住民票の閲覧制限の申立て」「戸籍の不受理申出」の手続きをするということは、知っておいた方がよい。知らないうちに入籍というケースなら、まあ離婚は可能だけど、その場合でも記録は残ったままになるから、バツイチになってしまう。こんなアホな理由でバツイチになるなんて、普通はまっぴらだろう。両方とも、居住地の市役所に行けばできる。戸籍の方は、現状を説明して、放っておくとストーカーの被害に遭いそうだという説明でやってもらえた。
 3番目の「訴訟記録閲覧制限申立書の提出」は、訴訟をしたことがある人・している人以外には関係がない。ただ、住民票や戸籍をガードしても、訴訟記録は忘れがちになりそうなので(訴状や判決には住所が書いてある)、一応注意を喚起しておく。特に、事件番号をネットに出しているような場合は、容易にたどり着かれてしまう可能性がある。訴訟は原則として公開される手続きなので、制限する部分はできるだけ少ない方が良い、という方針で制度が運用されている。住所と電話番号部分のみの閲覧制限ということなら割と簡単に受け付けてもらえる。ネット上のプライバシー侵害を理由に訴訟するときにも、訴えと同時に出しておくと、二次被害を防ぐことができるかもしれない。

【追記】
 平成20年5月1日付けの戸籍法改正により、戸籍の不受理申出の有効期限が無くなった。本人が確認資料とともに戸籍の届出をするか不受理取下げをするまでの間、効力が継続する。なお、ちょいとサーチしてみたところ(2008/12/25現在)地方公共団体のウェブサイトの案内には、この変更を反映させた記述があるものと、改正前の6ヶ月の有効期限がある記述をしているものの両方があった。