高校授業料取り立てのお値段
高校の授業料を支払わない場合への対処方法を考えてみた。
公立高校(全日制)の授業料:ここによると、月額9900円くらいらしい。東京都は10200円。自治体によって差があるが、目安としてはまあ1万円/月とすると、年間で12万円(教科書代別)。
【踏み倒し屋への対処】
支払えというお手紙を何回か送ったとして、1年も滞納するようなら取り立ててもいいはず。ということで、12万円を取り立てることになったとする。この金額なら、簡易裁判所で少額訴訟でいける。請求金額20万円以下の場合は訴状に貼る印紙代2000円+予納郵券6400円(これも裁判所によって異なり、5000円くらいのところもあるはず)=8400円。ただしこの金額は、訴状で「訴訟費用は被告の負担とする」とやっておけば戻ってくるし、相手が不払いならまず確実に自治体の勝訴となるはず。
これプラス訴状を書く人件費。訴状の内容については、ほとんど定型でいけるはず。少額訴訟では、会社の場合は裁判所の許可を得て従業員を代理人に選任できるから、自治体でも担当職員を代理人に選任するという方式で弁護士費用は節約できるはず。
ほとんどの人は訴状が来た段階で慌てて払うだろうから(∵卒業証書を渡さない、という程度の対応でもほとんどが支払った)、自治体には122000円+使用した切手代が支払われる。まれに払わない人には強制執行して取り立てる。
校長がとれる手段は、除籍か登学の停止だから、自治体が勝訴になってから支払われるまでの間「登学の停止」をやれば、支払うインセンティブにはなり、手間のかかる強制執行にたどり着くケースを減らせるかも。
まあ、「○月○日までに支払わないと翌日から登学を停止とする」という書類が来ただけで支払う親も居るだろうが、これでバックレる親が居たら、本当に登学を停止するしかなくなり、するとまた子どもの権利をタテにした横やりが入る可能性がある。訴状を書いた方がスマートに行きそうな……。
【経済的困窮&親権者が授業料免除や奨学金の申請に難色を示す場合】
民法5条1項によると、
(未成年者の法律行為)第五条 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
とあるので、生徒が親権者(代理人)の同意無しに授業料免除の申請をできるようにすることには、但し書部分にあてはまるので問題は無さそう(もうなってるかもしれないので、どなたかご存じだったらお教え下さい)。 もし、現実には親の同意が要るような書類になっていて、親が難色を示すことで救済されない生徒が居るなら、5条1項但し書をタテに、運用を変えさせるのが筋では。 奨学金については負債を背負うことになるので単独でできるようにしていいかどうかが微妙だが、高校の授業料の金額を考えると、金額に上限を設けるとか授業料に充当するという制限付きで、単独で申請できるようにしても良いのではないか。場合によっては立法が必要かも。
必要な人に援助が行き渡るようにするには、予算の手当が必要となるので、政策の問題となる。まあ、民意が支持すれば実現は可能だろうから、しっかり行政や議会に要求しないと……。
【親の方針で最初から進学拒否の場合】
親のポリシーで「高校なんか行かなくていい」とやっていて、子どもが高校に行きたい主張している場合。親権者に教育の義務はあるが、義務教育でもない高校進学について、社会の側が「子どもの望むようにさせろ」ということを強制できるかが問題。強制できることにしてしまったら、家庭の事情に応じて各自で教育するということが制限される。
民法だと、
(監護及び教育の権利義務)
第八百二十条 親権を行う者は、子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。
があるが、意に反して義務教育ではない高校に行かせないことがこれに引っ掛かるのか?あるいは、高校に行かせないことが
(親権の喪失の宣告)第八百三十四条 父又は母が、親権を濫用し、又は著しく不行跡であるときは、家庭裁判所は、子の親族又は検察官の請求によって、その親権の喪失を宣告することができる。
の親権の濫用または著しく不行跡にあてはまるのか? 親の反対を押し切って高校に通学する権利を法的に勝ち取った例、というのがあれば、対処法として使えそうなのだが、ちょっと探し出せていない。知っている人がいたら教えてほしい。
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