事実は小説より……?
msn産経ニュースの記事より。びっくりしたので貼っておく。
研究棟の壁から遺体 イェール大大学院の女子学生か 米国
2009.9.15 12:39米コネティカット州ニューヘイブンにある名門イェール大学で、結婚を間近に控えた大学院生、アニー・リーさん(24)が行方不明となる事件があり、警察当局は13日、キャンパス内の研究棟の壁に埋め込まれたリーさんとみられる遺体を発見した。大学内部の犯行との見方が強まっている。
米CNNテレビ(電子版)などによると、リーさんは8日、大学院の校舎近くで目撃されたのを最後に消息を絶っていた。本人の携帯電話やクレジットカード、鍵などは研究室に残されたままとなっていた。
警察当局は、リーさんが学内で何らかの事件に巻き込まれた可能性が高いとみて、防犯カメラの映像を分析したり、警察犬を使って捜索。13日になって、リーさんの研究室がある研究棟の地下室から壁に埋め込まれた遺体が、別の部屋の天井部分から血のついた衣服が、それぞれ見つかった。
研究棟に入るには特別なIDカードが必要なことや、地下室が分かりにくい構造であることから、内部の事情に詳しい人物の犯行との見方が強まっている。
リーさんは、大学時代に知り合ったコロンビア大大学院生の婚約者と13日に結婚式を挙げる予定だった。大学院では薬学を専攻し、友人らからは「活発な性格の努力家」と慕われており、挙式を非常に楽しみにしていたという。
米国は今月、新学年を迎えたばかり。米メディアは、米国を代表する名門大学での凄惨な事件を連日、大きく取り上げている。
AP通信によると、キャンパスでは犯人が捕まっていないことへの恐怖が広がり、「もう夜に1人で学内を歩くこともできない」と話す学生もいるという。
・舞台がそれなりに管理の行き届いた名門大学のキャンパス
・殺人事件
・被害者は壁に塗り込められる
って、やっぱり推理漫画か小説の舞台設定にしか見えない……。現実には、むしろ足がつきそうにも思うのだけど。ところで壁に埋め込む、ってどうやってたのだろう。普通は地下室でもコンクリート打ちっ放しだろうし、一旦壊して遺体を置いてからまたコンクリートで塞いだのか。既にある壁を壊したりしたら音でバレそうな気もする。
【追記】壁にコンクリートで塗り込められたんじゃなくて、パイプスペースに押し込まれていたということらしい。記事の翻訳で意味が違ってしまったのかも。
ここからは旧ブログのコメントです。
by よしき at 2009-09-13 23:53:13
stuffed ≠ 埋め込み
アメリカの新聞の記事の中には、stuffedという言葉を使っているものがあってそれが訳されたのではないかと思うのですが、埋め込まれたというのは誤訳でしょうね。階と階の間にケーブルを這わせるための壁の裏にあるスペースから発見されたということのようですので。
今のところは、研究所の技官が横恋慕していたのではないか説が浮上しているようです。
by apj at 2009-09-05 00:48:05
パイプスペースですか
よしきさん、
>階と階の間にケーブルを這わせるための壁の裏にあるスペース
了解です。パイプスペースですね。それならわかります。普通は、金属製の扉なんかがついていて、メンテナンスのために中にアクセスできるようになってますので、あけて突っ込めばいいだけです。
防犯用の監視カメラやら、カードキー等が設置されていれば、丁寧に調べれば誰が学内に居たかをすんなりつきとめられそうに思います。
by 多分役立たず(HNです) at 2009-09-11 08:35:11
この記事でしょうか?
googleのニュース検索のトップにありました。
Yale student's killing wasn't random, police say
http://www.cnn.com/2009/CRIME/09/15/connecticut.missing.yale.student/
他のニュース
http://news.google.com/news/more?ned=us&ncl=dzAzuHbLj4yhzWMoszt3u_Si-EroM&topic=h
by zorori at 2009-09-27 16:02:27
シンクロニシティ
いや、意味のない偶然ですが、
追記: PS
パイプスペース: PS
by のりたま at 2009-09-32 16:20:32
そーだろうなあ
壁にコンクリで埋めこめられたら建屋の増改築の工事でもしない限り発見されないだろうに、どんなCSI:Newheavenだと思ってしまった(ところで今頃Newheavenはheavenでhevenじゃないんだと気がついた)
by ハッチ at 2009-09-36 18:29:36
誰も書いていないからいまのうち
おお、「黒猫」か「アモンティリァードの樽」か。
というわけで、ポオの小説通りの事件が起こるミステリを秋の夜長にどうぞ。
平石貴樹「だれもがポオを愛していた」
ウィリアム・ヒョーツバーグ「ポーをめぐる殺人」
趣向が違うけど、ジョン・ディクスン・カー「帽子収集狂事件」「パリから来た紳士」も。
壁に塗りこめるという点で、ジョン・コリア「クリスマスに帰る」。
地下室に閉じこもるというので、スタンリー・エリン「決断の時」
by apj at 2009-09-25 20:43:25
容疑者逮捕されましたね
記事が出てました。
http://sankei.jp.msn.com/world/america/090918/amr0909180838004-n1.htm
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
女子院生壁埋め込み事件で容疑者を逮捕 米エール大
2009.9.18 08:38
【ニューヨーク=松尾理也】エール大学(米コネティカット州)の研究棟に、結婚を間近に控えた同大学院生、アニー・リーさん(24)の遺体が埋め込まれているのが発見された事件で、地元警察は17日、同大に勤務する動物実験担当の技術者、レイモンド・クラーク容疑者(24)を殺人容疑で逮捕した。
警察は重要参考人としてクラーク容疑者から事情を聴いていたが、DNA鑑定の結果などが決め手となって逮捕に踏み切った。
動機は明らかになっていないが、米メディアはクラーク容疑者が極端に潔癖な性格で、勤務する研究室を自分の城のように思い込む性格だったなどと指摘。リーさんに対しても、実験用マウスの飼育かごの掃除についてクレームを付けていたなどと伝えている。
警察当局は詳細なコメントは避けつつ、「今回の事件は都市犯罪でも、恋愛のもつれでもなく、最近米国で急増している職場内暴力に関連したものだ」と述べている。
リーさんは今月8日、研究室に携帯電話やクレジットカードなどを残したまま失跡。13日になって、研究棟の地下室に埋め込まれた遺体が発見された。13日は、婚約者のコロンビア大大学院生と結婚式を挙げる予定だった。
by 杉山真大 at 2009-09-38 05:18:38
研究者としての人間関係が拗れたのかも
ニュースとかを見ていて思ったのだけど、これって研究者としてコミュニケーションが取れてなかった挙句の、って感じがしちゃいますよね。
何だか、研究者間の競争が激しい中で互いがピリピリしている中で、仲裁役もまとめ役もいなかったのが悲劇だったのではと思えちゃうし、ハラスメントとかの相談窓口とも違うのかなぁ・・・・・??
by apj at 2009-09-52 21:06:52
人間関係なのかなぁ
杉山真大さん、
>何だか、研究者間の競争が激しい中で互いがピリピリしている中で、仲裁役もまとめ役もいなかったのが悲劇だったのではと思えちゃうし、ハラスメントとかの相談窓口とも違うのかなぁ・・・・・??
向こうの理系の研究室じゃ、技術者(テクニシャン)と研究者はキャリアパスが別なんじゃないですかね。研究者の方は任期制でどんどん入れ替わるし研究成果で競争するけど、技術者(テクニシャン)の方は任期もなく、決められた業務を行い、研究成果を問われることもないのでは。
研究で揉めたというよりは、技術者(テクニシャン)の方が異常に何かにこだわっていたんじゃないかと思ったり。
この手の状況を書いた小説としては、渡辺淳一の「空白の実験室」って短編があります。医局のトップが連続して白血病で死ぬことに不審を抱いて調べたら、骨から放射線が検出され、アイソトープを一服盛って殺してまわってたのが実験助手だったという話です。今回の事件はむしろこちらに近い印象を持ちました。