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メディアリテラシーかな、これは

Posted on 12月 10th, 2008 in 倉庫 by apj

 共通教育で、テレビのインチキダイエット番組を取り上げていたら、学生さんから、テレビは信用できないというコメントがついたので、こんなことを言ってみる。
「テレビ番組は視聴者のためにあるんじゃなくてスポンサーのためにあるってことを忘れないで。スポンサーはCMを見せて消費を買ってもらいたいと思ってる。でも、CMだけ流したってみんな見てくれないから、番組とセットにして人を集めているわけ。だから、CMを見れば、どういう層をターゲットにしているかわかる。例えば、旅行会社が海外旅行のCMを出しているなら、ターゲットは、休暇をとって海外旅行を楽しんでくれそうな層ということになる。じゃあ、例えばCMを出しているのがパチンコ屋とサラ金だったら、ターゲットは、バクチは胴元が儲かるという自明な事実も認識できず目先の楽しみのために借金こさえてくれそうな層、ということになるよね。そういう層をターゲットにした番組がどういう内容や質のものになるか……あとは、いろんな番組のCMを出してる会社と商品を見て考えてみてね」

よくまとまっている記事

Posted on 12月 10th, 2008 in 倉庫 by apj

 毎日jpの記事より。講義資料としてそのうち使いたいのでメモ代わりに貼っておく。

追跡2008:朝バナナ・ダイエット 過剰な健康志向、市場振り回す /愛知

 この秋、バナナが全国の店頭から消えたことをご記憶の方も多いだろう。スーパーの果物コーナーでは、開店と同時に買い占める客が殺到、昼前には売り切れる店が相次いだ。騒ぎは1カ月で収束したが、納豆やココア、寒天などに減量効果があるとして品薄になったのもつい最近のこと。「日本人は、ダイエットに固執して食べ物をえり好みする傾向が強い」と専門家は言う。これからも身近な食品が突然、食卓から消えないとも限らない。騒動の背景を追った。【中村かさね】

 ★発端はネット
 ◇メディアがブーム加速

 まず、今回のバナナ騒ぎを振り返ってみよう。

 10月初旬の平日、名古屋市名東区の「松坂屋ストア」。午前10時の開店と同時に、並んでいた10人以上の女性客がバナナ売り場へと走り出した。普段は1房しか買わない女性も、3~4房を買い物カゴへと放り込む。そして、昼までには、売り場からすべてのバナナが消え去り、果物売り場にぽっかりと穴が開いた--こんな光景が9月20日過ぎから1カ月以上も続いたという。同店の林雅道店長は「毎日食べていたというお客様から『買いたいのに買えない。迷惑だ』という苦情も相次いだ。納豆ダイエットの時よりすごかった」と話す。

 ブームの下地はインターネットにあった。国内最大級のソーシャルネットワーキングサービス「mixi(ミクシィ)」に、朝食を水とバナナだけにする朝バナナダイエットを語り合うコミュニティが登場したのは、06年7月のことだ。その後、この方法でのダイエット本が出版されたことから、ミクシィでの参加者も増加。派生したコミュニティは今でも2万5000人が登録しており、朝バナナの実践と、ダイエットの進行を報告し合っている。朝バナナの関連本4冊は11月上旬までに計90万部を売り上げるベストセラーにもなっている。

 そして、9月、テレビが店頭からバナナが消えるほどのブームに押し上げた。

 日本テレビの人気情報番組で6~8月に3回、取り上げられたのを機に、ネット外でも認知度がアップ。9月中旬には、TBS系情報番組でタレントの体験談として「約1カ月半の朝バナナダイエットで7キロの減量に成功した」と紹介された。スーパーに客が殺到、1、2日でたちまちバナナ不足になった。

 バナナ輸入量で国内首位のドール(東京都千代田区)は、テレビで朝バナナダイエットが紹介された6月以降、ブームを予想して、輸入量を前年比約3割増やして対応した。バナナなど農産物は年間生産量が限られているため、日本の輸入量を増やすために、アジア各国から少しずつ融通してもらう必要があったという。それでも9月の放送直後から10月中旬にかけては、各小売店で売り切れが続出、市場価格も押し上げた。

 愛知県知多市のスーパー「タツミ」では、通常380円で売られていた約15本のバナナが付いた房が一時は700円近くまで上がったという。それでも飛ぶように売れたため、1週間前から予約を取って対応した。1房に4~5本のバナナが付いた商品は、仕入れることもできなくなった。同店で働く女性(57)は「あれほどあったバナナが、こんなに売れるなんてねえ」。

 バナナがいつも通りに買えるようになったのは10月下旬。ブームは収束したが、値段は一部で高止まりしたままだ。名古屋市消費流通課によると、同市中央卸売市場における11月下旬のバナナ1キロ当たりの卸売価格は、昨年同期より35円高い174円。9月のテレビ放送後に一時は200円近くにまで急上昇した。平年なら120~130円台に値が落ちる夏場も、今年はブームのハシリで150円台後半~160円台を推移した。

 ★さまざまな食品登場

 日本では毎年、ダイエット食品ブームが起きていると言っても過言ではない。その歴史は30年以上前にさかのぼる。

 古くは、1975年前後に流行した紅茶キノコがある。旧ソ連の家庭で伝統的に飲まれていた飲料だったが、簡単に台所で栽培できることから大ブレーク。効能として▽血庄が下がった▽胃腸が丈夫になった▽肝機能が元に戻った▽自然にやせた--などがあるともてはやされたが、医学的には根拠がないとされた。

 フィリピンのトロピカルフルーツだった「ナタデココ」がダイエット食品としてもてはやされたのは93年。翌94年には岐阜県を震源とする「野菜スープ健康法」がブレークした。

 一方、バナナダイエットは85年にもブームになっており、今年で2回目。同様にココア(96年、07年)も2回のブームがあった。また、インターネットでは過去に流行した▽粉ミルク(84年)▽ゆで卵(88年)▽黒酢(00年)などが依然としてダイエット食品として紹介されており、テレビ番組などをきっかけにブームが再燃する可能性がある。

 ★日本の特殊性指摘

 ブームによって消費者が一斉に特定食品を買い集める構造を識者はどう見るか。

 ◆過剰な食料供給

 群馬大の高橋久仁子教授(栄養学)は「特に最近のブームは、過剰な食料供給と健康志向を背景に、消費者がテレビの情報に飛びついている」と見る。

 07年に流行した納豆ダイエットでは、メタボリック症候群への関心が高まったことで、中年男性までもがスーパーに走った。

 情報番組でバナナを3回も取り上げた日本テレビ総合広報部は毎日新聞の取材に書面で「健康情報については、視聴者の関心も高く、健康維持と予防を目的として、テーマを選び制作しています。今回の『バナナダイエット』に関しても、その観点から選んだテーマ」などと回答した。

 ◆自信のなさ?

 また、高橋教授は「欧米では総合的に体にいい健康食品がブームになるのに対し、日本ではダイエット一辺倒なブームが発生しやすい」と特殊性を指摘する。日本人は欧米人ほど肥満は少ないことは、統計的に裏付けられている。世界保健機構の05年の統計では、日本で肥満とされるBMIが25以上の女性の割合がアメリカ(72・6%)やイギリス(61・9%)では6割を超えているのに比べ、日本(18・1%)は極端に少ない。それでも、ダイエットに対し、特に女性が強いこだわりをみせているのだ。

 宮城大の樋口貞三教授(食品産業政策)は、「美の追究というより、日本女性の自信のなさがブームにつながっているのではないか」と感じている。

 ◆都合よく解釈

 キャベツダイエットを提唱したことがある吉田俊秀・京都市立病院糖尿病代謝内科部長は「情報が独り歩きして、キャベツだけ食べればやせる、と誤解されるのは迷惑」と言う。吉田部長が提唱した正しいキャベツダイエットは、食前にキャベツを6分の1玉食べることで胃に満腹感を与え、全体の食事量を減らす。キャベツに飽きたらキュウリやトマトを加える。要は繊維質でビタミンCが体によく満腹感も得られるものをとり、食べ過ぎを防ぐ手法で、そもそもは肥満の人のために考えられた。

 吉田部長は「ダイエットの方法は、太った原因や、減らす必要がある体重によっても違い、百人百様だ。特定の食品を食べ続けるだけで、やせるはずがない」と話す。

 大事なのは「正しい生活と、バランスの取れた食事や適度な運動」と吉田部長は強調する。取材を通じて実感したのは、こんな当たり前のことこそ、健康的なダイエットにつながるということだ。

 ■本紙記者が体験
 ◇効果不明だが規則正しい生活で体調改善

 効果があるのかどうかを実際に試してみよう、ということで、10月の健康診断で、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群、腹囲男性85センチ、女性90センチ以上)に迫る勢いの木村文彦記者(37)が、脱メタボに向けて、朝バナナダイエットに取り組んだ。

 初日のウエストは82センチ、体重70キロ、体脂肪率は25・1%。まず、起床してからコップに常温の水とバナナ1本を用意。一口ぐらいのバナナを、よくかんでから飲み込み、水を飲んだ。食べた後は、意外と満腹感があり、「これならいけるかも」と思ったが、空腹感が襲ってきて、ヨーグルトを食べて耐えた。約1時間運動もした。夕食は午後8時までに済まそうと心掛けたが難しく、10時までに済ませた。

 3、4日経過し、朝1本のバナナとコップ1杯の水も慣れた。お通じがよくなった気がしてきた。2週間後、ウエストは83センチ、体重は68・4キロ、体脂肪率は23・8%。ダイエット効果は不明だが、朝食を取ることで昼、夕食の量が減った気がする。規則正しい生活をすれば、体調もよくなるということを実感した。【木村文彦】

バナナと日本人

 日本に紹介されたのは16世紀、ポルトガルの宣教師が織田信長に献上したのが最初と言われる。1903年には台湾から正式に輸入が始まった。「風邪を引いた時だけ食べられる」と言われる高級滋養食品だったが、1963年に輸入が自由化され、エクアドル産やフィリピン産の流入が急増。総務省の家計調査では、04年に1世帯当たりの果物の年間購入数量が初めてミカンを抜いて1位になった。今では「日本人が一番口にする果物」になっている。

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 ◇ダイエット効果がある として流行した主な食品

   (年代はブームのピーク時)

1975年 紅茶キノコ

  85年 バナナ

  88年 ゆで卵

  92年 リンゴ

  99年 唐辛子

  00年 キノコ、おから、黒酢

  02年 低インシュリン食品、ビール酵母

  03年 アミノ酸

  04年 にがり

  05年 寒天

  06年 キャベツ、杜仲茶

  07年 納豆、ココア

  08年 朝バナナ

 (このほかにも、03年以降、コンニャク、豆腐、豆乳、バナナ酢などがはやった)

毎日新聞 2008年12月7日 地方版

 しかし、最後のリストはなかなか傑作だ。特に最近数年は、毎年毎年品を変えて見事にかつがれている。これを見てかつがれていることに気付かず、次に出てくる○○ダイエットを真に受けるとしたら、救いようのない本物の間抜けではないか……。

ポケコン哀歌

Posted on 12月 10th, 2008 in 倉庫 by apj

 ニコ動貼るのは初めてだけどこれでいけるかな。

【ニコニコ動画】【初音ミク】 「ポケコン哀歌ロングバージョン」【オリジナル曲】

マイミクさんの日記経由で知った。
再生した。
泣けた。

PC-1500、まだ動いてる。
最初のプログラムを組んだきっかけがこれだった。
学部の学生実験ではいつも傍らに置いてた。
今は……なぜかHPのRPN電卓に嵌って、別の方向に走っている。

【追記】
 シャープのポケコン、教育用では生き残っている(PC-G850V)。

青池保子の漫画かよ!

Posted on 12月 9th, 2008 in 倉庫 by apj

 Yahooニュース経由産経新聞の記事より。

アイドルが「ヒトラーおじさん」偉人と紹介 テレビ東京謝罪
12月8日21時19分配信 産経新聞

 テレビ東京が4日放送したバラエティー番組「よろセン!」で、アイドルタレントがナチス・ドイツの独裁者、ヒトラーを「世界の偉人」として紹介したとして、同社は8日、「誤った歴史認識に基づく不適切な内容でした」としてウェブサイト上で謝罪した。

 放送されたのは、同番組の「世界偉人DEN!」のコーナー。アイドルグループ「℃-ute」のメンバーがヒトラーを「ヒトラーおじさん」と呼び、その演説には癒しの効果があったなどと紹介。放送後、ネット上の掲示板などで批判の声が上がっていた。

 番組の制作会社、エス・エス・エムも公式ブログで謝罪。原因について「社内のチェック体制が甘かった」と説明している。

 有名人ではあるが偉人ではない>ヒトラー。それはともかく、ヒトラーおじさんって、確か青池保子のマンガにキャラ化して登場していた時にそう呼ばれていたっけ。「イブの息子たち」だったかな。少女漫画的には、ヒトラーはかっこ悪いキャラで、将校が(絵の上では)美化されるのが常だったはず。
 別の報道だと、ヒトラーおじさん発言はアイドルのオリジナルではなくて、そういう台本を書いた人がいて、アイドルは単に読んでいただけということ。もしかして、制作者は私と同世代で青池さんのマンガでも読んでたのか?制作者が歴史をさぼりまくってて、ネタ元が「イブの息子たち」だけだったとしたら……「ヒトラーおじさんは偉人」って台詞が出てきても不思議は無い気がする。

 しかし癒しの効果って、ヒトラーには一番似つかわしくない。記事を見て一瞬、癒しってどういう意味だったっけ?と考えてしまった。「水からの伝言」で、「ヒトラー」と書いて水に見せると普通は結晶ができないが、ナチスの支持者が同じ事をすると結晶が綺麗になる、というトンデモ話ならある。基本は癒し路線の水伝でもここまでくると何が何だかわからない。

健全だな……

Posted on 12月 8th, 2008 in 倉庫 by apj

 Yahooニュース経由産経新聞の記事より。

東金の女児遺棄 演歌を歌い部屋にはポケモン
12月8日8時3分配信 産経新聞

 勝木諒容疑者の自室は「聖闘士星矢」の単行本やポケモンや戦隊もののグッズで埋め尽くされていた一方、今回のような特異な犯罪の誘発をうかがわせるソフト類はなかったことが7日、東金署捜査本部の調べで分かった。容疑者がよく利用していた自宅近くのレンタルビデオ店で借りていたソフトも特撮ものや洋画のヒット作などだった。

 捜査本部は前日に続いて7日も勝木容疑者の自宅を捜索。「勝木容疑者の自室の壁一面は漫画で埋め尽くされていた」(捜査幹部)という。

 捜査本部によると、美少女の主人公が活躍する「プリキュア」のほか、1980年代にヒットした「聖闘士星矢」や死に神高校生の活躍を描いた人気漫画、「ブリーチ」の単行本が並べられていた。

 特にジャンルに分けられることもなく、床に雑然と置かれたものもあった。その中には、「ポケットモンスター」や「プリキュア」の塗り絵のほか、特撮戦隊ヒーローの下敷きやDVDなどがあった。

 児童を対象にしたアダルト物や猟奇的作品はなかったといい、何が犯行の背景にあるのか、捜査本部は幅広い調べを進める。

 幸満ちゃんが遺棄された現場近くのレンタルビデオ店では、店を利用する勝木容疑者が頻繁に見かけられていた。同店によると、好んで借りたのは、自室にもあった「聖闘士星矢」や「ポケットモンスター」シリーズのほか、「名探偵コナン」などのアニメ、「ゴジラ」や「仮面ライダー」など特撮もの。そのほか、「ハリー・ポッター」「ラスト・サムライ」など、ヒットした洋画も頻繁にレンタル。時代劇や仁侠(にんきょう)物を見るときもあった。CDを借りることも多く、コナンのテーマ曲集に加え、「モーニング娘。」や嵐などをレンタルしていたという。

 「多いときは1日置きに5、6本借りていた」(店員)が、一昨年夏から姿を見せなくなり、同店を「自然退会」となったという。

 容疑者が事件前まで勤めたふとん製造工場の工場長(54)によると、容疑者は「演歌を自分で選曲して好んで歌っていた」といい、履歴書の趣味に「音楽鑑賞、読書、カラオケ」と書いていた。

 ☆矢にポケモンにコナンって、思いっきり健全路線のような……。戦隊物グッズも猟奇的な方向とは無縁だし。壁一面がマンガの書棚なんて今時大したことではない。
 とりあえず、今回は、無意味なマンガアニメゲームバッシングの起きる可能性は無さそうである。
 健全路線のコンテンツにはまってたって、犯罪に走る人は走るというだけのことではないかと。

思想の問題というよりも、信用されてないだけなんじゃ……

Posted on 12月 7th, 2008 in 倉庫 by apj

 週間金曜日の記事より。

国籍法改正が参院でストップ
組織による妨害工作の可能性も

 婚姻関係にないフィリピン人女性と日本人男性の間の子どもの国籍確認を求めた訴訟で、最高裁大法廷(裁判長・島田仁郎長官)は六月四日、父母の婚姻を国籍取得の要件としている国籍法三条の規定は法の下の平等を定めた憲法に違反すると判断し、原告の子ども全員に日本国籍を認めた(本欄六月一三日号で既報)。
 判決の翌日には、鳩山邦夫法務大臣(当時)が国籍法改正の意向を表明し、改正案は一一月四日、閣議決定後に国会に提出された。最高裁の違憲判決を受けたことから改正に与・野党の異論はなく、衆・参それぞれ一日の審議で可決させることが合意されていた。
 ところが、法案が提出された直後から、外国人排斥ともとれるような反対意見が法務委員や政党などへファクスで数多く寄せられた。そのため、一一月一八日の衆議院法務委員会の審議では、自民党や民主党の議員から法改正に慎重な質問が集中した。
 稲田朋美議員(自民)は「最高裁から(判決が)出たんだから変えるのは当然だという無責任な考え方でこの改正をしてもらっては困る」と、驚くべき反対意見を展開。さらに「これは司法権による立法府への介入の恐れがあったのではないか」と続けた。
 民主党の古本伸一郎議員は「真正なる日本人の血統」という言葉を繰り返し、偽装認知防止策を訴えた。質問に立った多くの議員が同様の質問を行なったが、法案は全会一致で可決、参議院へ送付された。
 衆議院で可決されたにもかかわらず、反対派の議員は国会内で反対集会を行なうなど、この法案への反対を訴えていた。その中心メンバーが、平沼赳夫議員や稲田議員、山谷えり子議員ら、歴史修正主義者たちだった。
 参議院では、自民党が強硬に慎重審議を主張し、これに民主党が応じたため、審議日数を二日とし、参考人から意見を聴取することになった。質疑終了後に採決されることになっていたが、自民党と民主党の話し合いで二七日の採決は見送りとなった。公明・共産・社民の議員は、民主党の態度に一斉に反発。二七日の委員会前の理事懇で結論は出ず、話し合いは打ち切られ、参考人質疑が始まった。
 二人の参考人からは、DNA鑑定は人権侵害の恐れがあること、違憲審査が認められている以上立法権を侵害したことにならないなどと、改正反対派の主張に反論した。しかし、この参考人質疑後、参考人の意見を全く蔑ろにする質問が行なわれた。
 新党日本の田中康夫議員は「すべての認知にDNA鑑定を義務付けるべき。偽装認知奨励法にほかならぬと懸念されている本法案は、人身売買促進法、小児性愛黙認法と呼び得る危険性をはらんでいる」とまで言い放った。まるで外国人を見たら犯罪者と思えと言わんばかりだ。田中議員はこの改正に反対し、独自の法改正案を主張。「国民新党の亀井静香代表代行や民主党の鳩山由紀夫幹事長からも法案修正を勝ち取って衆議院に差し戻してほしいと激励を受けた」と述べた。
 この他、質問に立った山谷議員も慎重審議をするべきと、稲田議員と同様の質問をした。審議終了後、社民党の議員は「自民党だけでなく民主党の対応がひどかった」と怒りをあらわにした。
 公明党議員は「過半数の民主党が採決すると言えばすぐにできた。民主党の千葉景子議員は速やかに採決をするよう主張したが、他の民主党議員に反対され孤立した形で気の毒だった」と語った。
今回の国籍法改正法案の審議過程で見えてきたのは、排外主義、歴史修正主義者が自民党だけでなく民主党、さらに市民派と言われる議員にも見られたことだ。
 かつて薬害エイズの原告として闘い、市民派の支持を受けて参議院議員となった川田龍平議員も自身のホームページで反対を表明し、稲田議員らと同様の主張を行なった。
 今回の改正は、胎児認知には国籍を認め、出生後認知にはさらに婚姻要件を課すことが憲法違反とされたのであり、婚姻要件を削除しただけの改正だ。さらに偽装認知の防止策として罰則規定を新たに設けているのだ。なぜ、法案審議が偽装認知の防止に集中するのか理解に苦しむ。
坂本洋子・mネット・民法改正情報ネットワーク共同代表

▼法務委員会に所属する国会議員の各事務所には、国籍法改正反対のファクスが大量に届く現象が起こっているという。ある国会議員秘書は、「連日、事務所には二〇〇通以上のファクス、加えてメールに電話対応と、事務所機能が完全に麻痺してしまい、通常の業務が滞る状態が何日も続いています」と困惑している。
 ファクスの内容は、ほぼ同じ内容をなぞっただけの「コピー&ペースト」で、チェーンメール、組織票と呼べるようなもの。閣僚経験のある別の与党議員事務所秘書は「法案の問題点を精査していない理解の浅さからくる発言ばかり。しかもほとんどが匿名なので対応もできません。内容は『外国人との婚外子に国籍を与えるにはDNA鑑定を』と国籍法の問題と『認知』の定義の問題を混同しているものが多いですね。しかしそもそも現状の認知制度が血縁関係の厳密な認定を求めていません。ならば、外国人との子ばかりではなく、日本人同士の場合を含めて、認知のありかたを議論する必要があるでしょうね。むしろ法案成立の阻止に効果がない空回りした運動ですよ」としている。
 なお、ある議員事務所では「ネットなどで『議員にFAXを送れ』などとしている煽動者を特定してください」と、威力業務妨害で、警視庁麹町警察署に被害届を提出している。
小谷洋之・ジャーナリスト

 これまでの状況を見ていると、国籍法改正反対の動きが派手だったのは、これまでの政府の対応に対する信用失墜が積み重なっていたってことではないのかと。
 思い当たる節としては次のようなものがある。
 たとえば、留学生を増やせという話があるが、酒田短大のようにやってきた学生の多くが行方不明で多分不法就労しているだろうという状態になったら、何らかの規制を設けるのが普通だと思うが、そういう話は出てきていない。不法就労しなくても経済的にやっていける層に限って受け入れるとか、その他実効性のある対策をするのが普通だと思うが、そういう話は国民には伝わっていない。行方不明になった留学生の行方を何人まできちんと突き止めたかについてもはっきりしない。
 不法就労の状況が改善したという話も出てこないし、改善するために予算と人員を大幅に増やしたという話もない。
 この間報道されていたフィリピンへの強制送還問題だって、親のやったことの責任を子供に負わせるのは気の毒だという意見があり、それはそれで尤もだけど、それだけならこっそり子供を産んで運良く見つからなければ、不法滞在してもやった者勝ちだというのを助長するに終わる。特定の子供に対する救済を考えるのは良いとしても、同時に、「長期にわたって不法滞在して子供を産んで育てる」ようなことが今後発生しないように、不法就労やら不法滞在をしている人を徹底的に調べて早々にご自分の国に帰っていただくということをやらないとまずい。しかし、子供がかわいそうという意見が出てくるだけで、「今後同じようなことになるケースをチェックを厳しくすることで減らす」という動きは出てこない。これでは問題の解決にならない。
 さらに、見た目で日本人と区別が付かない中国人や韓国人の入国のハードルを下げたがっているっぽい(見た目の区別がつく場合は一般の人によるチェックもしやすいから、不法就労やら不法滞在の早期発見がしやすくなる結果、通報だってしやすくなるはず。見た目の区別がつかない場合にはチェックのためのハードルが上がる)。
 法にのっとった出入国管理が徹底されることが原則なのに、そっちがなかなかうまくいかない状態が長期間続いている。うまくいってないのに、日本に入国する外国人の数を増やそうとしている。このことによって、出入国管理に対する不信感は確実に増大しているはずである。そこに国籍法改正案なんか出したら、反発があるのがむしろ当たり前である。国籍法改正に対する反対が起きたのは政治思想によるものではなくて、これまでの出入国管理のやり方が信頼されていないことが積み重なっていたものが、国籍法をきっかけに出てきたということのように私には思える。
 もし、これまでに、やったもん勝ちにならないような出入国管理が十分に行われ、不法就労やら不法滞在を一掃するだけの実績を上げており、かつそのことが国民に周知されていたならば、国籍法改正が騒ぎになることはなかったのではないか。
 居もしない排外主義、歴史修正主義者などを探す暇があったら、条文通りの出入国の管理を徹底させることを、まずは実行してもらいたい。不法滞在やら不法就労やらを十分取り締まれていない現実があるのに、改正国籍法については悪用はされませんなどと説明したって、信用しろという方が無理である。

 あともう1つツッコミを。そんなに素直に最高裁判決に従うのなら、一票の格差の是正を機械的に判決通りに行うための法律を直ちに作らなかった理由を国民にわかるように説明してもらいたいなぁ:-P。

呼ぶ人を間違えそうで心配

Posted on 12月 5th, 2008 in 倉庫 by apj

 asahi.comの記事より。

教科書検定、外部の意見聴取可能に 審議会の判断力強化
2008年12月5日15時59分
 教科書検定の改善策を検討している文部科学省は4日、文科相の諮問機関・教科用図書検定調査審議会(検定審)の部会や小委員会が歴史問題など「慎重な判断」が求められるテーマを扱うときに、委員の判断で専門性が高い委員を増やしたり、外部の専門家に意見を聴いたりする仕組みをつくる方針を決めた。

 06年度の高校日本史教科書の検定では、検定審は沖縄戦の集団自決について「日本軍の強制」の記載を軒並み削らせ、大きな問題になった。これを判断した社会科を担当する部会と日本史を担当する小委員会には、沖縄戦に詳しい委員がいなかったという。今回の改善案はこの反省を踏まえており、審議会の判断能力を高めるねらいがある。高い専門性が必要な新しい記述や学説が複数あるものに意見を付けるケースなどを想定しているという。(上野創)

 歴史よりもむしろ、道徳の教科書を作るのに江本勝を呼んだり、環境関係の部分の記述を決めるのにEM菌信者の向山洋一を呼んだりといった事態にならないか不安。特にEMは宣伝のような効果が無いことについては既に専門家の結論が出ているが、自治体でも嵌るところが出てきているので、「学説が複数ある」と往生際悪く言い張る可能性はありそうな。

本日の会議

Posted on 12月 4th, 2008 in 倉庫 by apj

 会議室に事務方が準備してくれたミネラルウォーターが、クリスタルガイザーだった件。これに該当するかどうかは、賞味期限をメモしていくのを忘れたのでチェックできなかった。

雪の結晶、但し水の中

Posted on 12月 4th, 2008 in 倉庫 by apj

読売新聞の記事より。

無重力下で雪の結晶…宇宙ステーションの「きぼう」で成功

「きぼう」での氷結晶成長実験。ガラス管の先に、さしわたし数ミリの美しい氷の結晶が成長している(宇宙機構、北海道大提供)
 国際宇宙ステーション(ISS)に設置された日本実験棟「きぼう」で2日、氷の結晶の成長過程を調べる初めての科学実験が始まった。茨城県つくば市の宇宙航空研究開発機構筑波宇宙センターからの指令で行われたが、見事な「氷の花」を咲かせることに成功した。

 「きぼう」での実験は、8月に続き2度目。地上での実験は重力の影響で水が対流してしまうため、形のよい結晶ができなかった。

 無重力下で観察しようと北海道大低温科学研究所の古川義純教授が提案。

 水で満たされた装置内に、ガラス細管の先端部から小さな氷の種を出すと、その周囲に、きれいな結晶が成長した。鮮明な氷の結晶成長の画像撮影は世界初。

 古川教授は「想像以上に対称性の良い結晶ができた」と喜んだ。

 結晶成長の分析は、半導体製造に欠かせないシリコン結晶の製造など、工業にも応用可能な基礎となる。実験は来年3月ごろまで100回前後行われる。

(2008年12月2日12時49分 読売新聞)

 どんな形かというと、
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のような形になっている。これは、液体の水の中に置いた氷の表面から起きた結晶成長で、枝の先端が丸くなっているのが特徴。むしろ、チンダル像に近い。通常の雪結晶は、水蒸気から結晶成長するので、樹枝状に成長した場合は先端部分が尖った形になる。
 ただ、なぜ液体中で成長させると丸い感じになり気相中で成長させると尖った感じになるのか、このことを既に誰かが説明しているのかも含めて、不勉強故に私は知らないのだけど……。もし、シミュレーションで特徴を出そうと考えた場合、分子がやってきて固体表面にくっつく部分は気相でも液相でも同じ扱いだろうけど、固体表面への分子の供給速度とか、相転移した後の熱伝導の方向や速度が、周囲が気体の時と液体の時で大きく違うし、どうなるのかなぁ……。

#とりあえず、「ありがとう」が関係ない事は確かだ:-P。

弁論準備@東京地裁

Posted on 12月 3rd, 2008 in 倉庫 by apj

 代休を充てて上京。吉岡他2名を訴えている裁判の弁論準備手続。
今回は被告の準備書面提出だったので、特に準備無し。5分くらいで簡単に終了。
 終わった後、絵里タンと打ち合わせ。東京地裁の1階に弁護士控え室みたいなのがあって、オープンスペースにテーブルと椅子のセットが置いてあって、隅の方にいくつかのパーティションがある。そこを使ったのだけど、両方の当事者が出てきていると、双方が終わった後の打ち合わせでまた鉢合わせすることがあるのだそうだが、電話会議だとその心配が無い、ということで、簡単に書類の検討をした。