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とりあえず作ってみた

Posted on 5月 4th, 2009 in 倉庫 by apj

 「ニセ科学まとめ」作ってみた。
まだ制作中。


ここからは旧ブログのコメントです。


by TAKESAN at 2009-05-02 08:11:02
お疲れ様です

今晩は。

読みました。よくまとめられていますね。今後もブラッシュアップされていく事を期待します。

で、早速と言いますか、一つ。

「ワイルドカード」という言葉、情報処理に馴染みの無い人には、ぱっと見てすぐに解らない場合があるので、脚注などで補足するとよいかも知れない、と思いました。

後、資料的な。
「ニセ科学批判批判」という言い回しについてです。
私が知る限りでは、田崎さんの「信じないでください」文書が公開された時の、それへ賛同する人々や、その人々の認識への批判的言及を指した表現として使われたのが最初だと思います。たとえばこの辺ですね⇒http://coleopteran.seesaa.net/article/33542524.html

この頃、批判が「自己目的化」するという風に捉えて、当時ニセ科学を批判する方々(apjさんやきくちさんや田崎さん)やそれに賛同する人に危惧を懐く、というのがあったように思います。
で、そこでよく見られたのが、ニセ科学概念の理解が不充分なままに「批判者」の批判をしていた、というものでした。

当時は、ニセ科学を批判している人を批判する、という程度の意味で、何気無く使われていたように記憶しています。
それから、批判の内容をよく見ずに考察しているものが多く見られるようになったので、いつの間にか、的外れな認識によって「ニセ科学を批判する論者一般」を批判するようなものが、「ニセ科学批判批判」と括られて表現されるようになった、という。経緯としては、こんな感じですね。
たかぎFさんのwikiについては、当時あまりに的外れの論評が見られるようになっていたので、これはニセ科学についてまとまったFAQがいるかも知れないな、と私の所で話題になり、それで、たかぎFさんが元々作っておられたwikiを充実させよう、という事になったのでした。で、PseuDoctorさんも執筆者として参加された、と。


by apj at 2009-05-45 11:43:45
反映させました

TAKESANさん、
 情報ありがとうございます。文書の方に反映させました。
「自己目的化」についても言及しましたが、私が見るところ、自己目的化したのは「ニセ科学批判批判」の方なので、そのように書きました。


by TAKESAN at 2009-05-26 09:27:26
伊勢田さんが

今晩は。

伊勢田さんが言及されていますね⇒http://www.yonosuke.net/~iseda/diary/#May07

これは、尤もな指摘が含まれているものだと思います。
▼引   用▼
違いは、科学哲学では単に「科学の装いをとっている」という点については決着がついているものとして話が始まっているというだけではなかろうか。天羽さんも指摘するとおり、そういう装いをとっているかどうかは法的な議論になってあまり哲学者にとって興味を引く話題にならないので議論の対象にしないだけであろう。
▲引用終わり▲
ここら辺が重要なのでしょうね。

ニセ科学論の特徴を強調するために、科学哲学(という語)を引き合いに出し過ぎている、というのはあるかも知れません。当然、全くの別問題、という訳では無いので、たとえば、科学哲学の論を援用したように見える、これこれこういう指摘があるが、それは的を外している、と 具体的に説明しておく必要があるかと思います。

▼引   用▼
もしかして天羽さんは科学哲学での線引き問題について、あまりにポパー(の俗流解釈)にとらわれすぎているのではないだろうか?
▲引用終わり▲
ここは逆で、ポパーの俗流解釈などにとらわれた認識で「ニセ科学」概念を批判している論に対するためにまとめが作られた、と思っているのですが、どうでしょう。とするとやはり、こういった的外れな批判の例がある、と記載するのは重要に思います。

きくちさんも、伊勢田さんの論考に対して現場の科学者の認識に近い、というような事も仰っていましたよね。そういうのを考えると、科学哲学の、と括るのにも大雑把な所があるのやも知れません。


by apj at 2009-05-54 22:35:54
いい例があったらください

TAKESANさん、
 伊勢田さんのコメントを見てきました。
 今週いっぱい、共同研究先で実験中(このコメントも、分光器が動いている横で待ち時間に書いている)の状態でして、伊勢田さんの本を読み返して検討する時間がとれません。
 科学哲学のスタートポイントと、ニセ科学の議論のスタートポイントが違うなら、そのことをはっきり書いた方が良さそうですよね。
 何か例になりそうな議論があったらお教えください。これから、社会規範の話をもうちょっと書いて、全体の構造にも言及したいので、いい例を探すところまで手が回りません。

>ここは逆で、ポパーの俗流解釈などにとらわれた認識で「ニセ科学」概念を批判している論に対するためにまとめが作られた、と思っているのですが、どうでしょう。とするとやはり、こういった的外れな批判の例がある、と記載するのは重要に思います。

 はい。むしろFAQに入れて、そっちじゃないよ、と言った方が良かったかも知れません。

 科学哲学の、ではなく、「科学哲学を不十分に理解した」と書いた方がいいかもしれません。そこは表現を改めた方が良さそうですね。


by 伊勢田 at 2009-05-53 03:34:53
Re:とりあえず作ってみた

どうもはじめまして伊勢田です。
日記に書いたらさっそく捕捉していただいたようで恐縮です。ガイドラインの方ではなく些末なところにつっこみを入れてすみません。

わたしの日記でとりあげた箇所については、「科学哲学の」という形容詞さえつかなければ、書いてあることにはほとんど異論はありません。「グレーゾーン問題とは関係ない」、というのも、「ある理論がどのくらい科学的事実として確立しているかという問題とその理論を使っている人たちがニセ科学やってるかどうかは独立の問題です」、というような表現であれば、おっしゃりたい内容自体には同意します。

あと、TAKESANさんの引用された
▼引   用▼
もしかして天羽さんは科学哲学での線引き問題について、あまりにポパー(の俗流解釈)にとらわれすぎているのではないだろうか?
▲引用終わり▲
という箇所ですが、もちろん天羽さん自身がポパーの俗流解釈にとらわれているという意味ではなく、そういう解釈を振りかざす人ばかりを相手にするうちに「科学哲学の線引き問題ってこういうものなんだ」という固定したイメージをつくってしまっているのでは、という意味です。


by apj at 2009-05-51 04:50:51
手直ししました

伊勢田さん、
「ニセ科学について考える時に陥りやすい間違い」の部分ですが、
——————————————-
何が科学であるかを決める(グレーゾーン)問題のことだと勘違いする
 「ニセ科学判定問題」は、科学と非科学のグレーゾーン判定問題とは関係がない。科学かどうかの判定が現状ではグレーであるにもかかわらず、「科学として確定しています」などと強弁するとニセ科学になる。「ニセ科学」であるかどうかは、「表示」(=言説の内容)と「実態」(=現状での科学の内容や科学哲学における位置づけ)の乖離があるかどうかによって決まるし、ニセの程度は乖離の程度によって決まる。ある理論が科学とみなせるかどうか、どこまで科学なのかといった線引き問題の帰趨とは関係がない。従って、「科学か非科学かはっきりしないものをニセ科学と呼ぶのはまずい」などと主張するのは、トンチンカンということになる。

 科学非科学の線引き問題はひとまず横に置いておいて、ニセ科学かニセ科学でないかの線引きは、言ってることと現実とがどれだけ乖離しているか、その程度まで評価して結論を出そう、という話である。
——————————————-
 のように、科学哲学と括らず、説明を加えるようにしました。
これに対応して、

すぐ後で書いたガイドライン試案の最後の方の説明の部分は、
——————————————-
1.「科学である」「科学でない」というstatementに対して、「そもそも科学とは何か」といった議論がなされることによって、具体性を欠いた利用しづらい意味づけがなされることを防止することができる。現実になにがしかの被害を発生させるニセ科学を拾い上げるために使える道具を出してしまった方が良い。このため、「(ニセ科学判定の場合における)科学とは何か」を、思い切って定義し、不具合が出たら手直しすることで徐々に良くしていく。
2.基準がこの程度具体的になると、おそらく、(科学非科学の)「グレーゾーン問題」というのが直接効いてこなくなる。
3.他人の言説に対して「ニセ科学」であるとの指摘を行うことは、場合によっては他人の利益に反することになり、法的トラブルに発展するリスクがある。例えば、名誉毀損は、他人の社会的評価の変動を引き起こす内容を書けばそれだけで成立するが、そのうちで、「公共の利害に係る事実」であり、かつ真実性や真実相当性があれば免責される。免責要件を満たしていることを立証するのは、ニセ科学であるとの指摘を行った側であるところ、「そもそも科学とは何か」といったところから出発してニセ科学かどうかを議論してもその内容が立証に使えるかどうかがはっきりしない。現実の法規制に近い基準で考えておく方が安全である。
——————————————-
 としました。

 科学非科学の判定問題やグレーゾーン問題、というところまで特定すれば、括りとしてそう無理は無いかと思いますが、いかがでしょうか。


by TAKESAN at 2009-05-22 09:05:22
Re:とりあえず作ってみた

今晩は。

>伊勢田さん

あ、ちょっと読みが足りませんでしたね。失礼しました。
つまり、伊勢田さんが仰ったのは、
科学哲学上の話に引き付けているかに見える的外れな考察をapjさんがいくつも目にする事によって、科学哲学では一般にこういう見方をするのだと誤認したのでは、という指摘だった訳ですね。

>apjさん

▼引   用▼
従って、「科学か非科学かはっきりしないものをニセ科学と呼ぶのはまずい」などと主張するのは、トンチンカンということになる。
▲引用終わり▲
ここ辺り、簡潔にニセ科学論の特徴を示した文になっていて良いですね。


by PseuDoctor at 2009-05-25 09:25:25
Re:とりあえず作ってみた

こんばんは。

もうかなり収束気味ではありますが。

申し訳ありません、当該部分の記述については私にも責任があると思います。と言いますのも、この場において私とapjさんがやり取りする中で出てきた部分があると理解しているからです。
結果的に「科学哲学」に対して失礼な事をしてしまったのではないかと反省しているところです。

>伊勢田さん
お久し振りと言いますか、kikulogの血液型エントリでお見掛けして以来です。
ついでの様で恐縮なのですが、折角伊勢田さんがいらしておられるので、もし宜しければ
http://www39.atwiki.jp/cactus2/pages/16.html
の方もご覧になって頂ければ、と思います。
前半は今回問題になった部分と殆ど同じスタンスで最近書き直したものです。一箇所だけ「科学哲学」という言葉を使ってありますが、この程度の用法でも違和感を感じられるかどうか、ご意見を伺えれば幸いです。


by 伊勢田 at 2009-05-26 22:53:26
Re:とりあえず作ってみた

apjさま
さっそく手直しいただきありがとうございました。
この文章であればわたしも賛同することができます。

PseuDoctorさま
どうもご無沙汰しています。まあ科学哲学で何をやっているか一般の方がご存じなくても当然なわけで、今回コメントを書いたのも失礼なことをされたからというよりは宣伝活動の一環です。
PseuDoctorさんの方も拝見していたのですが、こちらは「別々の問題」という表現を「グレーはあっても白と黒の判定はできる」という意味に勝手に解釈していたので特にひっかかりませんでした。
科学哲学の線引き問題と「グレーを真っ白だと言い張る」ものをニセ科学と呼ぶかどうかが別の問題だ、という意味で(つまり天羽さんが書いておられたのと同じ意味で)書いておられるんであれば、その認識は改めていただけると幸いです。でもまあ文章としては今のままでもよいのではないでしょうか。


by PseuDoctor at 2009-05-12 07:01:12
お返事有難うございます

>伊勢田さん

ではお言葉に甘えまして、当面は今のままでいきたいと思います。
私自身、科学哲学に関してまだまだ勉強不足である事は自覚していますし、もっと知りたいとも思っているのですが、なかなか手が回り切らずついつい後回しになっているのが現状です。

これからも、より正確で、誤解を受け難く、かつ解り易い文章を目指していきたいと思っています(と書くと綺麗にまとめ過ぎなのでしょうが)。


by apj at 2009-05-13 09:56:13
既に終わっていますが一言だけ

何かもう終わってるのですが一言だけフォローを。

>申し訳ありません、当該部分の記述については私にも責任があると思います。と言いますのも、この場において私とapjさんがやり取りする中で出てきた部分があると理解しているからです。

 えーと、話をしていて出てきたものをまとめに入れたのは私の判断ですので……。

 結局、より詳しい形に書き直すことになりまして……。
それで、いろいろ書いていたのですが、これまでにいろんな人達が案を出してきた擬似科学判定法は、ニセ科学判定ではむしろ間接的に効いてくるのかな、などと思い始めていたりします。


by PseuDoctor at 2009-05-34 08:55:34
フォローどうもです。

こんばんは。

>えーと、話をしていて出てきたものをまとめに入れたのは私の判断ですので……。

えー、一応それは解っているつもりです。
いくら私でも「書かれた物の責任が誰にあるのか」という議論を、よりによってapjさんに対して行う気はありません(笑)。

ただ、TAKESANさんが紹介された伊勢田さんの日記を見た時に「ぅわぁしまったぁorz」みたいに思ったのも事実ですので、何とかその気持ちを表現したかった、というところです。

まとめの方も充実してきていますね。
余計なお世話かもしれませんが、内容が増えるほど全体の見通しが悪くなりがちなのが、ちょっとだけ心配ではあります。


by apj at 2009-05-49 09:45:49
誰か手を貸してくれないかなぁ……

PseuDoctorさん、

>余計なお世話かもしれませんが、内容が増えるほど全体の見通しが悪くなりがちなのが、ちょっとだけ心配ではあります。

 いや、自覚してます(汗)。私の論の運び方が拙いということですので。
 で、誰か見た人が「こう直すといいよ」といった意見をしてくれないかなぁ、とちょっとばかり思ったりもするんですが、ツッコミもあんまり来ないし。批判批判の人達の気に障りそうなことを正面から書いたつもりなので、批判批判の人達がここぞとばかりにクレームをつけに来るかな、と思ったらそれもないし。

 今の書き方というか論の運び方で法額基礎のレポート書いたりしたら、まず点は悪いだろうということは自分でもわかるわけで、本とにらめっこして考えてるわけですが、さてこの先どーしたらいいんだか。


by apj at 2009-05-16 09:49:16
誰か手を貸してくれないかなぁ……

PseuDoctorさん、

>余計なお世話かもしれませんが、内容が増えるほど全体の見通しが悪くなりがちなのが、ちょっとだけ心配ではあります。

 いや、自覚してます(汗)。私の論の運び方が拙いということですので。
 で、誰か見た人が「こう直すといいよ」といった意見をしてくれないかなぁ、とちょっとばかり思ったりもするんですが、ツッコミもあんまり来ないし。批判批判の人達の気に障りそうなことを正面から書いたつもりなので、批判批判の人達がここぞとばかりにクレームをつけに来るかな、と思ったらそれもないし。

 今の書き方というか論の運び方で法額基礎のレポート書いたりしたら、まず点は悪いだろうということは自分でもわかるわけで、本とにらめっこして考えてるわけですが、さてこの先どーしたらいいんだか。

 これまで散々ニセ科学批判「一派」は存在しない、と主張してきてまして、今回実際に(まとめに対する議論の少なさによって)そうであることを実証しつつあるわけですが、それは同時に、誰かに知恵をお借りして良くしようとかいう活動ができないということでもあるわけで。こんなことなら、「一派だ、一派になれ」とか言いまくっておいた方がひょっとして良かったんだろうか(汗)。