パフォーマンス:「御用学者発言撤回訴訟」
バズビー基金(Christopher Busby Foundation for Children of Fukushima)が、「御用学者発言撤回訴訟」というエントリーを上げています。
以下の内容は、2011/10/20の内容について書いています。すでに当該ページはWeb魚拓をとった方がいらっしゃるそうです。
これを、私なりに読み解いてみます。(随時追記中)
今回、神奈川県より、ストロンチウムが検出された問題で、当会は、以下の方々に対し、『発言撤回及び公式謝罪要求訴訟』を行う事に致しました。
これは、以下の方々が、テレビや新聞・インターネットなどを通じて、公の場で、無責任な発言した為に、多くの方々が、避難できなかった事実を踏まえ、これらの発言の撤回及び公式謝罪要求の訴訟を行う事を決定いたしました。
単に彼らが内輪で「決定」しただけです。何を決定してblogに書こうが彼らの勝手です。
彼らが問題にしている発言は、
ご存じのように、彼らが、3月11日以後、
『メルトダウンはしない。』
『避難する必要性はない。』
『ストロンチウムは飛散しない。』などの虚偽の発言をした為に、今後、多くの子供達が白血病や骨髄肉腫などを発病する可能性があります。
しかし、彼らは、反省をするどころか、更に、『米の暫定基準値は500ベクレル。』
『水道水の暫定基準は300ベクレル。』
だそうですが、誰がいつ発言した内容かは、全く特定されていません。すくなくともこの程度の内容では訴状は書けません。いつ、誰が、具体的に、どういう文脈で発言したか全て列挙してからでないと……。
彼らは、その事実を十分に知りながら、これらの発言を行っており、これは、殺人・傷害の未必の故意に総統すると当会は考えております。
そのため、これらのかれらの発言が間違いであったという事を、法廷の場において認めさせ、発言撤回をさせると同時に、謝罪をさえる為の訴訟を行います。
この部分から、彼らに専門家(弁護士)がついていないか、ついていたとしてもまともに話し合ってはいないことが推測されます。
殺人、傷害、未必の故意、といったことが出てくるのは刑事事件の場合です。本当にそういう事件なら、刑事事件として告訴(被害者なら)あるいは告発(第三者なら)すべきなのです。この場合、発言撤回や謝罪ではなく、刑事罰を求めていくことになりますし、彼らは原告にはなれません(起訴は検察官しかできない)。
ところが、彼らは、謝罪のための訴訟を行う、と書いています。この部分から、刑事事件にする気が無いかできない、やるとしても民事を考えている、ということがわかります。
民事であれば、不法行為で争うくらいしかなさそうです。その場合に主張すべきは権利侵害の内容であって、刑法の用語を使うというのは大変に座りが悪いです。専門家が居れば、こんなごっちゃにした内容のアピールは出さないのではないでしょうか。
この部分を読んで、おそらく弁護士にも相談せずにアピールを出しちゃったのではないかと私は思いました。
同時に、これらの虚偽の発言を行った教授達を在席させている大学にも責任があると当会は考え、これらの大学も同時に訴訟をすることに致しました。
大学だけが訴えられると、大学が勝手に和解したりしないようにするため、上記発言をした人が、訴訟参加する必要が出てくる可能性があります。彼らは、大学も同時に訴えると主張しているので、もし訴えられたとしても、訴訟参加の手間が生じることはないでしょう。
当会は、これらの訴訟の賛同者を募集致します。
募金や基金は必要ありません。
もし、子供達の将来を心配してくださる方がいらっしゃるのであれば、一人でも、多くの方に賛同していただき、連名にて訴訟を行っていただけますよう、心から、お願い致します。
訴状を書くには、原告が決まらないといけません。現在、原告リストに名前を連ねてくれる人を探しているということは、まだ訴状すらできていないということです。エア訴訟に終わる可能性も十分あります。
下手に募金を集めてしまうと会計処理が大変なので、募金無しという方針は有りでしょう(中西応援団の時は、代理人以外に事務局に弁護士が必要、ということでやめました)。それにしても弁護士費用をどこから捻出するのかが他人事ながら気になります。福島の子供達に、と謳って集めた寄付を訴訟費用に突っ込むということでしょうか。それで一体誰が救われるのかという気もします。
まあ、バズビー基金の中の人が本人訴訟すれば、当面の費用は訴状に貼る印紙代と紙代だけで済みます。それでも被告が増えれば訴状や準備書面のコピーを全員に送らないといけないので、送料がバカにならなくなります。もっとも、こんな訴訟予告をするような法律の知識しか無いのでは、本人訴訟ったって書面が書けるのか心配になってきます。
さて、現状では、被告予定者として名指しされた方々の主張は、「プルトニウムやストロンチウムは重いので遠くへ飛ばない。」、といったものだけです。これだけで、権利侵害を主張するのは相当無理があるだろうと思います。訴えたところで、原告適格がないとされて、却下される可能性もあります。この意味では、私は訴訟が面倒なことになるだろうという心配はしていません。
注意しなければならないのは、相手の挑発に乗って、うっかり名誉毀損や侮辱にあたることを発言しないようにするということです。争う内容が「プルトニウムやストロンチウムは重いので遠くへ飛ばない。」だけならば、このことによって生じた被害を立証する責任は原告側にあります。しかし、名誉毀損の場合は、免責要件を満たすことの立証は被告がしなければならず、立証に失敗すると敗訴します。原告が「これだけ名誉を毀損されました」という立証をわざわざする必要が無い、というのが、名誉毀損訴訟の特徴です。つまり、被告になった場合にはそれだけ面倒で、勝つためのハードルも高くなるということです。
どうか、リストに挙げられている方々は、バズビー基金への直接の揶揄などは極力書かないようにご注意ください。言葉尻だけでも名誉毀損訴訟を起こすことは可能です(勝てるかどうかは別ですが)。そして、法廷に引きずり出されると、それなりに手間も時間もかかります。「プルトニウムやストロンチウムは重いので遠くへ飛ばない。」、は今後も言っても大丈夫だと思います(訴訟対策という意味では、です。言い方も程度問題で、測定結果に矛盾するようなことまで言ってしまうと別の誤解を招きそう)。
こういう場合、当事者になるのが一番情報を得られますので、先ほど、バズビー基金の問い合わせフォームから、実名、メールアドレス、所属を添えて「私もSrはさほど飛ばないと考えており、そのことを明言しましたし、大学で教えてたりしますので、被告に加えていただきたく思います。http://twilog.org/apj/date-111020の 21:36:32をご覧下さい」と書き込んでおきました。
同時に、他にも訴訟希望の御用学者がいましたら、ご連絡をお願い致します。
だそうですから、被告希望の自薦も当然「有り」ですよね。
原告と被告の同時募集というのはさすがに初めて見ました。
この件のツイッターのハッシュタグは、
#バズビー基金による提訴予告
です。
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被告予定者に片瀬さんが入っているのが不自然だという指摘が黒猫亭さんからなされています。
「バズビー基金の暴走を止めよう!」を見ますと、住所からは実体がよくわからない団体やバズビーさんの放射能除去サプリメントを売っている人が同じビルに居たり、と、いろいろと怪しいです。
もしかしたら、本当の目標は、サプリ販売の邪魔をした(と向こうが勝手に認識した)野尻さんと片瀬さんなのかな、と思わないでもなかったり。
この日記をご覧下さり、ご賛同いただけるようでしたら、バズビー基金が
怪しい(フィッシング詐欺の恐れがある)団体であるということ
薬事法に抵触する商行為を行いながら、福島の子どもを守るなどという正義を装っていることなど、多くの方々や行政に対して情報を広げて頂きたいのです。
向こうが訳の判らない訴訟を始める前に、現行法でサプリ販売にどこまで網をかけられるか、専門家と話し合って手を打った方がいいかもしれません。少なくともサプリの通信販売をしているのに、特商法に定められた表記がない、とはいえるようです。
金儲けが本当の目的なら、販売の方に網がかかった時点で訴訟の意味がなくなるでしょうから。
フィッシング云々が出てきたのは、多分これでしょう。http://blog.goo.ne.jp/harumi-s_2005/e/3eed4fb9f53f05b96f7d336023316bc2
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バズビー基金についてこれまでにどんな批判がなされてきたかについては、
http://match.seesaa.jp/ot_listing.pl?k=%96Y%8Bp%82%A9%82%E7%82%CC%8BA%8A%D2+CBFCF&vs=&tid=seesaa_hotspot&hid=167&c=12&search=1&ic=shift-jis
の検索結果を参照のこと。
「バズビー基金 (CBFCF)」についての調べ物まとめ (9/18~28)も参考になる。
こちらは怒濤の探索結果。
「もしや、バズビー氏はお飾りか?」
電話番号やビルが重なりまくるところでいろんな種類の団体が入り乱れ、人もかぶってる模様。実体がはっきりしません。書かれた住所に何もなさそうだったり。これはむしろ、訴訟して呼び出して実体は何かと釈明させるしかなさそうなレベルです。それでも実体が判明するとは限りません。
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ツイッターのsyoyuriさんからの情報:
連絡先住所等が表記されていないなど特定商取引法違反の可能性がある通信販売業者(海外業者含む)については、経済産業省消費者相談室(もしくは各地方局の消費者相談室)http://www.no-trouble.go.jp/#top まで情報提供いただければと思います。
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サプリメントの効果について
ここに書かれていました(chochonmageさんご教示ありがとうございます)
我々は、カルシウムとマグネシウムを大量に補給することにより、ストロンチウム、ウランのDNAへの付着を防ぐことが出来ます
このサプリをどんどん売るには、ストロンチウムはあまり飛ばないとかわずかだとか言われてしまうと困りますね。もっとも、ストロンチウムはカルシウムと置き換わって主に骨に溜まるはず(だからカルシウムの代謝のトレーサーとして使われた)なので、DNAへの付着ってのがよくわかりません。また、遠くまで飛ばないということで言及されていたのは、ストロンチウムよりもプルトニウムの方だったと認識してるので、なぜここでストロンチウムの話の方が例示されて強調されてるのかしら、とも思うのですが、接点は効果効能だけなのかしら。
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本家に編集が加えられた場合の参照先。
御用学者発言撤回訴訟(魚拓)
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バズビーさん本人は、野尻さんや片瀬さんを訴えるぞと当該サイトに書かれていることなど、知らないかもしれません。日本語は読み書きできないでしょうし。バズビーさんが無関係であったとしても、日本語で、相手を名指しして訴えるぞ、と書いて公表した人物、は存在するわけです。責任を問うべきは、その人物です。冗談でも、こんな内容は書くべきではありません。
ストロンチウムが微妙に強調されているところを見ると、今回の訴訟予告は、反原発とは関係が無くて、サプリの販売の邪魔になりそうな意見を言わせないようにしたい、という意味なのかなあ、と思いました。
商売だとしても、今の状況で炎上マーケティングをやって得するとも思えないので、相手の意図が読めません。今回の訴訟予告から引き出せることは、「反原発や脱原発はおかしい」ではなくて「特商法違反して商売する奴はやっぱりおかしい」になるのかなあ、と思いつつ、様子を見ています。
ネット通販の場合に守るべき事(経済産業省)
代表者の名前が抜けている証拠(魚拓)。
******* 注意喚起 ***********
原告になりたいと希望する方へ
バズビー基金のサイトの「お問い合わせ」をクリックすると、氏名、会社名、住所、Fax、電話番号、メールアドレスを聞かれます。住所と電話番号はなくても問い合わせできますが、メールアドレスは入力しないと問い合わせができませんでした。
うかつに個人情報を入力すると、後から、バズビーサプリの案内が届くかもしれません。
訴訟する場合、原告は、住所氏名を訴状に書きます。弁護士が居る場合でも書かなければなりません。原告になると、バズビー基金に、本名と住所氏名の情報を知られることになります。
原告になる前に、一度立ち止まって、このことを考慮なさった方がよろしいかと思います。
※バズビー基金の関係者へ
訴状の送達ですが、私も被告に加える気になった場合は、とりあえず職場宛に送って下さい。エア訴訟になるかどうかわからない状態で、住所を教えるつもりはありませんので。
※ご連絡:被告候補にも名乗りを上げて、訴訟予告そのものをここでもツイッターでもネタにしますので、可能性は低いでしょうが本当に私が被告にされることもあり得ます。このため、質問やコメント等に答えないこともありますので(答えると事前に相手に情報を与えることになる)ご了承ください。
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