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体験入学

Posted on 8月 5th, 2006 in 倉庫 by apj

 本日は、午前中が体験入学、午後から説明会だった。
体験入学はWinMATHPYCを使ったMD計算。計算機センターにお願いして実習室を使わせてもらって、中学生と高校生を集めて、分子が動く様子を体験してもらった。
 おおむね好評だったが、トラブルもあった。申し込みは入試課のウェブサイトからやるらしいのだが、それがうまくいってない。直前まで人数の集計をしていたのだが、締め切り数日前くらいに申し込んだ人で、うまく登録されていない人が何人か居た。また、携帯から登録した人が登録されていないということも起きていた。体験テーマはいくつかあるが、試薬と器具を使っての実験は準備できる数が限られているので、当日の人数増加には対応できない。シミュレーションは大きい実習室を使えば端末の数までは引き受けられるため、申し込みに失敗した人や当日参加の人は全員計算機に回ってもらうことになった。別の実験テーマで申し込んでいた人には気の毒なことになった。

 登録後にきちんと確認メールを流していたかどうかとか、パスワード制にして自分の登録情報を確認できるようにするとか、何らかの仕組みが必要だろう。そのへんがちゃんとできていたかどうか、入試課に確認する必要がある。

 説明会は、午後から理学部全体の説明がまずあって、その後学科ごとにわかれての説明となった。院生の人に大学生活について簡単に発表してもらい、個別の質疑応答の後、学生実験室などの設備をざっと紹介して終了した。

北朝鮮って一体……?

Posted on 8月 4th, 2006 in 倉庫 by apj

 ZAKZAKの記事より。 

「日本の攻撃には断固反撃、万端の準備できた」と北
北朝鮮の朝鮮中央通信によると、朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は3日、日本政府が米軍の最新鋭の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の沖縄配備を決めたことや、敵基地攻撃能力保有に関する議論が出ていることに反発、「もし日本の軍国主義者が攻め込んでくれば、断固とした反撃を加える万端の準備ができている」と警告した。

 同紙は、「日本のわが国への再侵略は時間の問題となった」と警戒感を示す一方、「再侵略は自殺行為となることを悟るべきだ」と主張した。(共同)

 どこまでおめでたい国なんだろうな北朝鮮は。まあ、大口叩く前にこれまでに日本がやった支援の代金を支払ってもらいたい。第一、放っておいたら勝手に自滅しそうな国にわざわざ軍隊派遣する馬鹿が一体どこの世界に居るのか?軍事力は持つだけで金がかかるが、ドンパチやればもっと金がかかるってのをわかって言ってるんだろうか。
 最後の一行には別の意味で同意する。うっかり日本が北朝鮮を侵略なんかしたら、もれなく大量の難民(反日教育済み)が付いてくる上に、インフラ整備で日本の国力が吸い取られて、国が傾くのはほぼ確実だから、確かに自殺行為だわなぁ。

追試終了

Posted on 8月 3rd, 2006 in 倉庫 by apj

 朝イチで基礎化学演習の追試終了。他の科目やレポートの提出ピークが過ぎて余裕ができたのか、さすがにまずいと思ってちゃんと練習したのか、レポート+2回の試験で類似問題を出しまくったのがそろそろ効いてきたのか、ほとんどの人が合格した。さすがに少し慣れてきたのだろう。
 今回落ちた人は、来週補習を受けてもらい、その後もう一度追試をする予定。1年次の専門必修だから、これを落とすと後でめちゃくちゃキツいことになる。

 まあ、苦手だったり面倒だったりすることも、大学1年のうちなら何とかできるだろうと思っている。みんな若いんだし^^;)。年をとるほど頭の柔軟性は無くなるし、記憶容量も落ちまくるから、こっちは残りカスみたいな脳細胞で商売してるわけで、それはそれでアレなんだが……(大汗)。

 あとは……チームでやってる実験レポートの採点と、教養のレポートの採点(これが数が多いのよ)が来週に集中する見込み。その間に秋学会の用意とか講義がない間しか出来ない「他所行って実験」とかいろいろしないといけないわけで、貧乏暇無しを実感する今日この頃なのだった。

磁気活水器の会社の方の訪問

Posted on 8月 2nd, 2006 in 倉庫 by apj

 磁気活水器の会社の代表取締役社長と技術顧問の方が訪問してこられたのでいろいろとお話する。磁気活水器をスケール防止装置として使うというもので、純水では磁場の効果がなく、電解質やらその他不純物が入っていることが前提であること、結晶成長や管表面の電気化学反応といった界面での効果に対して影響しているだろうということで、まともな方に進んでいるように見えた。体にいいとかおいしいといった話は全く無かったし、水そのものを変えるという話にもなっていなかった。
 水クラスターの話は間違いだということはきっちり説明したが、そういう説明はしていなかった。ただ、浸透圧を変えることで微生物の繁殖を変えるというものが宣伝に出ていたので、本当に浸透圧なのか、それとも磁場を通したことによる不純物組成の変化の効果なのかを実験的に確認しない限り、宣伝に載せるのは危ないのでは、という話をした。その部分はまだ自社でデータを押さえておられず、アメリカの製造元の主張を使っているらしかった。

 科研費の水と磁場の相互作用の研究は、バルクの水ではなく、ナノ粒子や表面に構造があるものと水と磁場の相互作用に舵を切ったようで、こちらも納得いく話である。2年前の研究会でも、バルクの水には効果がないが、何かの表面の影響を受けている水では磁場の効果が出やすい(でもまだはっきりしない)という話があった。この報告書が出ればいろんなことの見通しが良くなるのではないかという話をして終わった。

 同業他社でトンデモ説明をしている会社が山ほどあるが、あれは本気で信じてるのか判断できないのか最初から騙すつもりなのか、何か情報がありますかと訊いたら、そういう会社と接触しようとしたら断られたり相手が行方不明になったりで、同業であるにもかかわらずまだまともに遭遇していないのだという。何か業界内でもいろいろあるみたいです……。

府中市中小企業技術講習会

Posted on 8月 1st, 2006 in 倉庫 by apj

 18時から20時まで、府中市工業技術情報センター主催の府中市中小企業技術講習会で講師をしてきた。話をしたテーマは「製品開発における科学とニセ科学」。物理学会でやった内容を一部変えて、先日学内でやったサイエンスセミナーの内容も使って、全体を作ってみた。
 まず、ニセ科学とは何かという説明をし、いくつかの怪しい話(マイナスイオンとかポリウォーターとか)がどうやって出てきてどういう経緯をたどったかを紹介し、最後は一般的な傾向と対策をまとめた。
 今回、声をかけてくださった方は、遠赤外線の怪しい話でだいぶあちこちとやりあった方であることがわかった。
 主催が府中市なので、ほとんどが都内の企業やジャーナリストの方だったが、大阪から来てくださった方もいてビックリした。水商売ウォッチングの方を読んでくださってるとかで、会社が怪しい方にいかずに済んだとお礼を言われた。

 会社間でも科学っぽいヘンな話はいろいろ持ち込まれたり飛び交ったりしてるようだが、きちんと本物を見分けて、地に足を着けた開発をしてもらわないと困る。また、そういう企業が儲かる社会でないと消費者も困る。変な話に惑わされてそっちに研究リソースを投入するとそれは明らかに損失なので、うまく情報判別をするお手伝いが出来ればと思った。

シャーベット

Posted on 7月 30th, 2006 in 倉庫 by apj

 しばらく前に買ったシャーベットを食べようと思って蓋を開けてみたら、シャーベット表面にきれいな六角柱の水の結晶が成長していた。某波動な人達なら、きっとこれを見て何か言うんだろうけど、現実はもっと身も蓋もなくて「食べ頃をだいぶ過ぎている」というだけの話。冷凍庫の温度の変動でシャーベットの中の水分が表面に凝結すると同時に、多分内部でも氷の粒の成長が進んでいるはず。

バーベキュー

Posted on 7月 29th, 2006 in 倉庫 by apj

 恒例の、師匠の家のバーベキュー大会に参加。山形の月山ワインと、この間買ったアルフォンソマンゴーの缶詰を持参した。家族全員の知り合いを同じ日に呼ぶというイベントだから、毎年この日にしか会えない人達というのが何人もいるわけで、世間話をしながら、健康で再開できたことを祝う気分になったりする。

 折角東京に出てきたので、池袋のジュンク堂で語学の本やら辞書やらを買い込む。ところで今年から司法試験用六法が、旧試験用と新試験用の2種類になった上、旧試験用の文庫本サイズのが2分冊になった。新試験用のは1冊だが辞書サイズ。線を引いて勉強するのに、余計な情報が無いし持ち運びに便利だから重宝していたのだが、どっちも使いにくくなってしまった。何だか司法制度改革の余波がこんなところにも、って感じ。三省堂のコンサイスの辞書を見習えと小一時間(以下略)。

学生の答案がSFしとります……

Posted on 7月 27th, 2006 in 倉庫 by apj

 化学科のための数学と物理ってことで、基礎化学演習Iという科目名で半期の講義を終えた。本日期末試験で、物理部分を出題した。気体分子運動論で、室温での空気中の酸素分子の平均速度を求めよ、という問題を出した。酸素の分子量をアボガドロ数で割って酸素分子1個の質量を求めるときに、kgに直さずgのまま計算すると、途中から3桁違う値になる。さらに、ボルツマン定数を求めるときと、分子1個の質量を求めるときの両方でアボガドロ数で割り算することになるが、これを片方忘れたりすると、アボガドロ数のオーダーで答えが違ってくる。この失敗をやってくれちゃってる学生さんが何人か居て、酸素分子の平均速度が
・10^20 m/s のオーダーになる
・10^-22 m/s のオーダーになる
の二通りが出てきた。最初の方は、酸素分子の分際で光速を遙かに突破してるし(タキオン粒子かよ……)、後の方は、分子のスケールが10^-10 mであることを考えると、分子1つ分の距離を飛ぶのに三万年ほどかかる(地質学の試験じゃないんだから……)。
 計算を間違えるのは仕方がないとしても、こんなあり得ねぇ値が出た時点でおかしいと気付けよorz。
 とんでもない超光速とか、分子運動がほぼ静止して見えるとか、SFにありそうなガジェットで採点しながら思わずウケたぞ。ひかかった学生は皆さん追試決定なわけだが。

ナノバブルとか水道局とか

Posted on 7月 25th, 2006 in 倉庫 by apj

 水科学と環境問題ワークショップで話をしてきたのだが、今回は、いろいろ収穫があった。

 松本教授(東大工)の気泡を含む水の流体工学の話は、マイクロバブルの話だったが、界面活性剤を微量添加するとバブルの寿命が変わったり気泡が合体しなくなったりするということだった。さらに、ナノサイズの微小バブルを扱うのに、界面活性剤分子が混じった水のMD計算をしながら密度を減らしてバブル(というかむしろ真空か?)を発生させて界面の運動を見るということも行われていた。界面の部分に界面活性剤分子が集まる結果になっていた。
 流体力学というのは方程式を見てもわかる通り、連続体モデルでしかない。fluidというと連続体、liquidというと分子描像が入ってくるんだけど、流体をやってる人がMDを押さえ始めたということが新鮮だった。まあ、MDのあとはメッシュを考えて粗視化して連続体に戻すのだけど。

 産総研の高橋さんは、マイクロバブルとナノバブルの話。守秘義務が絡むらしく、発生技術の細かいことは出していなかった。
 純水でマイクロバブルを発生させると、だんだん小さくなってやがて消えてしまうのだが、塩の入った水溶液でマイクロバブルを作ると、だんだん小さくなって消えたように見える……がどうも長期間残っているらしい、ということ。マイクロバブルについては、コロイド粒子と同様にゼータ電位を測定することができ、バブル表面に電荷が集まったり電気二重層ができているらしいが、これが、塩濃度やpHで変わってくる。塩を入れた溶液中で作ったマイクロバブルを圧壊させるとナノバブルが残るということで、動的光散乱で一応検出できるが、装置が気泡対象ではないし、見ているものが本当に気泡かがまだ怪しい。バブルの径が小さくなるとゼータ電位が急激に上がるということで、バブルの周りに塩の電荷が集まっているとすると、気体の溶解を妨げるために長期間残存するのではないか、という話だった。
 以前、ナノバブル水中で淡水魚と海水魚を飼う話があり、魚の生理食塩水濃度の塩水ならナノバブルと無関係に飼えるのでそっちの効果じゃないかという話だったのだが、どうも、直ぐ死にやすい魚の生存期間が長くなるといった効果があるらしい。
 ナノバブルが存在すると溶存酸素濃度は上がるし、フリーラジカルの発生もあるが、測定法はまだ確立していないということだ。
 ということで、ナノバブル自体は、不均一な界面を持った系として扱わないといけないらしい。溶解速度が遅いだけで気泡は水に溶けているっぽいし、フリーラジカルが出るなら魚の出した老廃物の分解に効いているから水槽の環境が向上したという可能性もある。今後、普通の化学反応として何が起きているかを調べていく必要がありそうだ。ナノバブルの入った水は透明だということで、分光測定は可能だろう。導電率があるから誘電測定には不向きだと思うが……。本当に空間不均一があるなら、(感度の問題だけで)均一な水溶液との違いがどこかに出そうにも思うが……。やってみるかなぁ……。試料を分けてもらえるようお願いしてきたし。
 超音波吸収なんかどうだろう?うまくサイズと共鳴して圧壊が起きると、応答として観測できたりしないのかなあ。

#例の、ランの鉢植えは、花が水の外、茎と葉っぱと根がナノバブル水(食塩水)というものだった。デモとしてはアレだが、次のステップは、ラジカルがどこで効いてるかとか、葉の表面での圧壊の効果がどうなるか、といったものになるんじゃないか。

 東京都水道局の北澤さんは、高度処理水の紹介。通常の処理の間に、オゾン処理+生物活性炭処理をしているという説明だった。オゾンは1万ボルトの高圧で発生させ、酸素濃度が上昇する。(ということは、水の分解が起きて、水素ガスと酸素ガスが発生しているのだろう)。あとは、いかにして臭素酸の発生を抑えるかとか、生物活性炭に微小動物が繁殖しないように洗うかといったノウハウが紹介された。結論としては、水道局はきちんと仕事をし、次に使えそうな処理方法の開発も継続して行っている、ということである。当然のことながら、消費者を脅して浄水器を売りつけるインチキ業者など足許にも及ばない。まあ、安全な水を確保するためのインフラの維持には、ホンモノの技術が必要だという当たり前の話である。

 私は……前の人達の講演を聴いて、こりゃ多成分系の話をした方がいいのかと思って、水の一般的な話+レイリーブリルアン散乱の話をしてみたら「怪しい話はいつするのん?」と言われてしまった。水うぉちネタ希望なら最初に言ってくれ……orz。会場のみなさんの質疑応答が、いろんな分野のプロの人達のものだったので、誰でもわかるような間違いを言うよりは、不均一系の研究のヒントになるかもしれないネタをと思ってわざわざ後半を差し替えたのに……。結局質疑応答の時に、「ナゼmissunderstandingになるのかまとめて」と言われて、勘違いの原因や情報の流通経路について簡単に話をした。

明日はつくばで話をするので……

Posted on 7月 24th, 2006 in 倉庫 by apj

 明日は午後から、第8回水科学と環境問題ワークショップで話をするので、午後、東京に移動した。水の物理化学の基礎的な話ということで、何回か似たような話をしているので、スライドを引っ張り出して並べ替えたり細かい修正をしたりといった準備をしている。
 ナノバブルの話が前半にあるので、ちょっと楽しみである。

 環境ホルモン濫訴事件の方で、「訴えてやる!大賞」ラディン・カッシンガム著 早川文庫 \780という本が紹介された。今日は本屋に行くどころではなかったので、明日筑波への移動の途中で本屋に立ち寄れたらと思う。司法試験用六法の今年の版も出ているはずだし、一緒に買うのが良さそうだ。