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処罰の基準

Posted on 3月 7th, 2007 in 未分類 by apj

父親を生き返らせようと遺体を掘り起こした男」より。

[ 2007年03月07日 21時06分 ]

[カラチ 5日 ロイター] パキスタンの警察は、2年前に死亡した父親を生き返らせようと遺体を掘り起こしカージャックした救急車で家へ持ち帰った男を追っている。

アブダル・ラーマン容疑者の家族は、彼には精神障害があり、父親の死を受け入れることができていなかったと警察に語っているそうだ。

カラチのフェロザバド警察署の担当官グラム・ムルタザは、「彼は木曜の夜、救急車の運転手に銃口を向けて車を乗っ取ったあと遺体を掘り出し、家に持ち帰りました」と、ロイターに語った。

警察は救急車の管理団体とラーマン容疑者の兄弟から通報を受け、金曜日に強制捜査を行った。
「彼は頭蓋骨だけになった死体を12時間以上自分のベッドルームに隠していました。私たちが家に踏み込んだ際、彼は逃走しました。私たちは遺体を再び埋めました」

また警察によれば、ラーマンは墓地で眠っていたホームレスを誘拐して家に監禁していたとのことだ。

「彼は、ラーマンがおいおい泣きながら死体を生き返らせようと魔法の呪文を唱え、薔薇水を注いでいるのを見たと証言しています」と、ムルタザは語った。

ラーマンには、死体損壊罪で1年の懲役が求刑される見込みだ。

 えーと、求刑が死体損壊罪だけって、カージャックと銃の所持と誘拐監禁は完全スルーですか?どう見ても後の方が処罰が重そうなんだけど、一体どういう基準で処罰しているのだろう?パキスタンの刑法はどうなっているのだ?

ずいぶん昔から指摘済みな気が

Posted on 3月 6th, 2007 in 未分類 by apj

「信じたがる人」に伝わる意見」より。

失うものがある人にとっては、筋の通らない言い訳をすることは、自分の通貨を 失ってしまうことを意味するから、論理で相手の説得をはね返す動機が発生する。

失う通貨の無い人にとっては、そもそも対抗論理を作り出すことが無意味なことだから、 「あなたは信じるに値しない人間だよ」という理由で十分だったりする。

属人的な考えをする人を説得するには、「人に対する信頼」自体を担保にすること。

 対策まで書いてあるあたりがなかなかよいのだけれど、信じたいものしか信じない人間の性質は紀元前から指摘されている。

Libenter homines id quod volunt credunt.
(人間は自分が信じたいと欲することを、喜んで信ずるものだ)カエサル、「ガリア戦記」

就職率による評価

Posted on 3月 5th, 2007 in 未分類 by apj

 新しく配属になる来年度の卒研生が決まったので、午前中に打ち合わせ。実験のスケジュールなどを決めるために進路についてきいてみたら、一人は企業就職、一人は教員採用試験狙い、もう一人は進学はしないし就職活動もしないで実家に帰る、とのこと。
 まあ、どういう進路を選ぼうが学生の自由だが、就職しませんと自ら意志決定する学生が居ることで、就職率が下がったとか、大学評価に影響するといったことになるのは困る。学生が進路をどうするかは自己責任だし、学生が意志決定したことは、あくまでも学生が結果を引き受ける範囲だけで閉じていないとまずい。教員側にできるのは、就職活動の足を引っ張らないようにゼミや実験のスケジュールをするとか、情報を得る手助けをするとか、必要な推薦状などを発行するといったことだけである。大学評価に影響するからといって、就職や進学を強要したら人権問題発生である。つまり、教員側の手出しは不可能ということであり、大学に対する評価基準が、手出し不可能なことの結果責任を問うものになっている、あるいは結果をだすために人権侵害せよということを暗に含んでいるのであれば、それは評価基準の欠陥に他ならない。
 進路決定は年度が替わったら書類に書いて出すことになっているので、就職か進学かの2択じゃなく、「家事手伝い」みたいなのがちゃんと選べるようになっているかどうか、明日確認してみるか。入ってなかったら、就職委員会の委員に頼んで項目を入れるよう決めていただくしかなかなぁ。
 まあ、どうしても学生の就職率でもって大学の評価をするというのなら、その行き着く先は、大学側の対応策としては、入学時に「大学にとって不利益とならないために進学あるいは就職すること」なんてのを学生に対して確認する、といったことになるだろう。それはそれでかなり変だが、これを変だと思うのなら、就職率による大学評価をすることも同様に変なことなんだと、さっさと気付いてもらいたい。

 これを書いていてふと思ったのだが、キャンパスハラスメントの事例の中に「就職や進学を強要する」というのはどのくらいあるのだろう?もし、少なからぬ数存在するのだとしたら、大学の外部評価基準がハラスメントを誘発している可能性についても、真面目に検討した方が良いかもしれない。

と学会例会

Posted on 3月 4th, 2007 in 未分類 by apj

 と学会例会に参加。発表ネタは3つ。
 東大名誉教授の飯田氏が出した文書が凄いという発表(新体系物理学=量子力学無しで物理学を構築できると主張する内容、飯田バイオンとか出てるやつ)の発表があった。それで、急遽お茶大冨永教授が物理学会誌の巻頭言に載せる予定のフレーズを紹介。冨永教授は飯田研出身で、時々飯田元教授から電話で新体系物理学について延々話を訊かされて、「先生のおっしゃることはわかりますが同意できません」ときっぱり返事をしている。紹介したのは

確信犯は論外として、うっかり本人が思い違いをしたり、理解不足だったりすると、知らない間に世間を騙してしまうというリスクはすべての研究者に潜在しています。

というあたり。師匠が新体系物理学の彼岸へ行ってしまい、弟子はこういうことを書いているということで、まあなかなか味わいぶかい。
 次は明示図書の道徳の本について。「学校「道徳シート」とエンカウンターで進める道徳 高学年」。はじめに、で

この本は、道徳の授業を少しでも楽しく充実したものにしたいと願っているあなたへのプレゼント。新たなヒントと、具体的な工夫を教えてくれる本です。

と書いてあり、実践例の一発目が「水からの伝言」である。トンデモは著者と出版社にくっついていることがあるので、別の本も調べたらしっかりネタがあった。「エンカウンターで道徳」諸富 祥彦・土田 雄一著、明治図書。126ページに「言葉の影響を実感させる道徳の時間」という項があって、

1 この実践のよさ
導入に理科の授業を生かしている
★子どもたちの生活と密接につながる学習活動である。
★言葉のもつ「こわさ」と「よさ」を実感できる。
★心をセルフコントロールするきっかけづくりができる。

 道徳の根拠を自然科学に求めるのはヤメロ、というツッコミとともに、これってやっぱり水伝か?と思ったのだが、紹介されている例は予想の斜め上だった。132ページから始まる「5 授業記録」には、瓶の中でろうそくを燃やしている絵が描いてあって、こんな文章が添えられていた。

〔導入〕
○理科の実験を思い出させる
T ビンの中のろうそくの炎はどうなりますか。
C だんだん小さくなって消える。
C 酸素が使われて、二酸化炭素が増えるから。
T どうしたら、この炎を消さずにまた、大きくできるでしょう。
C 空気を入れ換える。
C 酸素を送り込めばいい。
T 酸素を送り込むと、もっと炎が輝いて、大きくなりましたね。二酸化炭素のときは、どうでしたか。
C すぐに炎が小さくなって消えた。
〔展開〕
T ろうそくの炎を「心の炎」と考えてみましょう。酸素と二酸化炭素と同じような働きをしているのはなんでしょう。心の炎が明るく輝くときは?
(以下略)

 これはどう見てもあれだ、ろうそくが燃え尽きると寿命が尽きるとか、太くて勢い良く燃えるろうそくの持ち主は殺しても死なないとか、死神が火を吹き消すとその人が死ぬとかいう……。こんな例え方をされると別の光景が思い浮かんで、道徳どころではなくなる罠。一体どういうオカルトネタなのかと……。
 
 3つ目のネタはがらっと変わってマジンカイザーイタリア語版の紹介。日本版に比べて本がやたらと充実してるとか、アニメDVDは本の付録の扱いだということを説明。無駄に多い各国語字幕とか、日伊対訳字幕収録とか……、まあ、アニメばっかり見て語学を勉強しましょう、という結論である。

 本日の戴きモノは「絵心経付きの般若心経」。100円ショップで売ってるらしい。日本史の資料集なんかでもたまに紹介される、字が読めない人のために絵で発音を示したもの。お釜の絵を逆に描いて摩訶と読ませるというアレである。ところが、絵から正しい発音を導くためにはやたらと高度な知識と連想力が要求されるため、すなおに平仮名の読み書きを覚えてルビを振った方が易しかったんじゃないかというオチに……。

小学校教師用の道徳授業参考書に「水からの伝言」

Posted on 3月 2nd, 2007 in 未分類 by apj

 「学校「道徳シート」とエンカウンターで進める道徳 高学年」の最初の例がそのまんま「水からの伝言」。
 教師が道徳の授業をするのに参考にする本という位置づけで、先月出版されたもの。本日生協に届いたので内容を確認した。
 明治図書といえば、私が小学生の頃から、生徒向けのドリルや副読本を出していたし、教師用の本も出していた、教育業界の出版社の老舗だが、最近はオカルトな内容のものを出すようになったらしい。
 昨年10月のAERAの批判記事やら、田崎さんのウェブやら、いろんなところで「教材として不適、教えるべき内容ではない」という意見が出ているのに、この時期に敢えて載せた理由を知りたい。TOSSは既に実践例を削除しているのだけど。
 当該実践例を書いたのは「千葉県市原市立若宮小学校 川添幹貴」となっているが、誰かこの先生の水伝授業を受けた人、いますか?

文献メモ

Posted on 3月 1st, 2007 in 未分類 by apj

 「日本の理科教育における一大変質の明確な事実経過」 生井兵治
日本の科学者vol.41 No.8(2006) 24(416)-29(421)
 理科教育に相対主義が持ち込まれた経緯に関するレビュー。文部科学省と一部の教育学者の仕業によって、非科学教育を学校で行う準備がなされ、現在進行中である。この件については要調査。

ルルドの泉

Posted on 2月 28th, 2007 in 未分類 by apj

 ルルドの泉の水輸入代行業者さんのページに対するコメント。

ルルドの泉の奇跡を信じるサイトにしちゃー、こりゃまたえらく邪道ですな。
信じる時にはね、「ゲルマニウムイオン水」だなんて、科学を連想させるものに頼っちゃいかんのです。
科学に根拠を求めるってことは、即ち信心が足りないってことなんですよ。そんな情けない態度では、奇跡なんか期待できません。第一、信仰に客観的根拠を求めるなどという、邪な心こそ最初に罰せられるべきですw

科学はそもそも信仰ではないから、受け入れるために「証拠」が必要なんですね。で、みんなでホントかどうか確認しないといけません。
でもね、信仰するかどうかにあたって証拠を求めたりしちゃいけません。奇跡を起こすのは「信じる心」であって、科学的証拠なんかじゃないんですから。科学などという無粋なものを信仰に持ち込むという行動は、実にヘタレで情けない限りです。

 ということで皆さん、奇跡を信じる方も、そんなの非科学だといってソッポを向く方も、以下を座右の銘としませんか。
それでは、ぜひ、一緒にご唱和ください。

混 ぜ る な 危 険  [:からかう:]

組み合わせの妙

Posted on 2月 27th, 2007 in 未分類 by apj

 幻影随想さんとこで出ていたネタだが、宇宙研生協がやってくれた。元ネタは大木社長のブログ。
宇宙科学の地を浸食する脅威のニセ科学、電磁波サボテン出現」。キャッチコピーを引用しておく。

ご存じですか?
巷で電磁波を吸収すると言われて話題の
電磁波サボテン
・モコモコした姿が可愛らしいこのサボテン、実はただ者ではありません。
・NASAの調査で電磁波を一番吸収することがわかり、ニューヨーク証券取引所での試験でも効果が確認されたという、いま注目のサボテンなのです。
・パソコンやテレビ、携帯電話、電子レンジなど、私たちの周りには有害な電磁波がたくさん発生しています。健康を考えるあなたのために、電磁波対策のお手伝いをしてくれるサボテンなのです。
・さらにイライラや頭痛などをひき起こす原因の、太陽から出される大気中のプラスイオンをも吸収して、マイナスイオンとして吐き出す事も分かってきました。
・水やりは10日に一回ほどでOK。手間もかからず電磁波を吸収してくれるスグレモノです。パソコンや家電製品を長時間使う方に限らず、インテリアとしてもオススメのインドアプランツです。

 電波天文からX線天文から分光まで、電磁波のプロ集団が居るはずの宇宙研に電磁波サボテン……。よりによってNASAを騙ったニセ科学商品が宇宙研に出現。しかも買ったヤツが居るらしく、数日後に商品の数、増えてるし……。
 向こうの掲示板でもネタになってたが、よりによって宇宙研とは……。

 笑いすぎて涙が止まらん。仕事にならんがな……。

明日のために……

Posted on 2月 24th, 2007 in 未分類 by apj

 今晩は大学に泊まりでつ。明日、前期日程のため早朝から招集をかけられているんだけど、バスが遅れたらアウトなので。
遠方にお住まいの偉い先生は、大学となりの付属宿泊施設瑞樹荘をとって泊まるので、昨日辺りから完全に満室になっている。私は下っ端の上、金払ってまで泊まるのはちょっとなぁ、なので、研究室にエアマットとシュラフ持ち込みで過ごすことにしている。今年は雪が少ないので自転車で出てきてもいいんだけど、朝起きたら積もってたり凍ってたりすると遅刻が確実になってしまう。まあ、泊まりになるのは冬場に数日だけ(入試関連と卒論修論発表会くらい)だしいいかな、と。
 でも、本来なら土曜日で休みの筈なので、研究室に出てきたけど仕事は休みにして、入手したてのマジンカイザーイタリア語版を鑑賞中。字幕を、イタリア語、ローマ字表記の日本語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、中国語から選べるのだけど、とりあえずイタリア語音声+イタリア語字幕で、聞き取りの訓練開始。ところが、字幕と台詞が完全には合ってないし、出てくるタイミングがずれることもあるので、油断してると違うものを聴くことになって、常に緊張して見ることに。でもまあ、内容の半分以上は字幕通りにガチでネイティブのスピードとアクセントでイタリア語が流れてくるので、耳を鍛えるには結構いい教材ではないかと。極端に難しい単語や言い回しは出てこないし、ヘタなCD付き参考書よりは使えるかも。市販の語学教材は、やっぱり一般にしゃべりが遅いんだよなぁ(東進ブックスの「今すぐ話せるイタリア語」シリーズはネイティブのスピードでやってくれるが、他の本の付録CDは間延びして聞こえる)。とにかく、イタリア語文法ハンドブックと、ポケットプログレッシブ伊和・和伊辞典を見ながら画面にかじりついている。もはやアニメを楽しむって状況ではなくなってる気が……。
 イタリア語で見終わったらドイツ語字幕に切り替えて、久しぶりに第二外国語の復習をしようかな。Wolfgang HohlbeinのOPERATION NAUTILUSのペーパーバックがもうじき揃うはずなので、できれば楽に読みたいし。

「あるある」Natureに登場

Posted on 2月 23rd, 2007 in 未分類 by apj

向こうの掲示板に投稿された情報。
Japanese TV show admits faking science
David Cyranoski, Nature 445, 804-805 (22 February 2007)
 記事はこちら。うまくすると右側のメニューからpdfがダウンロードできるかも。

 納豆の写真がインパクトありすぎな気が。おいしそうではあるけど。
しかし日本の恥だな>あるある。