何でもハラスメント
2月のとある日、扉に貼られていたビラ。キャンパス内くまなく教員居室の扉に貼り付けられたらしい。
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私が着任する前に、「学寮問題」というのがあったらしい。その後始末が今も続いていて、今度は追い出された側がキャンパスハラスメントの手続きを使うことにしたらしい。
最初にビラを見た時は、部屋の扉に貼り付けられていたので、一瞬、別件でハラスメント手続きを使って私と争うつもりの人が新たに出てきたのかと思って、やる気ならこの際だから受けて立つぞと気合いを入れて、よく読むと違っていた。私とは直接関係の無い話だった。
以前、大学が学生に配っているカードには、ハラスメントとは「本人が意識しなくても、相手が「望まない言動」と受け取ることです」などと書いた上に、見過ごさない、などと標語を書いたポスターを学内に貼っていた。
私は昨年、学生に対するキャンパスハラスメントの加害者として学科から告発された。それが、下に書いたように、著しく作為的な調査であったため、中心となった教員2名による私に対するハラスメントであるとして、私から申し出を行った。こちらの学内調査は終わったが、再発防止策がとられたわけでもなく、当事者で解決せよという結論で終わってしまったため、問題は今も解決していない。
簡単に状況を説明しておくと、実際には学生が加害者で私が被害者の脅迫事件であったのに、学科教員がよってたかって「学科の調査」とやらをするとあら不思議、起きていた脅迫事件は無かったことになり、加害者と被害者は逆になり、無かったハラスメントがあったことになって、その報告書が提出されてしまった(報告書の提出は学生からの申し出よりも先に行われた)。これをやった人達は、「学生が望まない言動だからハラスメント」「見過ごさない」のだから遠慮無く告発してもいい、と思っているのかもしれない。しかし、事実とあまりにもかけ離れた内容の告発というのは、世間では「でっち上げ」呼ぶのが普通であり、職場で集団で個人を陥れるというのは、立派に職場イジメ事件だし、損害賠償モノだと思う。
それはともかく、主観のみでハラスメントだと主張し放題になることを認めるようなパンフレットやポスターを配っていたら、そりゃ他人を攻撃するネタに使われまくる結果になるのは目に見えている。告発する側がどうにでも拡大解釈していいということだし、被害妄想の人間ならば相手構わずハラスメントの加害者に仕立て上げるに違いない。
とどめに、全く種類の違う問題であるはずの学寮問題までハラスメントとして申し出がなされるに至った。これを処理しなければならない大学の偉い人はご苦労様だと思うと同時に、際限のない拡大解釈に基づく主張を誘発するような啓蒙活動をしたのは当の大学なのだから、ある意味自業自得と思わないでもない。上の方は学寮問題が面倒臭いことになったと思っているに違いないが、私だって、拡大解釈可能な文言をタテにとった嫌がらせで迷惑したし、今後の状況次第では、上も巻き込んでの提訴だってあり得る。
なお、今年から、全員に配られるパンフレットの書き方が「あなたが意識しなくても、相手が「ハラスメント」と受け取ることがあります。」という穏当な表現に変わった。適切な変更であると思う。
ここからは旧ブログのコメントです。
by なる at 2009-04-51 07:46:51
Re:何でもハラスメント
最近の若者は、全体的に打たれ弱く、
寄る辺が在るならそこに頼ってしまう傾向があるように感じます。
例えば、仲間内で話していても、本人の前では肯定的な話が殆どで、
改善点などはあまり出ません。
空気を読んで、お互いを批判したりはしない感じがします。
結果打たれ弱い。
悪口は陰口のみですし、面と向かって言うとうらで色々言われます。
尤も、そういう人はそういう流言をあまり気にしませんが。
参考:女性上司に叱られた「男泣きリーマン」
http://business.nikkeibp.co.jp:80/article/topics/20090402/190855/
by apj at 2009-04-54 21:47:54
Re:何でもハラスメント
なるさん、
若者ならまだわかるんですが、今回集団で私を陥れたのはほぼ全員が私より年上なんですよねぇ。
若者が打たれ弱いのは仕方無いとして、悪口は陰口というのがヘタレで情けないです。面と向かって言う気がないなら、陰でも黙っていろと思うわけで。
by Atlantis.sawamura at 2009-08-30 05:20:30
Re:何でもハラスメント
ハラスメントですか…。
私の近くでは、社内での女性社員での高齢男性社員へのハラスメントが微妙に問題になっていて、これはさすがにハラスメントなんだろうなあ、と思っています。(内容は言わない…というより守秘義務で言えない(苦笑)。)
うちだと、不実のハラスメント報告(つまり事実と違う)があることは結構普通に認識されていて、結構ちゃんと調査するんですが、そういう証拠がない調査って難しいんですよね。
証言とるにしても、言質だけだと、いわゆる「偽記憶」の問題が出てくるので。(知っているかも知れませんが、カウンセリングによって、なかったハラスメントの記憶が作られてしまうこと。警察の痴漢の冤罪も、結構これで起きているという話もある。)
by apj at 2009-08-21 10:42:21
Re:何でもハラスメント
Atlantis.sawamuraさん、
>不実のハラスメント報告(つまり事実と違う)があることは結構普通に認識されていて
私が経験したヤツはもっと凄いんですよ。私が加害者・学生が被害者という話で出てきたものが、最終的には、私が被害者・学生が加害者の刑事事件で決着となりました。
不実を通り越して、加害者と被害者が逆だという……。
by 杉山真大 at 2010-01-16 05:19:16
久々にこのトピ関連の話題かも
歌手志望学生を「化粧濃すぎ」…大学講義で中傷
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100127-OYT1T00709.htm
自分のマイミクである某漫画家なんかは、「みんなの前で先生に晒されるのって無条件に傷つくんだよねー」って言っているんだけど、ただ不特定多数相手にする職業を目指すならその様な公の批判に晒される耐性は要るのかな?と以前の議論を思いだしながら考えたりもするんですよね。
by apj at 2010-01-55 06:59:55
講義でやるのは違うと思うけど
杉山真大さん、
講師の発言としては不適切だと思いますけど。
でもそれ以前の問題として、教師に晒されたくらいのことでめげるようでは、そもそも芸能界デビューなんか無理だと思います。適性が早めにわかってよかったね、って言いたいです。
漫画家は、漫画家自身が晒される必要はないですよね。晒されるべきは作品の方であって。だから、もし、作品が先生に晒されて傷つくようならプロの漫画家になるのは無理でしょう。