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ひどいのでメモしておく

Posted on 11月 11th, 2010 in 倉庫 by apj

 読売ONLINEの記事より

論文未提出・概要版だけで博士号を授与した大学

 四国大(徳島市応神町)が、博士論文が提出されていないにもかかわらず、同大大学院経営情報学研究科長の男性教授(65)と同科の男性教授(74)に博士号を授与していたことがわかった。

 文部科学省の省令では、博士論文の提出と、論文を1年以内に印刷、公表しなければならないとしているが、2人が審査に提出したのは、論文の概要版のみだった。同大学では「博士号の取り消しは考えていない」としている。

 同大学によると、研究科長は2006年7月に、男性教授は08年12月に概要版を提出。それぞれ、経営情報学部の教授3人でつくる審査委員会で審査され、研究科長は07年1月、男性教授は09年3月に博士号を取得した。研究科長は今秋に、論文を完成させたが、男性教授はまだ完成させていない。

(2010年11月11日11時02分 読売新聞)

 さっさと学位取り消せ。というか大学の認可大学院設置の認可の方を取り消せ。ディプロマミルとして認定しろ。以上。

【追記】
 asahi.comに続報

教授の博士号取り消し四国大「審査見直す」
2010年11月12日

 四国大学(徳島市応神町)が大学院教授2人に、論文が未完成なのに博士号の学位を与えていた問題で、大学は11日、2人に「博士号の返上を求める」とし、学位を事実上取り消すことを発表した。
 四国大は10日の会見で、2人の審査の際に論文ではなく、内容をまとめた「梗概(こうがい)」と呼ばれる概要文で審査したと発表したが「論文の全体像は十分示されている」との認識を示し、審査には問題がないとして、博士号は取り消さない方針だった。ところが、この日の会見で一転、「概要を論文と見なしたことは瑕疵(かし)があった」とし、審査をやり直すと発表した。
 四国大によると前日の10日、文部科学省から「論文を審査したわけではないので学位は授与できず、学位の取り消しと再審査が必要」との指導を受け、従うことにしたという。会見には福岡登学長が初めて出席し、「大変深刻に受け止めている」と陳謝。今後、福岡学長を中心とし、外部の専門家も加えた調査チームを設置。今回の2人の審査状況をさかのぼって調べ、ほかにも概要だけで審査したケースがあったかどうかも調べる。2、3週間後をめどに結果を公表し、文科省にも報告する。
 また、教授2人のうちの1人と審査した1人が、朝日新聞の取材に対し、予備審査は概要だったが、本審査は再提出された論文で行ったと説明していることについて、四国大事務局は「審査した本人からは、予備審査も本審査も概要で審査したと聞いている」と話した。
(西峯正晴)

訴訟費用の請求

Posted on 11月 3rd, 2010 in 倉庫 by apj

 神戸の裁判の、訴訟費用確定の申立が認められて、原告に40万7690円の支払を命ずる決定が出ました。昨日、代理人の絵里タンからメールで連絡がありました。訴訟費用内訳は、ほとんどが旅費です。

 参考までに、内訳のページは次の通りです。

2 537 1

 この訴訟は、

原告:吉岡英介
被告:お茶の水女子大学
参加人:天羽優子、冨永靖徳

の、甲乙丙丁で争ったものです。掲示板書き込みをめぐる名誉毀損訴訟で、訴訟の原因となった書き込みをしたのは天羽です。また、被告は、これまでの経緯から、書き込んだ人が天羽であることを容易に知ることができる状況でした(書いたのはお前かと私に直接一言問い合わせれば済んだはず)。

 原告は、一番遠い立場にある大学だけを選んで訴えたので、天羽が、次いでサーバーと掲示板管理者であった冨永教授が、独立当事者参加することになりました。この訴訟は原告敗訴で終わっています。

 民事訴訟の場合は、敗訴した場合に訴訟費用を払わなければならなくなるので、原告になる場合もリスクはあるわけです。訴訟費用には、代理人を雇った費用は含まれませんが、印紙代や旅費は含まれます。相手が遠隔地だと、それなりの額になります。近場の相手同士だと、印紙代と安い旅費なので、請求するための費用の方が高くつくため、判決に訴訟費用のことが書かれていても双方特に何もしないということも多いようです。しかし、遠隔地の場合だと、旅費が高くつくため、請求しがいのある金額(by絵里タン)になります。

 私を訴えていれば、私とのやりとりだけで済んだ(私が訴えられただけならお茶大も冨永教授も訴訟参加はしないはず)のですが、行為から一番遠いお茶大を訴えたために、私と冨永教授が参加することになりました。訴訟費用は、対お茶大、対冨永、対天羽の3つになります。冨永教授とお茶大が請求したかどうかは知りませんが、東京ー神戸の往復ですから、やはり請求しがいのある金額になったのではないかと思われます。事件から遠い人を選んで訴えるようなことをしても、直接の利害関係者は訴訟参加して攻撃防御ができるので何の牽制にも圧力にもならない上に、人数が増えた分だけ、負けた場合に請求される訴訟費用が増えるという結果になります。

 大学だけ訴えて圧力をかけようとか、世間にアピールしようなどと考えている人は、こういうリスクがあることも知った上でやっていただきたいと思います。

 内訳中の、閲覧制限の申立というのは、訴訟中に(訴訟とは何の関係もない)ストーカーもどきが出没して、面識もない私に向かって「結婚してください」「お金おくりました」などとメールでやり出したために、住所バレを防ぐため、訴訟関係書類の住所部分のみに閲覧制限をかけたものです(お金は職場宛に現金書留で届きましたが受け取り拒否して差出人に戻しました)。原告とは全く関係がない、単なるアクシデントでした。

 ところで、悪徳商法関連でありがちなのが、悪徳業者が「遠隔地だから面倒がって被害者が(提訴あるいは)応訴してこないだろう」という甘い見込みにあぐらをかいているケースです。しっかり手間暇かけて対応すれば、旅費まで悪徳業者から取ることが可能になります。ですから、悪徳商法の被害者の方は、遠隔地だからとあきらめず、ぜひ、法的にきちんと対応してください。

「ムペンバ現象(湯と水凍結逆転現象)のサイエンス 2010」まとめ

Posted on 10月 25th, 2010 in 倉庫 by apj

 「ムペンバ現象(湯と水凍結逆転現象)のサイエンス 2010」に参加したので、まとめを公開しました。もっと早く公開するつもりだったのですが、いろいろ立て込んでて遅れました。

 研究会は今年で打ち切りですが、前野先生が大変興味を持っておられ、今後も地道に調べていくということですので、結果を期待しつつ見守りたいと思います。

これはひどい……ので講義資料としてメモ

Posted on 9月 17th, 2010 in 倉庫 by apj

 asahi.comのニュースより。

琉球大、必修授業にホメオパシー 来年度から取りやめ
2010年9月17日5時30分

 琉球大学医学部が6年前から、助産師の卵たちに民間療法「ホメオパシー」を必修授業の中で教えていた。日本ホメオパシー医学協会認定の療法家(49)が講師だった。ホメオパシーに傾倒する助産師が通常医療を拒否するトラブルも起きており、同大は来年度から取りやめることを決めた。今後は学生に「リスクがある」と伝えていくという。

 大学や担当した講師によると、ホメオパシーの授業は、代替療法の一つとして、保健学科の「助産診断・技術学」の中で年1回、3年生を対象に行われた。今年度も8月10~11日、学生10人を対象に、ホメオパシーの歴史やレメディーと呼ばれる砂糖玉が体に作用する仕組み、症状が緩和できる病気について、教えたという。講師が学生から「どうしたら(ホメオパシー療法家の)資格が取れるか」と聞かれたこともあるという。

 講師の療法家は助産師で、沖縄県内に日本ホメオパシー医学協会と提携する助産院を開設。2004年度に非常勤講師として採用された。この療法家は取材に「ホメオパシーは素晴らしい。症状が改善する」と話している。

 今夏、山口市でホメオパシーを実践する助産師が女児にビタミンK2シロップを与えず頭蓋(ずがい)内出血により死亡させたとして、損害賠償を求める訴訟が起きたことが明らかになった後も、学内で授業内容に異論は出なかったという。

 しかし、日本助産師会が8月下旬、ホメオパシーを使用したり、勧めたりしないよう会員に求めたのを受け、担当教員らが「適切ではない」と判断。来年度以降は中止することを、医学部教授会などを通じて決めることにした。

 ホメオパシーを取り入れている助産師は多く、日本助産師会の調査でも、1割弱の助産院が実践していた。

 担当の教授(母性看護・助産学)は「お母さん方から質問された時に、説明できるように取り入れた。今後はホメオパシーはリスクがあるものと伝えていく」と話している。(岡崎明子、長野剛)

 お母さんに訊かれたら、「ホメオパシーがいかに科学としては時代後れで間違ってるか」を説明できる人材を養成しなきゃいかんだろう、国立大学法人としては。講師に呼ぶ人間を完全に間違ってるぞ。
 今後は「代替医療のトリック」あたりを教科書に指定して何か必修講義を作れよ>琉球大学。

サーバー復活しました

Posted on 9月 16th, 2010 in 倉庫 by apj

 8月末の停電で電源が死んでしまったウチのサーバーですが、先ほど修理から戻ってきました。
ディスク取り付けて無事起動です。復活しました。

平成20年(ワ)第5号 損害賠償等請求事件 判決公開です

Posted on 9月 6th, 2010 in 倉庫 by apj

 判決出しておきます。

html版。OCRで変換したので、間違いがあっても大目に見て下さい。
http://www.i-foe.org/h20wa5/this_trial/hanketu20100624.html

pdf版。
http://www.i-foe.org/h20wa5/this_trial/hanketu20100624.pdf

 公私ともに忙しいので暫く手つかずになってました。お待たせして済みません。
 こっちが出さなければ、(どうせ文句が山ほどあるであろう)被告吉岡氏の方で全文公開してくれるかと思ってましたが、やってくれてないのかしら。

 吉岡氏がまたウェブで何か書いてるみたいですが、忙しいので暫く放置します。まあ、あれこれ書くのは勝手ですが、訴訟のハードルを越えてしまうとまた訴えるのが面倒臭いし手間もかかるので、ほどほどにやっててほしいですね。

 それから、この間、吉岡氏が何か郵便物を私の自宅宛に送ってきたみたいです。大きすぎて郵便受けに入らなかったので局に持ち帰られてました。 これが、吉岡氏によれば、振込口座の問い合わせだったらしいのですが、配達員のミスで、不在連絡票の書留の欄に何も印がついておらず、私の方からは種類が特定できない状態でした。出張中だったのでだいぶ時間が経っていました。絵里タンに相談し、そのまま受け取らないことにしたので、保管期限が切れて、返送されたはずです。
 現状では、賠償金が支払われていおらず、どう支払うかの話もあんまり進んでないっぽい(この間、絵里タン経由で相手方代理人に連絡入れた)状態です。この状態で、吉岡氏から送ってきたものを受け取ると、何かとトラブルの元になるだろうと判断しています。弁護士の判断も同じで、受け取る必要はない、というものでした。
 判決に書かれたことが全部済むまでの間、吉岡氏からの連絡・郵便物その他は、代理人弁護士経由でなければ一切受け取りません。この期に及んで個人間のやりとりをしても、何も良いことはありません。つまりは、証拠を残しながらやれということです。
 全部終わったら通常の扱いに戻します。

【2010/09/15】
 支払がすんでるという指摘がコメントの方でありました。
 このエントリーは9月6日ですが、8月半ばの話を後から書いたのと、出張中で代理人から私への連絡がうまくいってなかったことが原因で、このエントリーを書いた時点では、進んでないっぽいという認識をしていました。
 どうもそうではないらしいので、早急に代理人に確認し、正しい情報を出したいと思います。

【2010/09/16】
 9月1日に吉岡氏が賠償金の支払いを終えたという連絡が、本日、代理人の一人である大木弁護士から届きました。
 連絡方法の部分で行き違いがあって、白山羊さんと黒山羊さんをやってた感がありますが、吉岡氏の方から支払について連絡をしてきて、きちんと支払ったということです。

 これで、東京の訴訟はすべて終わりました。

職場のサーバーの電源が死にました

Posted on 8月 30th, 2010 in 倉庫 by apj

 週末は職場が停電だったので、shutdownを仕掛けて、停電前に止まるようにしておいたのだけど、今朝来てみたら、サーバーの電源がウンともスンとも言わないorz。どうやら、停電で電源死亡というありがちなパターンをたどった模様。というかスイッチに応答しなくなってたのは、停電前からかもしれない。停電前に一度シャットダウンした後、試しに電源スイッチを落とそうとしたら既にスイッチが反応しなかったし……。

 電源交換の修理に出すにせよ、電源を特定してスペアパーツを購入して自分で交換するにせよ、数日は復旧不可能である。

 とりあえず、旧サーバーを引っ張り出して、メールだけは使える状態にした。古いコンテンツが出て混乱するといけないので、ウェブサーバーは止めた。ゲストブックとかも道連れで落ちてる。

 直前の様子からすると、多分、電源だけで話が済むだろうとは思うが……。もし、ボードごと逝ってたりすると本格的に別マシンにOSのインストールからやらなきゃならなくなるけど、それも面倒なので、まずは電源交換でどうにかならないかやってみて、その結果がはっきりするまでは作業には入らないつもり。今週後半もいろいろ東京方面で別作業が入っていて、とてもインストールをやってる時間はとれそうにない。

【追記2010/09/03】
 サポートに連絡したら、ユーザーによる電源交換は無理なので、ディスクを外して本体を送るようにと言われた。昨日、一昨日は別の場所で仕事をしていて発送できなかったので、本日宅急便にてサポート宛に発送した。
 向こうに本体が届いたら、修理費用を見積もって連絡をくれることになっている。その後了解の連絡をすれば修理して送り返してくれるはず。

あなたに都合のよい「自然」なんか無い

Posted on 8月 25th, 2010 in 倉庫 by apj

 「自然」なお産、「自然」な治療法、「自然」治癒力……。
 病院に行ったら何やら怖ろしげな検査機器の山に囲まれてしまったり、医師からの説明が足りないと感じたり、薬をもらってきたけどあんまり良くならなかったりしたら、これらの言葉が魅力的に聞こえるかもしれません。
 さらに私達は、なぜ動くのかよくわからないまま、科学と技術の成果であるさまざまな製品に囲まれて生活しています。そういう生活に疲れたら、何となく「自然」がいいと思ってしまうのかもしれません。

 でも、ちょっと待ってください。

 少し前までは、医学も含め、身の回りに、今のような科学と技術の成果は、まだありませんでした。皆さんのおじいさん、おばあさんの時代か、その前の、ひいおじいさん、ひいおばあさんが働き盛りだった頃の話です。
 もっと昔……たとえば、世の中にファンの多い「時代劇」で描かれる時代にも、やっぱり、今目にするような科学と技術の成果はありませんでした。
 世の中、今でいう、「自然」な何とか、ばっかりだったのです。

 その頃は、出産は危険で、生まれた子供も母親も、今よりはずっと高い割合で死んでいました。無事に生まれてきても、未熟児だと死んでしまうとか、(ホメオパシーが批判される原因となった)ビタミンK欠乏症だと死んでしまうとか、ただ生きるためだけに、いろいろなハードルを越えなければなりませんでした。そのハードルを越えても、次に待っているのは感染症の連続攻撃です。これで、体力のない子供はどんどん死んでいました。ちょっと大きな怪我や病気をすると、即命の危険があるという状態でした。食糧だって、そんなに豊富ではありませんでしたから、充分な体力の無い状態で感染症と闘わなければならないことも多かったでしょう。無事に大人になっても、今の成人病が問題になるような年齢になる前に、多くの人は感染症で命を落としていました。平均寿命が40歳から50歳という時代もありました(今の日本では、この年代は働き盛りと呼ばれていますね)。

 子供が死産だった時の親の悲しみ、
 出産で妻を失った夫の悲しみ、
 病気による死で早々に別れなければならなかった肉親や近しい人の悲しみ、
 充分な薬や食事を用意することができないままにただ弱っていく家族を見ていなければならなかった人の辛さ
 ……
「代われるなら代わってやりたい」「まだ別れたくない」「何とかして助けたい」
 時代が違っても、民族が違っても、思いは同じはずです。

 いつの時代にも、その思いを受け止めて、なんとかしたいと思った人たちが居ました。
 その能力と条件に恵まれた人達が、その時代でできることを積み重ねてきました。途中で、間違いもたくさんあったでしょう。ですから、どれが正しいか見極めるための努力もしてきました。
 その積み重ねの上に、今の、医学をはじめとする技術があり、科学の知識もあるのです。
 もちろん、人のすることですから、完璧ではないし、今でも、ちょっとずつ良くするための活動は続いています。それでも、昔に比べれば、こんな悲しい思いをする人の数は確実に減っています。

 

QandAというか

Posted on 8月 25th, 2010 in 倉庫 by apj

 日本学術会議会長の金澤一郎氏によるホメオパシーに対する批判が公開された

 内容は至極もっともだと思うのだけど、ホメオパシーを擁護する人達からの反論が予想されるので、ありそうな反論を書いて、それに対するツッコミも作ってみる。

【予想される反論】
・科学が全てではない。
【それに対するツッコミ】
・一般論としては確かに科学が全てではないが、物質の種類や存在量と生理作用の関係をはっきりさせるときに人類が使えるものとしては、科学が全てである。

【予想される反論】
・パンヴェニストの論文と追試があるので、水は情報を記憶する。
【それに対するツッコミ】
・Nature vol.366 pp525-527でHirstらが追試をやって、パンヴェニストの結果を再現しなかったことを報告済みである。

【予想される反論】
・学術団体は異端を排除するのか。
【それに対するツッコミ】
・科学としては、ホメオパシーは異端ですらなく、単なる間違いである。間違いであることはとっくの昔に検証が済んでいる。ホメオパシーは、誕生した当初は、当時の科学の1つとして現れ、その後検証にかけられ、間違っているという理由で捨てられた。

【予想される反論】
・「ホメオパシーのような非科学を排除して正しい科学を広める役割を果たさなくてはなりません」などと、学術会議が権威を使って言うのは異端審問と変わらないのではないか。
【それに対するツッコミ】
・むしろこの場合は異端審問ではなくて品質管理。科学の側が既に間違っていて使えないという理由で捨てたもの(=ホメオパシー)が世の中にはびこるというのは、製造の途中でできた不良品(効果がないし使うと危ない)をゴミ捨て場においておいたら、勝手に誰かが拾って「便利なもの」として売っている、というのと同じである。製造元としては、「それ不良品だし使うと危ないから捨ててください」というのが当たり前。

【予想される反論】
・医療機関がプラセボとしてホメオパシーを使うことがない、といっても、臨床試験でプラセボを使っているんじゃないか。
【それに対するツッコミ】
・治療しないと命に関わる病気の治療法の試験でプラセボを使うことは無い。例えば対照群には従来の治療を行い、新しい治療を行ったグループと比較する。勿論患者の同意は得る。これならどちらのグループに入ったとしても、ちゃんと治療を受けられる。「放っておくと大抵死ぬ病気ですが、治験をするために、患者の半分は何もせず放置します」というのが倫理的に通る話の筈がない。

【予想される反論】
・製薬会社の陰謀だ!
【それに対するツッコミ】
・間違いを間違いというのは陰謀でもなんでもない。陰謀を主張する前に、ホメオパシーに効果があることを治験によって示すべき。体験談は却下。
 というかその論法だと、外から帰ってきたら手洗い・うがい励行だって製薬会社の陰謀になるよな。石けんとうがい薬が売れるから。

ビタミンK問題、読売新聞に詳しい解説

Posted on 7月 31st, 2010 in 倉庫 by apj

 YOMIURI ONLINEのyomiDr.に詳しい記事

[解説]「ビタミンK与えず乳児死亡」提訴

助産師の一部が代替医療、命への責任再認識を

 昨年10月、山口市内で生後2か月の女児がビタミンK欠乏症となり死亡した。女児の母親(33)は、出産を担当した同市内の助産師(43)が標準予防法のビタミンK2シロップを女児に与えなかったことが死亡原因だとして、助産師を相手取った損害賠償請求訴訟を山口地裁に起こした。

 要約

 ・来月始まる裁判は、助産師の行った代替医療が注目点

 ・死亡乳児への療法は、効果が疑問視されている

 ・助産師は、医療従事者の基本に立ち返る必要がある

 第1回口頭弁論は8月4日に行われるが、この訴訟が注目されるのは、助産師がビタミンK欠乏症予防として代替療法「ホメオパシー」の錠剤を女児に与え、ビタミンK2を与えなかったとされる点だ。代替医療は現代医学には限界があるとして患者の自然治癒力に働きかける治療法の総称で、ホメオパシーはその代表的存在。約200年前に欧州で登場、治療者によっては軽い頭痛から心臓病、がんなどまで対応する。

 一方、ビタミンK欠乏症は、新生児の4000人に1人の割合で発症する。生後1か月頃に頭蓋
ずがい
内出血を起こして死亡する症例が多いが、ビタミンK2を生後1か月までに3回与える予防法は確立している。厚生省(当時)も1989年、投与を促す指針を策定し、10万人当たりの発症率は平均18人(78~80年)から2人(90年)まで低下した。

 しかし、投与は義務ではないため漏れもある。この助産師もビタミンK2を投与したと母子手帳に記していた。日本助産師会の岡本喜代子専務理事は「ビタミンK2投与は当然行うべき基本的な処置。助産師はホメオパシーなどの伝統医学や食事療法などを妊婦のケアに取り入れる人が多いが、極端に偏った考えの助産師がいたことを重く受け止めている」と話す。

 特にホメオパシーについては、同会支部主催で講演会が開催されたこともある。今回の助産師もホメオパシー普及団体の認定資格者の一人。予防接種などを否定する傾向の強い普及団体に関係している助産師もいて、同会の中でも懸念する声があがっていた。

 ホメオパシーで使う錠剤は、様々な成分をその分子が検出できないほど水で希釈して砂糖玉にしみ込ませたもの。それ自体有害ではないが、現代医療を受けていれば助かったはずの命が救えない恐れもある。

 今年2月には、英国議会も科学的根拠に乏しいことを理由に保険適用の中止を求める報告書を出した。唐木英明・東大名誉教授(リスク管理学)は「代替医療は『自然』『安全』といった言葉で語られるが、治療効果の検証が不十分で、医療従事者が提供すべき医療ではない」と指摘する。

 助産師主体で行う出産は全出産数の約1%に過ぎないが、現代医療が濃厚に関与する出産とは異なる選択肢として、一定の支持を得てきた。助産師など医療従事者は存在意義を失わないためにも、その姿勢が患者の命を左右することを肝に銘じるべきだ。(山口総局 橋谷信吾 科学部 片山圭子)

(2010年7月31日 読売新聞)

 講義資料に使うかもしれないのでメモ。