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状況が変わったので連絡

Posted on 2月 18th, 2009 in 倉庫 by apj

 エントリーに書くのが遅れたが、ここでも何回か取り上げた株式会社日本トリムの状況が少し変わったので報告しておく。
 「宣伝に活性水素を使うのを止めて、健康関連について煽ったりしない宣伝をしていく」と言っておられた副社長が、先日、別の会社に転職された。転職しましたという挨拶状をいただいてちょっとびっくりした。
 会社の上の方が、このまま、活性水素云々や健康関係を強調した宣伝をしないまま、うまく販売をしてくれると良いのだが……。宣伝方針の方向転換の牽引役とも思われた重役の転出なので、今後どうなるかが分からない。

「魔法使いの弟子」問題(仕切り直し)

Posted on 2月 18th, 2009 in 倉庫 by apj

 「魔法使いの弟子」問題というエントリーを書いたら議論がアサッテの方に行った。主な原因は、この言葉を出したうーむ(=とおりすがり)さんが、omniさんのムペンバ効果への書き込みをきっかけとして、個人攻撃に走ったことによる。さらに、うーむさんが、私の周辺で批判をしている人達を「魔法使いの弟子」として揶揄する目的を持っていたということが判明した。これではまともな議論になるはずがないので、仕切り直しをする。議論が続くかどうかはわかりませんが、一応場所を作っておく。

 まず、私の元のエントリーは次の通り。
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 とおりすがりさんのコメントにひっかかったのでエントリーに上げておく。

ここのコメント欄のやりとりを見て apjさんのエントリー  「『本物』の科学を手にしていないとニセ科学を批判してはいけないのか?」
が見落としている大きな問題点(似非科学批判側に愉快犯が紛れ込み、誠意ある科学者を背後から撃つ危険性)を感じた。
「魔法使いの弟子」問題と言ってもいいかもしれない。魔法を知らない弟子が似非魔法叩きで味をしめ、自身に他の魔法使いの真偽を裁く能力があると勘違いしてしまう悲喜劇

 という指摘が、ムペンバ効果についてのエントリーのコメント欄に書かれた。

 実は、一つ間違えると水素水がこのパターンに突っ込みかねないので少々気を遣っているところだったり。
 一般の人には「とりあえず太田教授の研究を静観せよ」と言い、太田教授には「これまでのヘンテコ水商売に出てきたナンチャッテ学者に見られるような紛らわしいことをするな」と言わなければならない。その上、太田教授の仕事を我田引水しまくってインチキ宣伝をしたがっている人達がいっぱい居そうな状態。
 何だか、私は、童話に出てくるコウモリになったような気分なのだが……。

 「魔法使いの弟子」問題といえるような状態が目立ったケースってあるのだろうか。これまではそんなに問題ではなかったと思うのだけど。
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 これに対して、「魔法使いの弟子」問題そのものについての議論と考えて良いと思われるのが、次のコメントになる。
 まとめてこちらに移動させていただきます>投稿者の皆様。

太田教授の研究については (by pooh)
瀬名秀明さんがらみで2回ほど書きましたが、「魔法を知らない弟子」としては読むひとに意図がちゃんと伝わっているのかじつはまったく自信が持てていません。難しい。
at 2009/02/03 08:03:12

メタっぽくなりますが (by 黒猫亭)
ニセ科学批判で最低限必要なのは、「魔法が何であるかを識っていること」であって、「魔法が使えること」ではないような気がします。最低限、魔法が何であるかを識っていれば、自分が何を識らないかを識ることが出来ますから、「魔法使いの弟子」問題のようなことは起こらないのだと思います。

後は、実践論の観点では「魔法を使う動機」も関わってきますかね。この種の類型の説話では、弟子が師匠から教わった一番簡単な魔法をよからぬ目的に使って、その結果自分の予期せぬ結果を招いたり、魔法が暴走して止められなかったりと、要するに「罰が当たる」形で失敗するわけですね。

そう謂う意味では、この比喩は個々のニセ科学批判の在り方を検証する観点で結構使えそうな気がします。
at 2009/02/03 12:38:30

ちと修整 (by 黒猫亭)>>後は、実践論の観点では「魔法を使う動機」も関わってきますかね。
書き込んだ後でちょっと考えてみたんですが、これは「動機」ではなく「目的」としたほうが誤解がないかな、と思いました。「動機」と謂うのは第三者視点では割合重要性の薄いことですが、「目的」と謂うのは結果と密接に関連しているように思いますし、また実践の具体に即して客観的に論じ得るものでもあります。
at 2009/02/03 14:09:13

Re:「魔法使いの弟子」問題 (by とおりすがり)ネタ元発言者です。apjさんに「ひっかかり」を感じさせてしまったようで申し訳ありません。

apjさんがエントリー「想定しているユーザが違う」で説明されておられるような、裁判の対象となり得る「実害」を基準とした場合、寡聞ですが直接的な実害はあまり聞いたことがありません。

間接的に多少なりとも害があるとすれば、「似非科学批判」の形式を真似て、悪意ある中傷/名誉毀損/風聞の流布/偽装業務妨害等の活動をしたり、あるいはそれら活動を通じ「似非科学批判」派の信用失墜を図るような行為でしょうか。
でもapjさんはそういう話には付き合わず、実害を基準とした堅実な似非科学是正活動をするのがいいと思います。
(この件については、後で何か気付いたら、改めてコメントさせて頂きます)

【元発言について】 該当エントリーでエンジニア風の方が「これは科学ではない」と安易な決め付けをして、延々と説明にならない説明をされているのを拝見し、何でも「似非科学」と批判すれば議論が成立すると考える安易な風潮に一石を投じたく「魔法使いの弟子」という比喩を使いました。この比喩本来の意味と、該当エントリーの状況には多少のミスマッチがある事、重々承知しております。必要があれば、表現を訂正したいと思います。
at 2009/02/03 23:32:54

問題意識は必要ではないかと (by apj)poohさん、 見た目微妙なケースをどうするか、というのは、いつでも問題になりうると思います。

黒猫亭さん、
 「魔法使いの弟子」問題という比喩の中身も含めて、これから少しずつ考えていきたいと思っています。

とおりすがりさん、
 ひっかかったのは、仰るような種類の問題が確かにありそうだと思ったことと、まともな科学に誤爆するとまずいということ、それから、いわゆるニセ科学批判批判が「魔法使いの弟子」を見て違うものを想像したがために起きているのではないかとふと感じたこと、といった、いろんなことがあります。

 ただ、どのような問題を「魔法使いの弟子」問題とすべきかは、これから詰めないといけないと思います。
・まともな科学をニセ科学と呼ぶ誤爆をしてしまうケース
・ニセ科学に対する批判なんだけど批判の中身が間違っているケース
など、いろいろありそうに思います。
 まあ、とりあえずひっかかっておいて、後から詰めようという感じです。問題意識として持っておくと、そのうちはっきりしてくることもあるでしょうし。
at 2009/02/04 00:01:14

Re:「魔法使いの弟子」問題 (by chem@u)こちらによさせていただくのは初めて?かもしれませんが、昔ながらの名前で出ています。発信者が実名であったり固定HNであった場合、相互批判が効くので余り問題とはならないことが多いかもしれません。

そうでない場合の匿名による言葉の暴力は、結構見てきました。
具体的にはシックハウス症候群について、マンションデベロッパーに対して告発するようなサイト運営者への誹謗中傷とか、掲示板上での相談者への誹謗中傷とか、シックハウス症候群=ニセ科学という間違った認識による、まさに「魔法使いの弟子」問題といってもいいかと思います。

ただ、匿名による言葉の暴力は、ニセ科学に限定されないので、ここら辺をどうするかは、実際のところ相当に難しく、匿名サイドに誤った認識を与えないよう、批判を発信する側も常に自らを振り返るくらいしかないかもしれません。

 私の問題意識としては、ここ1年ちょとくらいの間にちょくちょく出てくる、いわゆる「ニセ科学批判批判」と言われるメタぶった批判が、「魔法使いの弟子」に向けられているのではないかということである。だとすると、「魔法使いの弟子」問題も、論点として上げておいた方が議論を整理できるのではないかと考えている。

 何でもかんでもニセ科学と呼んで批判する行為と、chem@uさんが指摘した、間違った告発をする行為(ニセ科学には限らないし、むしろ告発の方が科学の誤用になり得る)には共通点があるかもしれない。そこまで共通点を探すとなると、危険を必要以上に煽るケースにおける科学が拡大解釈されるものも含まれてしまい、今のところ考えられている対応策は「リスクコミュニケーション」ということになる。リスクコミュニケーションで考えられているような情報の出し方が、科学と科学でないものを判別する際に役立つのか? だいぶ性質の違うもののように私には見えるのだけど、一応は考えておくべきことかもしれない。

 ニセ科学について議論するとき、グレーゾーンがあるからあらかじめ科学とニセ科学の間に線を引くのは無理だ、ということを繰り返し伝えてきた。線を引けないとなると、個別に細かいところまで見ていくしかないので、誤爆があったとしても早々に修正されるのかな、と思ったり。あるいは、「それは科学的にあり得ない!」と切って捨てるような形で「魔法使いの弟子」が出てくることはありそうで、これをやるとその場の反発は招きそうだが、議論の精度は悪いので、そのまま広まったり残ったりするのだろうか、という疑問もある。メタなニセ科学批判批判を誘発する可能性はあるけれど。