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「教育的配慮」の暴走例

Posted on 6月 1st, 2009 in 倉庫 by apj

 毎日.jpの記事より。

集団準強姦:京都教育大、通報せず

 京都市内の居酒屋で今年2月、酒に酔った女性に集団で性的暴行を加えたとして、学生6人が集団準強姦(ごうかん)容疑で逮捕された京都教育大は、被害者の母親の相談を受けた後も京都府警へ通報せずに調査を進め、関係者を内々に処分していた。親告罪ではない上、口裏合わせなどの恐れもあっただけに、捜査関係者は「なぜ、すぐに通報しなかったのか」と憤っている。

 女子学生の母親から3月3日に相談を受けた大学は6人を無期限の停学処分とし、見ていたのに止めなかったとして数人を訓告にした。うち1人は卒業している。府警が母親からの通報で事件を知ったのは同27日だった。

 寺田光世学長は1日、京都市伏見区の大学で謝罪会見した。6人を処分しながら非公表にした理由を「学生に対する教育的配慮」とし、「捜査を混乱させるから」とも述べた。

 大学によると、コンパ終了後、女子学生に4人が性的行為をし、残り2人もわいせつ行為に及んだという。

 だが、学内調査結果の詳細については「教育的配慮」を連発して説明を拒否。調査結果を府警に伝えていない理由についても「被害者の立場を考慮した」などと強調し、「教育的配慮」を約20回も繰り返した。【朝日弘行、古屋敷尚子】

 「教育的配慮」を持ち出せば、親告罪でない犯罪まで内部で何とかなるとでも思ったのだろうか。判断基準が世間から乖離しているとしか思えない。3月3日に相談があった段階で、まずは通報するのが普通(というか市民の義務)だろう。
 親告罪でもない犯罪をやっても、内部処理でうやむやにできるという経験をさせる事の方が、教育的にみて問題だろう。
 で、知ってて黙ってたってことは……大学ぐるみで

(犯人蔵匿等)
第百三条  罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、二年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。

に引っ掛かるんじゃないのか。「蔵匿」の方は隠れ家を提供してかくまう行為で、「隠避」の方は、蔵匿以外の「官憲による発見・逮捕を免れしめるべき一切の行為」(刑法各論講義、大谷實)なんだけど。


ここからは旧ブログのコメントです。


by 杉山真大 at 2009-06-13 20:29:13
教育的配慮というより

大学の自治の問題なんじゃないかと。つまり、大学の学生については自らの責任の下に処分を行い極力外部からの介入を避けるというタテマエで、今回の一件も処分したのでは。

何より、学生紛争盛んな頃でも、自治の絡みで機動隊の導入も色々論議があったそうですし。


by apj at 2009-06-20 21:11:20
勘違いですよねぇ

杉山真大さん、

 「大学の自治」は、治外法権であることを意味しないわけですが。

 「大学としての処分」つまり停学にするか退学にするかといったものについては、内部でやっても構わないと思いますけど、「刑事事件の通報」については、社会の一員として振る舞わないとまずいですよね。


by 杉山真大 at 2009-06-53 04:22:53
内部自治って何でしょうね

>apj様
>>「刑事事件の通報」については、社会の一員として振る舞わないとまずい

これで思い出したのが、安田弁護士の件なんですよね。住管機構絡みの差し押さえで逮捕されちゃった例。この時でさえ、弁護活動の妨害だって反発が弁護士側から起こって、それで一旦は無罪になった(その後逆転有罪になった・・・・・筈ですけど詳細失念)。

今回の一件はまだしも、往々にして内部自治を採っていると、業務に関わる部分と法に触れる部分ってのがコンフリクトを起こすことも多かったりしちゃうし、ましてや(技術開発者氏が以前言っていた様な)「専門家として以前に市民として」ってのが絡んじゃうと何処が法に触れるのかとか通報することで今度は却って権利侵害を招かないかとかとか・・・・・整理不能になっちゃう気もしちゃう。