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ハラスメント関連の論点候補とかメモとか

Posted on 2月 16th, 2009 in 倉庫 by apj

 いろいろ考えている最中なので途中のメモ。まとまっていない。

 キャンパスハラスメント関連の処理について、今漠然と考えていることなど。そのうちいろいろ本を読んだり考えたりしていくつもり。

・ムラ社会的なウェットな人間関係とも、従来の徒弟制度とも、今広く使われているハラスメント処理手続は馴染まない。木に竹を接いだってレベルじゃないくらいそぐわない。
理由:処分につながっており、行き着く先が法的手続であるような手続は「近代」のものだから(多分)。
「近代」をちゃんと説明しろ>自分。
・ハラスメント処理手続は教員の力を相対的に弱める方式で実装されている。このため、教員側としては従来の権威(徒弟関係を前提にした形)による指導はできない(その手段はあらかじめ封じられている)。残るのは対等な契約関係のみ。この状況で「教育者として……」といった言明は無意味であるばかりか、クレーマーを利する効果しかない。「教育者」の意味を「知識を伝える者」といった程度に限定して解釈すべきでは。
・「過剰な教育」を試みる必要はもはや無いはずでは。
・ハラスメント処理手続を作っておいて、一方で従来通りに、教育者に過剰な期待や責任を負わせるというのは、教わる側にとっての都合の良いところ取りであり、教員に対しては暴力的ですらある。思い切ってムラ社会の維持はあきらめ、古い徒弟制度とも異なった、新しい関係のあり方を作る必要があるのではないか。
方法は?リベラリズムから出発して関係を作り直す?
・混乱が生じている原因は?
 大きく4つに分けられるケースを1つの手続でやろうとしている。(1)刑法に抵触したり、民法でも確実に不法行為で賠償金が取れるようなことがら。(2)いわゆる「ハラスメント」(3)本来ならクレーマー処理として対応しなければならないケース(4)でっち上げ。
 対処法がまるで違うものを全部一度に扱おうとしたって無理なのでは。
・規則自体が矛盾を含んでいる場合がある。
 人間関係の修復、就学・就労環境の改善を謳いながら、ペナルティとしての処分が定められている場合(接触を禁止するといった措置は心理的ケアのためのもので処分ではないので、一方当事者にペナルティを与えることとは区別する)、その規則での処理に載ったら最後、防衛側は予想外のペナルティを喰らう可能性を考えておく必要があり、最初から法的紛争を予定して対応することになる。人間関係云々よりも、裁判所でいかに勝訴するかがエンドポイントになる。刑法に抵触するなら社会規範に照らして判断、民訴でいくなら全てを金銭に換えて争って終了にする、というのが社会での約束事。
・やってみてもいいんじゃないかと思うこと:教員側の対策サイトの立ち上げ。ケーススタディなど。
 2003年刊行の「大学教授は虚業家か」に、既に、ハラスメントを嫌がらせの道具に使う例が出ている。そろそろ、言った者勝ちの状況に釘をささないとまずい。
・サイト作りの目的その1:申し出た側がどう見ても無茶、あるいはどう見ても周囲の陰謀、と言う状況を作り出してから法的手段で戦って勝てる準備を普段からしておくこと。そのためのノウハウの共有→落ち度のない常識的に見て妥当なサービスの提供、ということになるので(このあたりは、提訴されて勝てる範囲で表現する、という防衛策と似ている)、むしろ質はよくなるはず。後は相手の手続違反をどう利用するかなど。
・サイト作りの目的その2:ハラスメントを使った嫌がらせを仕掛けられた場合、どうやって証拠を集めて学外処理に持っていくか。その手順とノウハウの共有(嫌がらせの場合は教員が荷担していることが想定されるので、学内処理だけだと多数決でいいようにされてしまう)。

 私がこれから読むべき参考書はこのあたりか。
・水谷先生のハラスメント判例解説本など。入手済み。 本来の処理基準。
・「モンスタークレーマー対策の実務と法」升田純&井上眞一(商事法務) 入手済み。
・「普遍の再生」井上達夫著(岩波書店) 入手済み。 リベラリズムとは?
・「タテマエの法ホンネの法」  もうすぐ第4版が出る。ムラ社会と「近代」のズレについて?