Feed

社会的制裁が不発に終わった件

Posted on 12月 8th, 2006 in 倉庫 by apj

 中西氏のカウントダウン日記より。

あと96日-2006年12月6日(水)

「すべてが法廷という米国」ではないからこその重圧

私を応援している方の内かなり多数の方が、「米国のように何でも裁判に訴える社会になってほしくない」と言う。それは、それで分かるのだが、直接この被害を受けている当事者からすると、米国のようではないから、むしろきついと言ってもいい。

何が何でも裁判でも、当然法律というルールで決まることを意味する。それは、法律に違反しなければいいので、それなりにすっきりしている。

ところが、日本では、裁判に持ち込むことは、法律による判決を期待するより、「社会的制裁」を狙うことが多いのである。

つまり、訴えただけで、相手にダメージを与えることのできる社会なのである。この重圧がなく、法廷で淡々と争うだけなら、訴えられても相当楽だと思う。法律によらない「社会的制裁」が一番きつい。マスコミを利用できる立場にある人から訴えられれば、社会的制裁はますますきつくなる。

社会的重圧から解放されたなと思ったのは、今年の夏頃だった。自分の成長と裁判の経過が作用しているのだろう。

 マスコミを利用できると思ってプレスリリースまで出したが、被告に対する社会的制裁は完全に不発に終わり、被告応援団が集まってしまって逆効果だった件。今どき、よっぽど馬鹿な理由で訴えてどこぞで祭りにでもならないかぎり、訴訟にともなう社会的制裁はほとんどないと思う。特に民事は交渉の延長だし。金の貸し借りとか土地の境界線とか、当事者以外はさっぱりわからんという種類の訴訟なら、いくらやってもそれで社会的に不利益ということはないだろう。口頭弁論の度に休暇をとったりしないといけなくて、時間と手間がかかることは確かだが。
 マスコミが一方当事者を叩けたのは昔の話ではないか。今は応援団の方でやってるように全部の証拠書類を公開することだってできる。マスコミが煽ったところで、一次情報の提出書類の方が重い。
 なお、私は最初から、「法的紛争は近代社会における個人の自立の証」だと主張している。まあ、最近のアメリカは行きすぎかもしれないが、社会的制裁など気にせず、気軽に訴え・訴えられる社会の方が健全だと思う。

高校化学の教科書を見ていたら……

Posted on 12月 7th, 2006 in 倉庫 by apj

 高校化学の教科書を見ていたら、最初の扉ページに「物質のなりたち」とあって、下半分にハッブル宇宙望遠鏡が撮影したと思われる宇宙の光学観測画像が……。宇宙論の方では正体不明のダークマターとダークエネルギーの方が多いという話になってるときに、物質のなりたちのところにこの写真を出すということは、「わかっているごく一部について説明する」という控えめな態度を表明しているのか?と思わずウケてしまった。

熱力学再勉強

Posted on 12月 6th, 2006 in 倉庫 by apj

 研究がらみで普通の熱力学の適用限界をちょっと真面目に考えないといけないことになりそうなのと、来年度、グループの先生の代理で学生に熱力学を教えなければならなくなったのとで、熱力学の教科書を買って読み始めた。今のところ、田崎さんの熱力学の教科書の見通しが良いので、これでもう一回自分なりに整理しなおそうと思っている。
 学生に教科書として指定しているのはムーアの基礎物理化学だが、この本の熱力学の書き方は正直言って私にはよく分からん。自分が読んで見通しが悪くてわからないものを使って学生に教えたって、学生だってわからないだろう。
 読み物として、講義をする前に読んでおいた方がよさそうなの「熱学思想の史的展開」(山本義隆)あたりか。
 研究がらみでは、非平衡系の熱力学がどのへんまで進んでるかを調べないといけなくなりそうなので、とりあえずプリゴジンの「現代熱力学」を読むことにした。これ以外に、何かいい本はないだろうか。
 

化学と工業

Posted on 12月 5th, 2006 in 倉庫 by apj

 日本化学会の「化学と工業」12月号の論説に、「水からの伝言」に対する安井さんの意見についてのコメントが掲載された。ニセ科学の話題にもっと関心を持つべきだという趣旨で、池辺豊氏(日経産業消費研究所主任研究員)が、ニセ科学の追試をするべきではないという趣旨で、斉藤一弥氏(筑波大学)と私のコメントが掲載された。それに対する安井さんのコメントも出ている。日本化学会事務局からは、秋の物理学会で行われた声かけ核反応実験の発表の様子が簡単に紹介された。

名誉毀損

Posted on 12月 4th, 2006 in 倉庫 by apj

 2年ほど前に、マイナスイオンのサイトを作って相互リンクを申し込んできた人がいたのだが、ページがまともにブラウザで見えないため何が書いてあるかさっぱりわからない状態だった。それを指摘して揉めて、相手が私のことを「変態助教授」などとウェブに書いて公開したので、即刻刑事告訴の手続きをしていた。それが、やっと結論が出た。自称「日下部」と名乗る、岐阜県高山のあたりに住む人物だが、岐阜地方検察庁高山支部からの書面による連絡によると、起訴したとのことだ。電話による連絡では罰金刑となったということで、これは、名誉毀損の場合の普通の刑のようだ。
 前期は新しい講義を準備しなければならず、多忙で訴訟どころではなかった。後期にやろうとしていたら足骨折。まだ民事は時効ではない。処分の通知を付けて、これから民事の方の訴状を書こうか。

 言うまでもないことだが、私はオタクなだけであって変態ではない。

天気予報

Posted on 12月 1st, 2006 in 倉庫 by apj

 新幹線の中でテロップで流れた天気予報。「東京ー晴、青森ー雪時々止む、仙台ー……」。「雪時々曇」とか「曇のち雪」あたりならよく見かけるが、今時の青森は降ってるのが当然でそっちが基準になのか?と思わずウケてしまった。青森の人、雪対策ご苦労様。山形は、市内はまだ雪にはなってない。去年よりだいぶ遅れている感じだ。

何か時間食った……

Posted on 11月 30th, 2006 in 倉庫 by apj

 12/1までにオンライン提出しないといけない論文抱えてて、作業が終わらず、家に帰ってモバイルの細い回線で投稿作業なんかしてたら、日が変わって午前3時に。眠い。明日(ってか既に今日)は横浜だし。早く寝よう……。

総員、マスク着用!

Posted on 11月 29th, 2006 in 倉庫 by apj

 「教科書にない実験マニュアル」の「ピコリン」を読んで。
 昔、ビニルピリジンを使っていたので、ピリジンの仲間が臭いのは経験済みなのだが、それよりももっと凄いにおいをさせる実験が、私が博士課程の頃、同じ部屋で行われていた。「においセンサー」が開発されていたのである。水晶振動子にいろんな膜などを付けて、におい物質を流し、吸着のパターンを調べるというもので、いろんなにおいの元を薄めてセンサー部分に窒素ガスと共に導入する。試薬測りとりは専用ドラフトでやるとしても、薄めたってにおい物質はにおい物質だからどうしても部屋に漂うことになる。実験担当者は吸収缶付きの立派なガスマスクで武装して実験していた。なぜか、いい香りが漂うことはほとんどなく、カビ臭の元だとか、香水の成分(調合して薄めるといい香りになるが、1種類だけ濃いととんでもない臭い)とか、納豆の腐ったような臭いとか真夏に一週間風呂に入ってない時の足の臭いとかウンコの臭いとか、まあそんなのばっかり嗅がされることになった。
 実験担当者を責めても問題は解決しないし、かといって普通に他の実験をしていてそんなにおいを嗅ぐのも嫌だ……となると、マスクを着用して自衛するしかない。幸い、においの発生源から少しは離れているから、安いマスクでも何とかなる。ということで、使い捨ての活性炭入りマスクを実験室の他のメンバーにも配り、自分も手元に置いて、備えることになった。
 強烈なにおい物質を出す前に、実験担当者はまず「これからにおい物質使います」と叫んでガスマスクを着用。それを合図に、部屋のあちこちで他のメンバーが一斉に活性炭入りマスクを着用、という手はずで、においセンサーの実験と、特にブーイングもなく共存していた。別の部屋のメンバーがその光景を見て爆笑していたが、住民にとっては深刻な問題なのだった。

経過観察

Posted on 11月 28th, 2006 in 倉庫 by apj

 先週はシンポジウムに張り付いていて、とても出歩ける状態ではなかったので、やっと足首の経過観察で病院に行った。ギプスの上からX-ray撮られて、順調に治っているということで、ギプスの前半分をカットして外して、残った後ろ側だけを包帯で巻いて当てておくことになった。風呂に入る時は外して、足首の曲げ伸ばしをちょっとずつやるように、というお達しが。何でも足の甲の側の筋肉はもともと細いから、そっちを重点的に(つまり足指先を持ち上げる方向に)動かすように、と言われた。足裏の方はさほどでもないらしいのだが。
 ギプスをどうやって切るのかと思って見ていたら、あんまり患者には見せたくないらしく「そっち向いて横になって」と言われた。そう言われるとさらに見たくなるのが人情だから、体をひねって顔を足の方に向けていたら、専用の電動のこぎり(ドリルみたいなやつで、先端で円盤状の歯が回転する)が用意された。医者がマジックで書いた線に沿って切れ目を入れて剥がすのだそうで……。そりゃ普通の人は引くか怖がるわなぁ。実際には、中にはタイツみたいな筒状の布が覆っていて、さらに綿で全体を覆っているから、固い部分を切るだけなら歯がそこで止まるので、足は無傷になるようにうまくできているのだけど。
 がりがり表面を切って、これまた専用の工具を差し込んでばきばき音を立てながら割れ目を拡げて、出てきた下の綿やら包帯やらをハサミで切って外すわけで……それ何てモスラの繭の解体作業?という風情だった。

シラバス書いてたり

Posted on 11月 27th, 2006 in 倉庫 by apj

 といっても、学内のシラバス締め切りはもうちょっと先。
 来年、放送大学の山形学習センターで集中型面接授業をやることになったので、そのシラバスを書いて(事務経由)学外発送の箱に入れてきた。日本語のタイトルは「水について考える」だが、英語のタイトルは ”Water, science and pseudoscience”としてみた。受講者の予備知識がまちまちであることが予想されるので、理科の基本的なところから始めて水の物理化学を説明し、怪しい話の見分け方とか、科学がどうやって進歩するかといったことにつなぐ予定。とはいえ、2日の集中講義なので、それなりに絞って、資料も準備しないといけない。8月だからだいぶ先だけど。兼業届けも忘れないように出さないとなぁ。