大変な脱線事故になっているが……
兵庫県尼崎市のJR福知山線で快速電車が脱線した事故だが、時が経つに従って被害のすさまじさが明らかになってきている。まだ電車に閉じこめられてる人がいるようだが、生存者の反応確認できずということで、死者の数はまだまだ増えるだろう。この分だと100人を超えるかも知れない。とにかく、亡くなられた方の冥福をお祈りすると同時に、怪我をされた方の回復と事故原因の究明を遠くから望むばかりでさる。
原因はまだ調査中ではっきりしないとのことだが、私鉄との競争で労務管理が無闇にきびしいとか、リストラで熟練者が居ないと言った問題が背後にあるといった指摘がネットのあちこちに出ていた。
で、業種を問わず、実は日本全体がちょっと恐ろしいことになりつつあるんじゃないかと思った。確かに、リストラで一時的に利益を上げている会社は多いのかもしれない。が、事故が起きたときの損害賠償まで考慮した上で、リストラすべしという結論を出しているのだろうか。だいぶ前に、銀行のオンラインシステムの品質をどこまで上げるかという問題で、2年に一度だかの頻度で出るような不具合なら、それをつぶすためにプログラム開発にコストをかけるよりも支店長に頭を下げさせた方が安い、というのを読んだことがある。じゃあ、同じ論法を、給料の高い熟練者を追い出すというやり方に適用したらどうなるのだろう。熟練者を追い出して事故につながりかねない労務管理で利益を出したとして、そのことが原因で何年かに一度おきる大事故まで考慮に入れて、損害賠償よりもリストラで得られる利益の方が多いという結論なのかと。経営者がそこまで考えてリストラが良いと判断しているのなら、対策は、懲罰賠償を認める制度を作って、事故で企業がかぶるリスクを上げるというのが解決策の一つになりそうに思う。経営者がそこまで考えていないのだとしたら、JRだけでなく他のいろんなところで被害発生→損害賠償の経験を積んで、学ぶ以外にないのかもしれない。私としては、安全が確保される社会に住みたいと思っているのだが、現場にしわ寄せが来るようなシステムが至るところにあっては、それもおぼつかないだろう。
ここからは旧ブログのコメントです。
by 温泉カワセミ at 2005-04-29 09:12:29
Re:大変な脱線事故になっているが……
失われた10年と呼ばれている間(もう10年どころや無くなってるけど)、あちこちで吹き荒れてる「効率化」と「リストラ」の嵐は、マトモに仕事の内容を再検討するのではなく、ただ単なる「コストカット」と「首切り」でしかない例が多く、「人は減っても仕事は減らない」って話も良く聞きます。
その上、安易にスケールメリットによる効率化(企業合併や集中化、単一の巨大システムの構築etc.)を選択することが多いんやけど、企業経営者って何かトラブれば全体があぼーんってなるリスクには気がつかないのかねぇと思うことはあります。雪印や三菱自工の例を見るまでもなく、今時一歩間違えればトラブルで企業そのものの存亡に関わるってのは明白やのに、どうも「他山の石」ではなく「他人事」と見てるような気がします・・・・