Feed

作用があるものは副作用もある

Posted on 10月 6th, 2009 in 倉庫 by apj

 asahi.comの記事より。

タイ製やせ薬服用後に死亡 個人輸入の女性 東大調査
2009年10月6日12時19分
 インターネットの個人輸入代行で購入したやせ薬を飲んだ女性が昨年、不整脈と意識障害で服用1週間で死亡したことが、東京大法医学教室などの調査でわかった。女性が購入したタイ製やせ薬には、利尿剤や国内未承認の食欲抑制剤が入っていたという。オランダの法医学の国際誌フォレンジック・サイエンス・インターナショナル電子版(10月30日号)に掲載された。

 女性は40代で東京在住。家族によると、以前からむくみがちで、医師に相談し利尿剤を飲んでいた。一方、年齢的に太りやすくなり、タイの病院が体格に合わせて出すという「ホスピタルダイエット」と呼ばれるやせ薬をインターネットで買った。だが、飲み始めて「だるい、食欲がない」と話し、8日目に自宅の居間で呼吸が減って意識が混濁。救急車で東大病院に運ばれたが、亡くなった。

 司法解剖などの結果、女性は筋肉を収縮させるカリウムやナトリウムの値が異常に低く、腎臓の一部が石灰化する「偽性バーター症候群」の特徴が見られた。究明に東大病院腎臓内科の協力を得た。

 研究グループは、残っていたやせ薬7種を分析。国内未承認の食欲抑制剤シブトラミンのほか、甲状腺ホルモン、女性が前から飲んでいた利尿剤フロセミドとは別の利尿剤ヒドロクロロチアジドなどを検出した。利尿剤の相互作用でカリウムやナトリウムの排出が急激に進んだ結果、電解質異常による不整脈や呼吸筋麻痺(まひ)、意識障害が誘発され、死亡したことがわかった。

 「利尿剤や甲状腺ホルモンは副作用があり、やせるために飲むことは勧められない」と東大法医学教室の吉田謙一教授。世界的な医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル・ケースリポートにも5月に報告した。

 「ホスピタルダイエット」は、健康被害の訴えが数年前から相次ぎ、厚生労働省がホームページで10件の被害例を示し、注意を促している。(編集委員・河原理子)

 後期の講義の準備中だが、多分またダイエット法についての質問が出てきたりすると思われるので、資料として保存。本当に「効果のある」(むしろ「作用のある?」)方法を使うと、副作用も半端ではないという例。
 みんながテレビや雑誌に出てくる「○○ダイエット」に励んでも、特に健康被害が頻発していないということは、軒並みほとんど効果無しという意味でもあるわけで……。
 地道なカロリー制限と運動以外に王道はない。

#さて、私も健康のために、夜遅くに物を食べるのをやめるという方法でダイエットするかorz。


ここからは旧ブログのコメントです。


by mimon at 2009-10-46 06:42:46
「農薬のお話」復活

医薬品の場合、作用も副作用もヒトに対するものですから、切り離すのは難しいのでしょうが、「農薬」でしたら、虫には効くけどヒトには効かないような事を目指して作られています。
というわけで(?)、「農薬のお話」サイトが久々に活動を再開しました。
http://members.at.infoseek.co.jp/gregarina/index.html
けっこう、勉強になります。


by PseuDoctor at 2009-10-37 08:44:37
これは凄い(というか、ひどい)

こんばんは。

>apjさん
>国内未承認の食欲抑制剤シブトラミンのほか、甲状腺ホルモン、女性が前から飲んでいた利尿剤フロセミドとは別の利尿剤ヒドロクロロチアジドなどを検出した。

シブトラミンだけでもけしからんのに、甲状腺ホルモンと利尿剤のコンボですか。ここに下剤が加われば、オールスターキャストですね。
こんなんじゃあ「ホスピタルダイエット」っていう名前も「ホスピタル行きが確実なダイエット法」の略という、悪い冗談にしか思えません。

>mimonさん
「農薬のお話」サイト、面白そうですね。
医療の分野では、抗生物質(抗菌薬)が似ているかと思います。病原体には効くけれどもヒトには効かない、を目指して作られていますので、こちらも結構面白いですよ。
例えば、ペニシリンは細胞壁の合成を阻害しますので、細胞壁を持つ細菌には効きますが、細胞壁を持たない種類の細菌やヒトの細胞には効果を示さないのです。


by Atlantis.sawamura at 2009-10-23 12:45:23
ダイエットの話(おひさです)

お久しぶりです。
ちなみにダイエットですが、血糖値とかの話を考えると、体の活動がない場合は食事しない方がいいですね。運動するのなら別ですが。
インシュリンの分泌ないと、血糖値の低下は非常にゆっくりですし、脂肪分に関してはかなり長時間血糖値の維持に関与します。
なお、インシュリンのレセプターは大体72時間で閉じてしまうので、運動効果はそれくらいしか持ちません。
つまり運動自体も毎日やる必要があります。

って、お医者さんの下のコメントにつけるのも勇気が要りますが…。

あと、過激な運動も、一時的に血糖値の上昇を促すので、まだ大丈夫ですが高齢化の場合は体機能の下降もあり、抑えたほうが無難です。
そういう意味でもウォーキングはお勧めです。(逆にジョギングは若いとき以外は避けたほうがいい。)

こっから余談。
# 少し前に帰ってました。
# 前の台風は小笠原だけが大きい被害にあったようなのですが、今日は何かまた台風が…。紀伊半島に上陸か…。(weather news リアルタイムに見てます。)
# 小笠原で結構大きい被害見ているので、まあ離島ほど吹きさらしではないので大丈夫だとは思いますが、紀伊半島の方が心配です。


by Atlantis.sawamura at 2009-10-27 12:47:27
Re:作用があるものは副作用もある

あ、言葉足らずのところがありましね。
食事をしないのは、深夜になったら、のところですね。
夜遅くの食事を控える話がもともとの話にあったので。


by Atlantis.sawamura at 2009-10-11 13:00:11
さらに補足(何故血糖値上昇を考えるか)

何で血糖値の上昇を考慮にいれるかというと、これはすい臓のランゲルハンス島の機能疲労に関係します。
ここの機能低下は一年二年で発現しません。
生活習慣病の名称があるものの筆頭に血糖値抑制機能低下の病気(別名糖尿病。ただし、私は何か正確でない物言いなので、この言葉を使っています)がありますが、これは日本人の四分の一がなると言われており、血糖値の長時間の維持が原因ですが、発現に時間がかかり、影響が出るのが十年後とかなんですよ。

話題を戻すと、痩せ薬なんて、安直なことしちゃだめです。
という事ですね。短期間で、そんなことしても、根本的な健康には関与できないという事です。

つまり一年に年の検査値で、一喜一憂するのはナンセンスなんです。
そういう意味で、生活習慣病というのは、適切な用語ですね。


by Atlantis.sawamura at 2009-10-09 13:02:09
これ余談

何かお医者さんから間違い指摘とかありそで、少し戦々恐々。(苦笑)


by Atlantis.sawamura at 2009-10-41 13:11:41
タイポ訂正

あ、タイポしてるし。
> つまり一年に年の検査値
一年に一回の検査値

ですね。
まあ、適正体重は長く維持することに意味があるわけ、かつ、他の要素も重要で、という訳で。
まあ、やりすぎてもゼロリスク症候群ですが。


by 技術開発者 at 2009-10-35 17:07:35
Re:作用があるものは副作用もある

こんにちは、皆さん。

>医薬品の場合、作用も副作用もヒトに対するものですから、切り離すのは難しいのでしょうが、「農薬」でしたら、虫には効くけどヒトには効かないような事を目指して作られています。

「副作用」というべきでは無いのかもしれないけど、例えば一つの農薬でもいろんな視点から見る必要があるんですね。例えば、BT農薬などはアルカリ性の消化液を持つ生き物には毒となり酸性の消化液を持つ生き物には何の作用もしないわけです。ところがね、その使い方の所に「養蚕用の桑の周囲では使っては成らない」という事が書いてあるのね。理由は言わなくてもわかると思いますが、この農薬がかかった桑の葉を蚕に食べさせれば、当然死ぬからね(笑)。蚕が死ねば養蚕農家は大打撃ですよね。つまり、人間に害を為してしまう訳ね(まあ、日本では養蚕農家というのも見かけなくなりましたけどね)。

なんていうか、作用・副作用をその物に対してみるばかりでなく、その物の使われる世界の中出見る視点もまた必要だと思うんですね。


by apj at 2009-10-43 05:21:43
Re:作用があるものは副作用もある

mimonさん、
 種が違えば効き方も違ってきますよね。

PseuDoctorさん、
 以前、白インゲン豆ダイエットに成功(体重減少)した人は食あたりした人(痩せたというよりやつれた)だったというオチがありましたが、今度のはそれよりひどいですね。

Atlantis.sawamuraさん、
 お久しぶりです。ご無事でしたか。
 それはともかく、私は、健康のために片道6kmの自転車通勤をしています。本とかいろいろリュックに入れて背負って走るはめになっているのですが、これでも運動としては足りないくらいです。
 不規則な生活になって、寝る前に何か食べるようなことをしていると、やっぱり余計な脂肪フラグ(ってか(生活習慣病による)死亡フラグかこの場合は)が……(大汗)。

技術開発者さん、
 間接的な害まで考慮しないと、いろいろ面倒なことになりそうですね。


by Atlantis.sawamura at 2009-10-06 07:28:06
その一点が運動をご破算に…

> 不規則な生活になって、寝る前に何か食べるようなことをしている
見事に、これ、危ない…。
間違っても脂肪系、糖系で、これをやってはいけない…。
どうしても食べたいなら野菜をちょっとだけかじるとか。(でも、間違っても野菜を芋と置き換えてはいけないし、人参とかも血糖値あげるし…結構知られてませんけど…。)

まあ、年齢が若いころは、膵臓機能も健康ですので、例えば 20歳ごろは多分大丈夫でしょうけど、これも遺伝要素があって、親族の病歴とか関係します。
私の知り合いは 28くらいで発症しちゃったのかな…。
いったん閾値を超えると坂を転げ落ちるように、ですし、人生が暗転しますので、まあ、自分の体だけは30を越えたあたりからいたわったほうがいいです。

Ha1c(ヘモグロビンA1c)の値で大体分かります。
グラフにしてゆっくりあがりだしている場合は、イエローアラートですね。
元々日本人って、インシュリン分泌量自体が少ないらしいので、これが出てないと、そもそも体組織に糖が回らないので、太れないんですよ。
前に書いたレセプターも開いていないと、取り入れられませんし。(だから、病的になると、腎臓から尿に捨てられてしまうわけですね。)

そういう仕組みなので、体重減少は怖い話(間違えて、ダイエット成功とか言ってしまう人が結構いる。)ですし、過重運動(こっちは血圧と心臓も含めてリスク増加させる)と、過食は、古来より、寿命を縮める基本要素となっています。

小食と適度な穏やかな生活が、長寿の秘訣です。

IT系の人に多いんだけど、勤務時間になんか口に入れてないと…とかやってると、てきめんに発病者が増加します…。

生活習慣病って、結局、過度にとらずに、過度に消費せずに、という生活をしなければならないのに、健康番組とかだと、余分に何か取ることを薦め、その反作用で、過度の運動を薦め、という何というかマッチポンプみたいな生活習慣を薦めるので、何と言って良いのやら…。

# 長くなりすぎました。ここらへんでひとまず止めておきます。


by 我楽者 at 2009-10-16 07:31:16
御同輩・・・・・(^_^;)

>地道なカロリー制限と運動以外に王道はない。

その通りです。
ただその二つの方法については、それを手助けする種々の商品もありますが、あくまで「補助」するものだと認識しないといけませんね。

>#さて、私も健康のために、夜遅くに物を食べるのをやめるという方法でダイエットするかorz。

私もメタボで痩せるように医者から言われています。[:ショッキング:]
お互いに「できる範囲内で無理せず長く」心がけましょう。[:うれしい顔:]


by なざろふ at 2009-10-30 07:53:30
Re:作用があるものは副作用もある

メタボ、という言葉を見て(忘れていたかったが)思い出しました。
本日、2度目の“脱皮”をしました。
http://www.cml-office.org/archive/?logid=419

ちなみに今回は周りに誰も居ませんでした。


by mimon at 2009-10-17 09:39:17
Re:作用があるものは副作用もある

PseuDoctorさん、
> ここに下剤が加われば、オールスターキャストですね。
厚生労働省の発表によりますと、
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/diet/jirei/030902-1.html
ビサコジルが検出されたものもあったようです。

「ホスピタルダイエット」と称されるものにも、色々あるのですね。
向精神系の薬なんて、人によって効き方が違いますから、かかりつけの医師でも、様子を見ながら少しずつ処方しているというのに、身長や体重あたりの情報だけで、いきなり処方して購入できるだなんて、・・・。