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報道を見ながら……

Posted on 6月 10th, 2008 in 倉庫 by apj

 通り魔事件の続報より。

 加藤容疑者と同僚男性(21)はすぐにうち解けた。麻雀に飲み会と、毎週のように遊んだ。親交を深めるなか、男性は容疑者の特異な趣味に気付いたという。

 「(加藤容疑者の)部屋はモノもなく、殺風景。ただ、同人マンガ誌が数冊置いてあった。カラオケに行ったときに歌うのはロリコン系のアニメソングばかり。『2D(アニメなど2次元世界)しか興味ない』と公言していたし、典型的なロリコンオタクでした」

 この程度で「特異な趣味」扱いされるのでは、同人誌が100冊近い上に豪ちゃんアニメの歌ばっかりな私は完全に異常者扱いになるわけだが……orz。
 ところで、「ロリコン系のアニメソング」ってどんなのをいうのだ?

 などと思っていたら、酔うぞさんところのエントリーで、zororiさんがコメントしておられた。

では、日常行動とネット書き込みの違いは何かというと、犯罪後に記録として書き込みが残っているということだと思います。これが結構目立つので後知恵的に利用できないかと素朴に考えるのだと思います。しかし、犯罪予防に利用するのは、その膨大な情報量からして無理だと感じます。

 それならば、動物の異常行動で地震予知をするとか、「虫の知らせ」や「予知夢」と同じ話ということになる。強烈に印象に残る何事かが起きた後、その直前に起きたことを思い浮かべると、何だか関連してそうに思えてくる。しかし、直前に起きたこと(動物が普段と違う行動をする、悪い予感がする、悪い夢を見るなど)は、実は日常でも普通に起きているが、それに引き続いて強烈な何事かが起きない場合にはそのまま忘れ去られてしまう。たまたま、印象にのこる出来事が引き続いて発生したら、さかのぼって(後付けで)関連づけられる。


ここからは旧ブログのコメントです。


by 酔うぞ at 2008-06-24 07:21:24
虫の知らせの威力は大きい

ネットワーク管理の要諦が、安全第一である場合には(安全第二でも同じ事ではある)虫の知らせによって危険を回避したことは多々あります。

問題はネットワーク管理者のノウハウが積み上げられないところでしょうね。

なまじっかブラックリストをチェックするなんて手法よりも、山勘とか虫の知らせの感度を鍛えた方がマシだとも言えるところが辛いですな。


by apj at 2008-06-23 07:33:23
矛盾した要求というか……

酔うぞさん、

>問題はネットワーク管理者のノウハウが積み上げられないところでしょうね。

 いやまあ、そりゃまあ……。
 「虫の知らせ」や「山勘」のノウハウを積み上げる方法の見当がつきません(汗)。
 ってか、山勘や虫の知らせでどうにかするって、ネットは実は心霊スポットだったのかとorz。


by 杉山真大 at 2008-06-16 11:20:16
そう言えば「技術立国」の現実に批判が向かっていない希ガス

安原さんが、今回の一件についての見当違いのコメントしている”エライヒト”の言動をまとめてますね。
http://ameblo.jp/hiromiyasuhara/entry-10105277624.html

そう言えば、今回のことで何故か製造業の現場についての批判って、殆ど聞かれないのですよね。何か「技術立国」とか「ものづくり」とか、大義名分が絡んでしまって議論されるべきとこが議論されていないって気が・・・・・


by apj at 2008-06-05 12:49:05
Re:報道を見ながら……

杉山真大さん、
 結局「自動車絶望工場」が書かれてから、何の進歩も無かったってことではないですかね。


by 酔うぞ at 2008-06-16 22:31:16
Re:報道を見ながら……

「自動車絶望工場」が書かれてから進歩がなかったのか?となると、技術的というか機械的な面はすごく進歩したというか変化した。
まったく別物になった、といって良いでしょう。

現場で働いている環境がどうか?という話だと、これももうちょっと分析的に見るべきなのだけど、少なくとも「自動車絶望工場」が「絶望」していた部分は、変わらないという変わるわけがない。

「自動車絶望工場」では期間工であって、問題点として挙げられていたのは自動車会社における、作業の過酷さでした。

それが、今では日雇い派遣問題であり、作業以前の就労というか日雇い派遣という仕組みに含まれる問題点が重要と言えるでしょう。

「自動車絶望工場」の頃の期間工は、元々は出稼ぎであって工場側も技能や技術を要求していませんでした。
したがって、原理的にも職業訓練とそれへの投資が無くてもやっていける範囲でした。

そういう仕事のほとんどがロボットに変わったしまった今では、日雇い派遣と言っても職業訓練が必要な業務を担当するので、「訓練された人を派遣する」という名目の企業が間に入るわけです。

日本全体として最大の問題は、これは一種のババ抜きだろうと思うのです。

職業訓練を誰かがやってくれれば、その投資をしないで安く使える、が経団連の主張であって、経済学的にはこれでは貯金を切り崩しつつ投資しない事に等しいです。

事実、若い人が海外旅行に行かなくなった。なんてところに影響が及んでいます。

従業員を再生産できないようにしては、将来の市場の先食いであり、後世の経営者から「市場を自分たちのために食ってしまった経営者」と非難されても仕方ないでしょう。


by 酔うぞ at 2008-06-59 22:58:59
Re:報道を見ながら……

http://ameblo.jp/hiromiyasuhara/entry-10105277624.html

は大変にありがたいまとめですね。

    製造業の現場についての批判って、殆ど聞かれないのですよね。
    何か「技術立国」とか「ものづくり」とか、
    大義名分が絡んでしまって議論されるべきとこが
    議論されていないって気が・・・・・

一応、桝添厚労大臣が日雇い派遣の原則禁止を言い出したのは、良い反応かな?とおもいますが実現するかな?

最近「 日米もし戦わば―戦前戦中の「戦争論」を読む」という本を読んだのですが、この中にちょっと気になる話が出ていました。

第二次大戦では、日本は工兵の機械化をしなかったから飛行場作りなどが遅かった。と言われていて建設機械がなかったことが戦車の生産にまで影響したとも言われていました。

問題は、一応戦車や潜水艦を造れる技術力があったのにブルドーザーを作る事が出来なかったのか?が疑問だったのです。

それを上記の本の中で、世界恐慌のあおりの不況下で日本では建設工事などを機械化しない事で労働力を吸収した。その結果として、建設機械が発達しなかったし、必要性の認識自体が無かった。
という事のようです。

これを現代に当てはめると、工場は本当に日雇い派遣労働者を必要としているのか?あるいは、国内に生産工場を置いておく意義があるのか?という問題に突き当たります。

経営者として、この判断をするのにはものすごく長期間おそらくは100年ぐらいの見通しの上での決断が必要になるでしょう。

それで「とりあえず現状では」とやると、工場の海外移転のを選択する事になりますが、これに対して「とにかく人を使え」と政府は言うから「安い労働力で良いなら使う」という、労働需要に基づくものではなく就労需要に基づく形になっているのではないだろうか?

もし、そうだとすると「建設機械を作らない」と同じ事になってしまう。
別に戦争になるとは思わないけど、ある種の先延ばしであってなんとか新産業作り、新規雇用を生み出す、という本来あるべき方向とは正反対なのではないか?と思う。